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<オタク第一世代>は、結局何を表現したいのか?

今回は、アニメ制作会社のBONESについて少し書いてみたい。

今秋クール「僕のヒーローアカデミア」FINALシーズンにおいても、彼らはもはや別格というべきアクション作画クオリティの高さを見せつけてくれたね。

「僕のヒーローアカデミア」FINALシーズン

また、意外と話題にはなってないけど、同クール「ガチアクタ」という作品でも相変わらず桁外れの作画力を見せつけてくれている。

「ガチアクタ」

近年、特に「鋼の錬金術師」以降、BONESは<異能力バトルを描かせれば日本最高峰のスタジオ>という認識が世間一般にできた感もあるわな・・。

今では、割と「原作モノ」に強いイメージがあるこのBONESにせよ、そのもともとの母体といえばサンライズ「カウボーイビバップ」制作班である。
その時の班が、ごっそりとサンライズから離脱したんだよね。

その独立の中核となったのが南雅彦プロデューサー

彼もまた、今の日本アニメ界を語るにおいて重要なキーマンだと思う。

かつて「SHIROBAKO」では、こういう感じで出てました↓↓

あと、ドラマ「アオイホノオ」ではこういう感じで出てました↓↓

・・そう、南さんがこうして「アオイホノオ」に出てるということは、彼は庵野、山賀、赤井旧ガイナックス勢と大阪芸大の同期生だったということです。

ということは、BONESというスタジオもまた「そっち系」の系譜上にあるところだということをまずはご理解いただきたい。

「そっち系」とは?

はい、そのへんについては「アオイホノオ」の中で、主人公ホノオが非常に分かりやすいカタチでその嗜好性を示してくれている。

何となく、そのイメージをお分かりいただけるだろうか?

まぁ早い話が、彼ら大阪芸大1980年入学組の本質とは

金田伊功フォロワー

ということなんですよ。

おそらく、平成生まれ世代にとっては「は?金田?」といったところだろうし、こればっかりは<世代論>だとしか言いようがない。
彼ら1960年前後生まれ世代(オタク第一世代)にとっては、金田伊功こそが最強スーパースターであるということ。

そもそも、この<世代論>はアニメ業界に限定された話でもなく、たとえばアート業界の方では村上隆(1962年生まれ)も自身が金田フォロワーであることをハッキリと公言してますよね。

村上隆
実際、村上隆は金田オマージュ作品を幾つも「アート」として発表している

ただ、彼らと世代が違う人たちは、一体彼らが何に対してそんな熱くなっているのかの意味が分からん・・となっちゃうと思うのよ。
・・まぁね、私もまた彼らより下の世代だし、正直いうと金田伊功全盛期に直撃してはいない。
ただ、その文脈のようなものはギリギリ理解できる世代でもある。

たとえば、こういう典型的な金田アクション(中抜き)

こういうのって、70年代に金田さんが出てくるまでは日本のアニメ界にほぼ存在してなかったと思うのよ、確か。
それまでは、作画の教科書になるものが

①ディズニー映画

②カートゥーン

という2種類に大別されてたと思うのね。

しかし金田さんがやったことは、その①でも②でもない、第3のスタイルということで、

それはもう彼独特の「カブいた」モーション、および「カブいた」デフォルメだったのよ。

この発展形のひとつが有名な「板野サーカス」だったりするわけだが、これを発案した板野さんもまた熱心な金田フォロワーのうちの1人でした。

板野サーカス

こういうコマ割りをイジる(1つの画の中で各々コマ数に差を作る)というやり方を確立したのも金田伊功その人に他ならなかった。

で、こういう金田DNAの正統後継者というべき主なスタジオが

・スタジオカラー(旧ガイナックス)
・TRIGGER(旧ガイナックス)
・BONES


の3つだと私は解釈しています。

実際、BONESなんてサンライズの分派の1つでありつつ、サンライズよりもカラーやTRIGGERの方にテイストが近いもん。
また彼らのそういうテイストは、原作モノよりもオリジナル作品の時の方がより一層色濃くなる。

というわけで、今回ご紹介したいアニメはBONESのコレ↓↓

「コンクリートレボルティオ~超人幻想~」

監督:水島精二(2015年)

これは隠れ名作ですね。

そもそもアニメというものには

①お仕事として、ヒットさせる為に作る作品

②仕事云々ヌキに、とにかく作りたかった作品


という2種類があると思うんだが、この作品は明らかにBONESにとっての②である。
こういうパターンだと、たとえばガイナックスなら「トップをねらえ!」や「フリクリ」が、まさしくそれに該当するものだったでしょ?

で、このての②系統の作品の大きな特徴は

・やたらと昭和パロディ要素が強い

・やたらと金田オマージュが目立つ

という2点ですね。
いわば「童心に帰る」というか、自身のオタクとしての原点をこれでもかというほど詰め込んでくるわけさ。

この「コンクリートレボルティオ」においては特にその要素が強く、ここに込められたパロディは、サイボーグ009、仮面ライダー、キカイダー、超人ロック、ゴジラ、コメットさん、クリーミーマミ、ウルトラマン、鬼太郎、マジンガーZ、エイトマン、鉄腕アトム、メフィラス星人、鉄人28号、少年探偵団、キャシャーン、サンダーバード、怪奇大作戦etc、挙げればキリないほどギュウギュウに詰め込まれている。

というか、本作の中の数十名にも及ぶヒーロー系キャラは、そのいずれもが必ずといっていいほど「何らかの元ネタがあるヒーロー」なんだよ。

この際、もうハッキリ言いますけどね、
これは南さんたちが完全に<趣味>で作ってるアニメじゃん・・(笑)

ほぼパーフェクトな金田アクションの再現!

視聴者が見たいアニメ」ではなく「俺たちが見たいアニメ」を作るというこういうタイプの作品のことを、私は個人的に<学園祭アニメ>と名付けています。

・・で、こういう<学園祭>系は視聴者が置いてきぼりにされてポカーンとなる例が多く、おそらく、この「コンクリートレボルティオ」もその一例であり、当時としてもあまり人気作ではなかったかもしれん。
そりゃそうだよね。
だって、この作品が一番ウケるのはきっと1960年代生まれの第一世代の方々だろうし、でも実際の視聴者のうち、そういう世代の方々ってせいぜい1割程度だろうから。
で、残り9割は、金田伊功もリアルタイムには知らない第二世代以下なのよ。

みんなポカーンとなることがむしろ当然。

・・でもね、実は私、こういう独りよがりなアニメのことも決して嫌いじゃありません。
やっぱり、作り手が盛り上がりながら作ってる感がある作品は見てて楽しいんですよ。
まるでインディーズ作品かのように、そこには何とも言えないエネルギーがある。

「コンクリートレボルティオ」を見たことが無いという人は、ぜひ一度見てもらいたいと思う。
いうなればこれは「オタク第一世代カルチャーの百科事典」みたいなアニメですからね?
ここで描かれてるモーションは舶来の「ディズニー」でも「カートゥーン」でもなく、純国産/日本発祥のガラパゴス系アニメーション(非世界規格)である。

いや、これぞ、THE日本アニメなんです。


実際、ここで展開される物語の内容も1960~1970年代の昭和史をなぞったものとなってて、また各シーンに込められた作画の技巧の数々も「先人たちへのオマージュ」っぽいリスペクト精神で溢れてるんですよ。
このへん、分かる人には分かるだろうし、でも分からん人には全く分からんと思うが(笑)。

また、この作品で披露された技巧の数々が、たとえば今クール「ヒロアカ」や「ガチアクタ」といった最新作の中でも存分に活用されていることが確認できるわけで、いうなればこの「コンクリートレボルティオ」という作品は<BONESの見本市>的位置付けのものだったのかもね。
俺たちBONESはこういうスタジオなんですよ~、こういうのが好きな奴らの集まりなんですよ~、という内外に向けたPRの<見本市>。

いや、この作品はあまり難しいことは考えず、ただひたすら作画を見て下さい。

・・それだけでも、十分お釣りはきますから。


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