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少人数でアニメを作ることの限界(涙)

あの忌まわしい「京アニ放火事件」の記憶は、今も皆さんの脳裏に生々しく刻まれてると思うが、もうあれから6年が経過したんですねぇ・・。

で、先日の報道で「京アニ社員数、事件前を超える」というニュースを目にしたんですよ。
どうやら、現在の京アニ社員数は186名らしく、これは例の事件前の社員数だった170名を超えている、と。

・・どうやら事件後、この社は80名を超える大量の新規採用をしたらしい。
この不景気なご時世に、レアな動向である。
なお、その結果としてだが、昔からいる既存の社員比率は、55%になったらしい。
55%、つまり約半分が「新しい血」に入れ替わったということだね。

「CITY THE ANIMATOIN 」(2025年)

そのへん踏まえた上で、「CITY THE ANIMATOIN」を見てると実に感慨深いよ。
「日常」(2011年)と同じ、あらゐけいいち先生の作品アニメ化だけに、「京アニは、どう変わったのか?」を検証できる貴重なサンプルである。

「昔の京アニは良かった・・」とか年寄りじみた懐古主義にばかり走るのではなく、是非「新京アニ」のいいところを能動的に見つけていってほしい。

ところで、京アニの186名という人数、皆さんは多いと感じた?
それとも少ないと感じた?
・・まぁ、このへんは人によって印象は様々だろう。

ただ、アニメ業界において186名は決して少なくない。
あのジブリでも190名である。

あと、最近話題になった制作会社でいうと

サイエンスSARU⇒51名

スタジオカラー⇒26名

どちらも、京アニの3分の1以下というコンパクトさである。

とはいえ、どちらの作品もエンドロールには100名を超えるスタッフの方々の名前がつらつらと流れてるわけで・・。
「GQuuuuuuX」なんて、原画屋の数だけでカラー従業員数をゆうに超えてるからね(笑)。

まぁ、このへんはアニメ好きの皆さんならよくご存じの仕組みでしょう。
そもそも、アニメ作りというのは「フリー」の方々によって支えられているものなんです。
というか、厳密には「フリー」の方々だけでなく、他社アニメーターの協力も仰ぎます。

・・いやいや、こういうところが一般的サラリーマンの感覚では「??」となってしまうところなんだよね。
一般的、常識的な世界では、たとえば、駅前のローソンのレジが混雑しててパニックだから、お隣のセブンイレブンにTELし、「至急、応援お願い!」といって人手を借りることはまずない(と思う)。

でも、アニメの世界ではこれがある。
というか、そうでもしないと回らない現実があるんだろう。

だけど皆さんは、こうも思ったはずだ。

「26名のカイシャで『GQuuuuuuX』作れたというなら、極論、カイシャは社員アニメーターなんて持たずとも、アニメは作れるんじゃないか?」


・・うむ、この指摘、荒唐無稽に思えて実は的を射ている。
実は、その通りなんですよ。

事実、全く描き手を持たずに「アニメを作ってる人たち」は存在する。
たとえば、有名なのは彼↓↓だよね。

東宝プロデュサー/川村元気

東宝のアニメに対するアプローチは明確で、「プロデュースというカタチのアニメ作り」である。
彼らは、アニメーターを抱えない。

そんなのはアニメ作りなんかじゃねぇっ!」と否定する人も多分いるだろうが、そんなことを言いだしたら、スタジオカラーもまた否定すべき対象ということになるよ?
だって、彼らは26名のカイシャで「GQuuuuuuX」を作ったんだから、それってほとんど「プロデュース」の領域だと思いません?

今回、彼らが手を組んだのはサンライズ(バンダイナムコ)であり、ここは従業員の数が640名を超える、業界の最大手の1つだったよね。
だから今回の構図は、鶴巻さんらごく少数のカラー勢が「プロデューサー」的立場に立ち、現場に立つたくさんのサンライズ勢を動かした、ともいえるんじゃないですか?
つまり、「プロデュースというカタチのアニメ作り」である。
スタンスが、意外にも東宝に近い。

「ワンピース」(東映アニメーション)

で、そういう東宝的アプローチの真逆をいってるのが、東映アニメーションですよね。
ここは、「敢えてヒトを抱える」戦略である。
アニメ作りの本質が労働集約産業である以上は、やっぱり人材は抱えてこそナンボである、そこは逃げてはいけない、という考え方さ。

実際、東映の従業員数は単独で641名、連結で911名だという。
まぎれもなく業界最大手。
そりゃまぁ、人件費を考えたら大変でしょうねぇ・・。
でも、彼らは人材を抱えているからこそ「ワンピース」や「プリキュア」のような通年型のアニメを作れるのよ。
そのへん、1クール全12話というカタチで「中距離走」的な走りをしてる各制作会社とは明らかに一線を画している。

「中距離走」ってのはたとえば1500m走みたいなもんで、割と近くにゴールが見えてるから無理がきくというか、「あともう少しだ、頑張れ、頑張れ」という気合いで何とか乗り切るスタンスかな。
・・だけど、「ワンピース」は違うだろ?
今いる位置からゴールなんて全く見えてない、それこそ42.195kmのマラソンみたいなもんである。
なのに東映の凄いところは、

他社の「中距離走」的スピードとほぼ変わらんスピードを(マラソンなのに)ずっと見せてることなんだ。

これが、真のスケールメリットというやつなんだろうね。

しかし、東映アニメーションにしても「東映」という巨大資本があってこそここまでのことができたんですよ。

いやマジで最後の最後は銭のスケールでっせ?


実際、近年のアニメ業界は巨大資本の下で少しずつだが勢力均衡のカタチが見えつつあると思う。

<東宝>

コミックスウェーブフィルム、サイエンスSARU
(新海誠、山田尚子)

<日テレ>

ジブリ、スタジオ地図、マッドハウス
(宮崎駿、細田守)


<バンダイナムコ>

サンライズ、エイトビット
(「ガンダム」、富野由悠季)


<アニプレックス(SONY)>

A-1Pictures、CloverWorks (ufotable)
(「ソードアートオンライン」「鬼滅の刃」)


<セガ>

トムスエンタテインメント、テレコム
(「名探偵コナン」「ルパン三世」「アンパンマン」)


<テレビ朝日>

シンエイ動画
(「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」)


<IGポート>

ProductionI.G、WITSTUDIO
(「攻殻機動隊」、押井守、「進撃の巨人」)


大まかにだが主要なところを挙げると、こんな感じである。

東宝、日テレ、テレ朝、バンダイナムコ、セガ、SONY、といったところは皆さんもよくご存じでしょうが、唯一、「・・ん?これ何?」となったのが<IGポート>でしょう。

そう、これだけは別に巨大資本じゃないのよ。
これはProductionI.G/WIT STUDIOの持ち株会社で、そもそもこのIGポートの筆頭株主は石川光久という<個人>だから。

石川光久(ProductionI.G創業者)

いや、一代でカイシャをここまで大きくした石川会長の手腕をまずは讃えるべきなのかもしれんが、それにしても大資本ばかりの周りを見渡せば、少し心もとないと皆さんは思いませんか?
いわば、石川さんという<個人>の才覚でギリギリ成立してるようなものである。

大体さぁ、次の「攻殻」がサイエンスSARUが作るという話、これの細かい経緯を私は何も知らんのだが、考えようによってはコレ、

「攻殻」を<東宝>に持っていかれた、というネガティブな解釈もできなくはないんです。

京アニが、手塩にかけた山田尚子を<東宝>に持っていかれたのと同じ意味でね・・

・・いや、くれぐれも誤解のないように。
別に川村元気氏を悪くいうつもりは全くありませんから・・(笑)。

だけどさ、ProductionI.Gがここにきて庵野秀明を役員に迎えた流れ、彼らのキモチが何となく理解できると思いません?

ちなみに私は、カラーがIGポート入りすることには基本的に賛成なんです。
いっそのこと、BONESあたりも誘ってみるのも悪くないと思う(BONES社長南雅彦は庵野さんの大学時代の同期だからね)。

石川会長(右)とBONES南社長(左)

やっぱさ、スタジオカラーは26名という所帯の小ささがいつか必ずネックになる日がくると思うのよ。

そろそろ、アニメ業界再編の機が熟してきたと私は思うんですけど・・


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