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手塚アニメ史上、萌え度NO.1「ユニコ」を見よう!

皆さんは、ディズニー映画の「バンビ」(1942年制作)って見たことある?
これは、手塚治虫に大きな感銘を与えた作品として有名だよね。
一説に、手塚先生は映画館で約80回見たとも言われていて・・。

また初期ディズニーの中で、これは最も興行的に成功した作品でもあるらしい。
1942年に歴代アニメ興行収入1位(世界)の座に就いて以降、そのトップの座を1991年までの49年間も守り抜いたそうだ。
つまり「バンビ」は、ディズニー史の中でも特別といえる金字塔的作品なんだよ。

「バンビ」(1942年)

なぜ、この作品はここまで愛されたのか?
それは、やはり主人公バンビのかわいらしさに尽きると思う。
子供時代のバンビは、

とにかくかわいい!

手塚先生は、このバンビのかわいさを自分でも再現してみたかったんだろうね。
後に彼が作った「ジャングル大帝」は、手塚版「バンビ」だともいわれている。

「ジャングル大帝」

確かに、レオもかわいい。
もともと手塚先生は、「カッコイイ」や「セクシー」より、「かわいい」を描くのを得意とした作家だと思う。
アトムやピノコもかわいいもんな。

しかし、私が「手塚キャラかわいさNO.1」に認定したいのは、このキャラである。

「ユニコ」

・・ね?
あざといぐらいに、かわいいでしょ?
知名度では「ジャングル大帝」レオにやや劣るにせよ、かわいさではむしろ優っている。

私が見たことあるのは、1981年劇場版「ユニコ」と、1983年劇場版「ユニコ魔法の島へ」の2本。
多分これ、結構色んなサブスクで配信されてると思うし、視聴環境にない人でもYouTubeで検索すりゃ無料動画があると思うので、未見の方は是非ご覧になってみて下さい。
めっちゃかわいいですから。

というかね、このユニコという主人公は「あまりにかわいいがゆえ、周りがみんな幸福になる」というキャラ設定になってるんですよ。
それはとてもいい設定にも思えるんだが、万物の創造主である神様は、この「周りを幸福にする」能力をあまりよしとせず、ユニコを排除しようとするんだよね(最初は殺そうとしてたほど)。
神様いわく、「幸福とはそう簡単に実現するものであってはならん」ということらしく、つまりユニコの存在は<この世の摂理>に反する「存在してはならないもの」ということだろう。
まぁ、なんとなくそのロジックは分からんでもないんだが、でもそんな理由で僻地に追放されたユニコが不憫で不憫で・・。

ここでの神様の立ち位置が非常に興味深いよね。
神様って、みんなの幸福を願ってるわけじゃないんだ。
彼らが腐心するのは<この世の摂理>の維持であり、幸福と同程度に不幸もなくてならん、という考え方だろう。
秤が幸福に傾きすぎるのはよくない、と。
神様は<善>でも<正義>でもない、という手塚哲学が垣間見えて面白い。
純粋な<善>であり<正義>であるユニコが、絶対神から全否定されてるというアイロニー。
この構造、数ある手塚作品の中でも特にユニークである。
子供向けアニメだと、ナメない方がいいよ。

あと、作画的にもめっちゃいいんだよね。
特に1作目は作画監督が杉野昭夫、原画が川尻善昭、中村隆太郎、大橋学、美術が男鹿和雄、背景が小林七郎など、かなりの豪華メンバーである。
私から見た感じ、これ、手塚アニメの中でも五指に入るレベルだと思う。

で、この「ユニコ」における最大のポイントは、この作品のプロデューサーを務めている辻信太郎なる人物である。

辻信太郎・・なんか聞き覚えある、と思った人もいるかも。
この人、あのサンリオの創業者ですわ。
・・なるほど、ユニコがこれほどかわいいのも逆に納得だね。

なんせ、このサンリオって会社は<かわいい>のプロフェッショナルである。


私もサンリオについてはあまり詳しくないけど、こういうメルヘンな会社を創業した人って、多分メルヘンな人なんだろうな~と思ってたのよ。
少し、頭お花畑的な。
多分、その口調も
ボクが社長だメポ。よろしくメポ
とかいうタイプなんだろうな、と。
ところが、実際はこういう人なんですよ↓↓

辻信太郎サンリオ会長(1927年生まれ97歳)

うん、めっちゃマトモな経営者なんですよ。
数年前にテレビ出演した時の動画も見たが、もう90代なのにとてもしっかりした口調で、語尾には一度もメポをつけてなかった。

1927年生まれということで、年齢的には手塚先生の1学年上。
同世代ということで、おそらく両氏は見てきたものもほとんど同じなんだと思う。
‥そう、当然辻さんもディズニーの影響を思いっきり受けてるわけさ。
むしろ彼は、サンリオを「日本のディズニー」にしよう!と思ってたんじゃない?

皆さんは、サンリオを「キャラクターグッズの会社」というイメージだけで捉えてるだろうが、70~80年代のサンリオはそれこそディズニーさながら、かなり積極的に映画製作事業を展開してたんだ。

1978年、サンリオ映画「キタキツネ物語」

1979年、サンリオ映画「くるみ割り人形」

このふたつだけでも、ディズニーの影響が見てとれるでしょ?
ちなみに「くるみ割り人形」は、辻さんが自ら脚本を書いてます。

やがて、辻さんは社長兼絵本作家になって、自分が作った絵本を原作としたアニメ映画の製作をするようになっていく。

1981年、サンリオ映画「シリウスの伝説」

1985年、サンリオ映画「妖精フローレンス」

「シリウスの伝説」も「妖精フローレンス」も、原作は辻さんの絵本である。
この2本の映画は、ぜひ皆さんにもご覧いただきたい。
サンリオ的に、めちゃくちゃ気合い入った作品だったと思う。

どっちも1コマ打ちのフルアニメーションで、思いっきりディズニー仕様である。


きっと多くの人が<サンリオ映画=ほのぼのメルヘン>というイメージを持たれてると思うが、この両作品は違う。
どっちも切ない系、哀しい系の作風だから・・。
あと、どちらの作品も音楽が凄い。
特に「妖精フローレンス」の方は、明らかにディズニー「ファンタジア」のオマージュ作品といえよう。

「妖精フローレンス」

非常にレアだと思うのは、この「フローレンス」で中島みゆきさんが声優を務めている点だね。
いつもの歌声とは異なる、普段喋る時のコミカルな声で演ってくれていて、これが意外とうまいんだよな(笑)。

興味ある人は、両作ともYouTubeでタイトルを検索してみて下さい。
どっちも無料動画があるはずだから。

「うわっ、80年代でこのクオリティ?」

と驚くはずだよ。

「シリウスの伝説」

ちなみにだが、冒頭に述べた手塚治虫×サンリオのコラボ作品「ユニコ」も、これが手塚作品には珍しく1コマ打ちのフルアニメーションだったんですよ。

こういうのをできたのって、どう考えてもサンリオの資金力ありきなんだよね。
色々な意味で、お互い非常に有意義なコラボだったと思う。

そもそも「ユニコ」は手塚アニメの中で、実は最も「バンビ」の域に近づくことができた作品だったのでは?

お互い同年代、ともにクリエイター(漫画家/絵本作家)、ともにディズニーを目指してきたという辻/手塚両氏だが、この2人の決定的な差は

手塚治虫⇒虫プロを破産させた
辻信太郎⇒サンリオ、その後も順調に成長


というビジネスセンスの有無だろうね・・(笑)。

私が辻さんを凄いと思うのは、おそらく彼にとっては最大のロマンだったと思われる「画も音もハイクオリティの本格フルアニメーション映画」路線を80年代中旬できっぱり諦めたことさ。
恐ろしく潔い撤退の決断だった。
思うに、「シリウス」「フローレンス」があまりにもコスパ悪かったんだろう。
といっても彼はオーナー社長だし、こういう投資は継続してくことに意義がある、とか言って独裁的にプロジェクト続行することだって本来なら出来たはずなんだよ。
しかし、彼はそうしなかった。
潮時をちゃんと見極めて、引くと決めればサッと引く。

さすが、一流経営者メポ!

しかし、サンリオは今もなお、キティちゃんなどのキャラクターをメインにした低予算型のアニメを随時制作している。
決してアニメと縁を切ったわけではない。

あと、手塚作品との縁も切れたわけじゃなく、たとえばピノコとサンリオのコラボ企画とか、今もあったりするんですよ↓↓

色々な意味で、今なおサンリオという存在を無視することはできない。
日本サブカルの中軸とでもいうべき、<かわいい>を最も熟知した会社だからね。
我々は、彼らから学ぶことがまだまだあると思う。


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