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スタジオカラーの<女帝>安野モヨコとは何者なのか?

7月5日、フランスパリで開催された「JAPAN EXPO」にて、スタジオカラーの新作短編アニメが公開されました。

その短編アニメというのが、これ↓↓なんです。

「シュガシュガルーン」原作/安野モヨコ

出ました!
ここにきて、まさかの「シュガシュガルーン」リブート!

カラーのこのチョイスに驚いたのと同時に、さらに続けて、こういう発表もされました↓↓

これ、今回の短編のみならず、この後、長編のリメイクもやるという意味だよね?
なるほど、これは実に楽しみである。

「シュガシュガルーン」制作/スタジオぴえろ(2005年)

この作品って、意外と見てない人も多いんじゃないかな?

これは「魔女っ子」作品であり、いわゆる「魔法少女」とは少し違うけど、まぁ大体似たようなものだと解釈してもらっても別に構いません。
原作者は、庵野秀明の妻/安野モヨコ

みんな結構忘れがちだけど、カラーは社長/庵野さんの会社であると同時に、取締役/安野先生の会社でもあるんです(なお他にも鶴巻和哉、川上量生なども取締役、摩砂雪、貞本義行などは相談役である)。

そもそも、「カラー」という社名を名付けたのは安野先生の方らしい。

安野モヨコ

御二方がご結婚されたのは2002年のことで、この「シュガシュガルーン」の連載が始まったのは2003年から、ということは結婚後の作品なんだね。
掲載誌は講談社「なかよし」らしく、安野先生にしては珍しく「少女向け」の漫画である。

ヒロイン/ショコラ(cv松本まりか)

このヒロインは小学5年生という設定なんだが、かなりオトナっぽいと思いません?
同年代設定の「おジャ魔女どれみ」と比較してみても、そのへんのギャップは明らかである。

「おジャ魔女どれみ」

・・そう、作画の文法が違うのよ。
「おジャ魔女」の方は、手塚治虫先生に代表されるキャラの「記号」表現であるのに対し、安野先生のは明らかに軸足が「アート」である。

それもそのはず、実は彼女って岡崎京子先生のお弟子さんだから・・。

岡崎京子

私の中で「漫画の歴史に革命を起こした天才」というのが2人いて、1人目は大友克洋先生、そして2人目がこの岡崎京子先生なんだわ。
このへんは語り出すとキリがないので割愛するけど、とにかく岡崎先生って<ハイセンス>なんだよね。
いわゆる<オタク>の小汚さとは180度真逆のベクトル・・といえばご理解いただけるだろうか?

画/安野モヨコ

・・で、安野先生はその岡崎イズムの正統継承者ゆえ(岡崎先生ご自身は1996年の交通事故以降、実質断筆)、基本<ハイセンス>の作家さんなんですよ。
だからさ、ぶっちゃけ

彼女が小汚い庵野さんと結婚したことはマジで不思議でなりません・・ww

じゃ、この御二人の馴れ初めは一体何だったのかというと、もともとは庵野さんが「ハッピーマニア」のファンだったらしい。

安野先生の出世作「ハッピーマニア」

「ハッピーマニア」は1995年連載開始、同じ年に「エヴァ」でブレイクした庵野さんと少しシンクロしてるんだよね。
・・で、交際する前に庵野さんは安野先生宅にお邪魔したこともあるらしいんだが、その時の安野先生はカレシと同棲してたらしく、そのカレシの方が「『エヴァ』の庵野さんがウチに来た!」と大興奮だったらしい(笑)。

・・で、その後、カレシと別れた安野先生が庵野さんと付き合うことになるわけで、多分、それは90年代の終わり頃のことだと思う。
でもさ、この時期の庵野さんって、鬱病の状況が正直あまりよくなかったと思うのよ。
かなり闇落ちしてたんじゃないかな・・と。

で、これはあくまで私の勝手な憶測ではあるけど、この庵野さんとの交際で苦しんだ体験が投影されたのが、この「シュガシュガルーン」じゃないかなと私は解釈してるのね。

だって、この作品の内容は

親友が闇落ち、想いを寄せる人もまた闇落ち、それをひたすら「元に戻る」ことを信じ続ける魔女っ子の哀しいストーリーだから・・

「シュガシュガルーン」、未見の方は是非一度ご覧になってみてください。こんな闇の深い物語を「なかよし」に連載してたのか?と驚くはず(笑)。
いまどきのオンナノコは、こういうのを少女期に読んで育つんだね~。

で、アニメをご覧になった際、

「・・あれ?これは『少女革命ウテナ』など、幾原邦彦の世界観にめっちゃ近くないか?」


と感じるかもしれない。

「少女革命ウテナ」(1997年)

・・そう、まさに、その通りなんですよ。
幾原さんといえば、なかば庵野さんの半身みたいなもんでしょ?

いや、逆にこういう独特の美意識こそが、庵野さんと安野先生を結びつけたカスガイだったのかも?
かたやオタク、かたやハイセンス、人種としては最も遠い存在でありつつ、こと美意識という一点では完全に噛み合ってしまうことの摩訶不思議・・。

「シュガシュガルーン」オープニング

ちなみに「シュガシュガルーン」のOPアニメは、

画コンテ/庵野秀明 安野モヨコ
演出/庵野秀明


となってるんだ。
ご夫婦で共同制作ですか・・。

さらに、このオープニング曲というのがまた超オシャレで、

作詞/安野モヨコ
作曲/小西康陽


という驚きのカップリング。
本作の音楽監督も兼ねてる、この小西さんって

あのピチカートファイブの人やん?

・・もうね、考え得る限りの<ハイセンス>が「シュガシュガルーン」にはぎっしり詰まってるんです。
これほどのものを「女児向けアニメ」だと勘違いして見逃すのはマジで人生少し損してますよ?

で、本作において画期的なのは、何といっても

<ギャル>を主人公に据えたこと、でしょう

<ギャル>

<ギャル>というのは、割とアニメじゃ扱いづらい存在なのよ。
だって、アニメを見てるような人種からすれば「あっち側の人間」だから。

スクールカースト

そう、「カースト」においてギャルは1軍、オタクは3軍。
アニメ視聴者の全てが3軍とはいわんまでも、割とアニメ制作者は「共感」を得る為か、主人公を3軍から抜擢することが多いんだわ。
逆に、悪役を1軍から抜擢することが多い。

ところが、安野先生はそのセオリーを無視しちゃったんだねぇ・・。
なぜか?
それは、彼女が岡崎京子閥の作家だからさ。

安野先生自身が、元ギャルでしょ?

先生はファッションやトレンドにめっちゃ詳しい人だし(だった、が正しいかも)、間違いなく1軍所属だった人ですよ。
だからヒロインを1軍の子にする方が、創作として楽なんだろうね。

逆に庵野さんは、1~3軍のどこにも属さず、「軍という枠からハミ出た人」だと思う。
だってさ、たとえば

・米倉涼子を知らなかった
・谷村新司を知らなかった


とか、もはや浮き世離れの水準が常識の範疇を超えてるから・・(笑)。

オシャレからは最も程遠い・・

でも、なんのかんのいいつつ、庵野さんが安野先生から受けた影響は大きいと思うのよ。
いや、カラーという会社自体がそうだろう。

これも、元々の母体とはガイナックス(その前はDAICONフィルム)というオタク集団だったわけだが、それも今はいくつかに分裂し、主たるところはカラーとTRIGGERのふたつ。

じゃ、カラーとTRIGGERの差異となった最大のポイントは何かというと、

そんなの、<女帝>がいるか/いないかの差でしょww

もちろん、オモテ立っては見えてこないけど、安野先生の影響力はカラーの作品コンセプトにも及んでると思うんだ。
なんのかんの言いつつ、この人、「1軍」だからね。
とにかく、ダサいことだけは絶対に許さんと思うのよ。

で、今回の「シュガシュガルーン」リメイクの話は、会社から安野取締役への「ご恩返し」みたいなもんだろう。
今まで、カラーの縁の下の力持ちとしてありがとうございました、と。
庵野氏をドン底から復帰させていただいて、ありがとうございました、と。(2010年代の庵野さんはマジでヤバい状態だったそうだ・・)

で、カラー版「シュガシュガルーン」が一体いつの公開になるのかは知らんが、少なくともそれまでに、皆さんも2005年版の「シュガシュガルーン」をぜひとも復習しておいていただきたい。

これはね、改めて見るとホントいいアニメですよ!


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