地獄の「日向ぼっこ」特訓![茶トラ猫まいけるアイドル伝説] 第2話
〜カメラの向こうにチュールを見ろ!〜
代々木の路地裏でジャニー猫さんにスカウトされたまいけるたちは、翌日からさっそく、伝説の「ニャニーズ養成所」へと連れて行かれました。
そこは、都内にある古いビルの屋根裏部屋。壁一面には鏡が張られ、怪しく光る黒い機材――「カメラ」が設置されていました。
「YOUたち、今日からここは遊び場じゃない。ステージだよ」
ジャニー猫さんの鋭い一喝で、まいけるたちの地獄の特訓が幕を開けました。
1. 魔の「赤い光」に勝て!
最初の試練は、アイドルの基本中の基本「カメラ目線」でした。
アイドルの仕事は、レンズの向こう側にいる何万人ものファンに「僕だけを見ている」と思わせること。
しかし、自由奔放な猫たちにとって、無機質な機械の目を見つめ続けることは至難の業です。
「はい、カメラ回すよ! 笑って!」
ジャニー猫さんの合図で、大きなレンズがまいけるたちに向けられます。しかし……。
ルナ(黒猫)は、クールすぎて、カメラを無視。「フン、あんな鉄の塊に興味ないわ」と、あらぬ方向を向いて毛繕いを始めてしまいます。
おもち(白猫)は、レンズが近づくと怖がってしまい、瞳孔が全開に。「ひえぇ、食べられる!」と、カメラを直視できず白目を剥いてしまいます。
レオ(ベンガル)は、逆に野生の血が騒ぎ、「動くレンズ」を獲物だと認識。カメラに向かって全力の飛びかかり(猫パンチ)を喰らわせ、機材を倒してしまいます。
プリン(三毛猫)は、自分の映りばかり気にして、鏡の方を向いてしまい、肝心のカメラに背中を向けてしまいます。
そしてリーダーのまいけるはというと、真面目すぎるあまり、カメラのレンズに鼻を押し当てすぎてしまい、画面いっぱいに「濡れた鼻のドアップ」しか映らないという始末でした。

「NO! 全然ダメだよ!」ジャニー猫さんの怒鳴り声が響きます。
「カメラの向こうには、君たちの愛を待っている女の子たちがいるんだ。レンズを獲物だと思うな、チュールだと思え!」
2. バラバラの肉球、絡まる尻尾
カメラ目線の特訓に続いて行われたのは、デビュー曲のダンスレッスンでした。
猫は本来、単独行動を好む生き物。それを「5匹ぴったり動きを合わせる」というのは、まさに不可能への挑戦でした。
「ワン、ツー、ニャン、ツー!」
軽快なリズムに合わせてステップを踏みますが、そこには地獄のような光景が広がっていました。
まいけるが右へステップを踏めば、レオが左から突っ込んできて衝突。おもちがジャンプすれば、着地点にルナの尻尾があり、「ギャッ!」という悲鳴とともに大乱闘が始まります。
さらに、猫特有の「飽き」が彼らを襲います。
曲のサビのいいところで、プリンが「あ、蝶々」と窓の外を見て踊りを放棄。つられてレオもキャットタワーの頂上へ脱走。残されたまいけるだけが、必死に肉球を動かしますが、鏡に映る自分たちの姿は、お世辞にもアイドルとは言えない「ただの、猫たちの日向ぼっこのじゃれ合い」でした。

3. まいけるの涙と、リーダーの目覚め
「YOUたち、解散だ。そんなバラバラな鳴き声じゃ、誰も幸せにできないよ」
ジャニー猫さんの冷たい言葉に、現場には凍りついたような静寂が訪れました。
夜、稽古場に一人残ったまいけるは、窓から見える代々木の街を見下ろしていました。 (このままじゃ、ただの野良猫に戻ってしまう。せっかくジャニー猫さんが見つけてくれたのに……)
まいけるは、小さなサッカーボールを一つ拾い、鏡の前で一人、ステップを踏み始めました。 「カメラを見なきゃ……仲間と合わせなきゃ……」
そこへ、一匹、また一匹と仲間たちが戻ってきました。
「まいける、あんたのステップ、1テンポ早いのよ」と、クールなルナが指摘します。 「ボクも、怖がってちゃダメだよね」とおもちが震えながら隣に並びます。
まいけるは気づきました。 「みんな、カメラを見るのは『自分を良く見せるため』じゃないんだ。隣にいる仲間の気配を感じて、みんなで一つの『夢』を、あのレンズの向こうに届けるためなんだ!」
4. 奇跡の「シンクロ・ニャイズド」
翌朝、再びカメラの前に立った5匹の顔つきは変わっていました。
「ミュージック、ニャン!」
音楽が鳴り響くと同時に、5匹の尻尾がピシッと垂直に立ち上がりました。
ルナが右を見れば、まいけるも同じ角度で右を見る。レオが跳べば、プリンもおもちも完璧な高さで空を舞う。
そして、サビの瞬間。 5匹は吸い寄せられるように、一斉にカメラのレンズを真っ直ぐに見つめました。その瞳は、獲物を狙う鋭さではなく、見る者すべてを虜にする、宝石のような輝きを放っていました。

モニターを見ていたジャニー猫さんが、小さく、しかし満足げに呟きました。 「……YOUたち、最高だよ。」
こうして、伝説のグループの「型」が完成しました。しかし、試練はまだ始まったばかり。デビューへの道のりには、さらに高い壁が待ち受けているのでした。
第2話 完
次回予告
ついにデビューが決まった「ニャらシ」! しかし、デビュー曲のレコーディングで、プリンの自慢の喉が「またたび」の食べ過ぎでガラガラに!? 絶体絶命のピンチを、まいけるの「猫の手」が救うのか?
第3話:衝撃のデビュー「雨のちチュール」を お楽しみに!
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