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「グレンダイザー」、フランスで視聴率100%ってマジ?

きっと皆さんも海外における日本アニメ人気を裏付けるエピソードとして、こういう噂↓↓を今まで一度ぐらいは耳にしたことがあるはず。

「フランスでは『グレンダイザー』がバズり、テレビ放送では最高視聴率100%を記録した」

・・いや、嘘っぽく聞こえるがこれは誇張でも何でもなく、どうも正真正銘の事実らしいですね。
なお、これは1978年のフランスにおける記録であり、補足すると平均視聴率は75%だったという。

しかし、最高100%にせよ平均75%にせよ、ちょっと日本では考えられない数値である。
しかも、それが「グレンダイザー」って・・。

「UFOロボ グレンダイザー」(1975年)

原作:永井豪 制作:東映アニメーション

「グレンダイザー」とは皆さんもご存じの通り、「マジンガーZ」を初代とする永井豪先生のスーパーロボットシリーズのひとつ。
「マジンガーZ」⇒「グレートマジンガー」⇒「グレンダイザー」という順だったので、本作は「仮面ライダー」でいえば「V3」的位置付けだろうね。

しかし、「1号・2号」をスルーしていきなり「V3」がフランスでバズるのはおかしくないか?
とは思うが、どうやら向こうでは「グレンダイザー」の方が日本のロボットアニメ初放送作品ということだったらしい。

で、ご覧の通り、これはUFOをフィーチャーした作品である。
フランスでの本作放送開始は1978年だったらしいが、ちょうどその前年にはハリウッド映画「未知の遭遇」の大ヒットもあり、うまいこと、この頃UFOというのが何より旬のネタだったんだろうね。

で、そういう時流もあってか、この作品はフランスのみならずイタリアでもまた人気を博し、ここでもフランス同様、視聴率は70%を超えてたという。

またその一方、中東諸国における人気もまた熱狂的で、近年サウジで実物大のグレンダイザー像が作られたという話も有名だよね。

というよりも海外の人たち、どんだけ
「グレンダイザー」にハマっとるねんw

・・正直、日本で「グレンダイザー」の人気はそこまでないと思うけど。

なお、日本でのこれの放送開始は1975年10月からだったわけだが、実はその3カ月ほど前に「パイロット版を劇場公開」という変則的なデビューをしています。

「宇宙円盤大戦争」(東映まんが祭り)

・・はい、上の画像の右の男性は宇門大介ことデューク・フリートであり、つまり後の「グレンダイザー」の主人公その人です。
ただし、この劇場版と後のテレビシリーズとの相違点は、主人公が搭乗するロボットの名称とデザインが違うことですね。

この劇場版の中では、こういう感じ↓↓です(おそらくこれがグレンダイザー初期構想だったんだと思う)

<UFOロボ/ガッタイガー>

合体するガッタイガー

クッソダサい!

いや、ネーミングからメカデザインに至るまで全てがクソであり、おそらく実際そういう指摘が各方面からあったんだと思う。

それにしても、この雑な仕事は一体どうしたんだろう?
思うに永井先生も仕事があまりに忙しすぎて、「合体ロボだしガッタイガーでいいじゃん?」的にヤケクソになってた時期なのかもしれん。
でも、これのままテレビ本編に臨まなくてマジでよかったわ・・。

さて、先ほど「グレンダイザー」の放送は1975年10月からだったと書いたが、実はこれと全く同じ時期、同じ東映+永井豪企画で別のロボットアニメを制作してるんだわ。

それが、この作品↓↓です。

「鋼鉄ジーグ」

はい、ご覧になってお分かりの通り、ガッタイガーのデザインはどちらかというと、この「鋼鉄ジーグ」の方に持ってきたイメージだね。
主人公キャラデザも含めて。
このへんは「転んでも決してただでは起きない」、東映と永井先生の商魂を感じる。

ところで東映は、なぜ同じクール2つ並行して永井豪系企画を放送してたんだろう?
そんなの結局、東映内でパイの食い合いになるんじゃないの?
と不思議に感じた人もおそらくいることでしょう。
確かにねぇ・・。
まぁ、私もそのへんの詳しいところは知らんのだが、もともと東映内では

「グレートマジンガー」制作スタッフ
⇓⇓⇓
そのまま「鋼鉄ジーグ」制作スタッフにスライド

「ゲッターロボ」制作スタッフ
⇓⇓⇓
そのまま「グレンダイザー」制作スタッフにスライド

という2つのチームが競い合うようなカタチは確かにあったっぽい。
この時期の東映は、ヒットメーカー永井先生にかなり懸けてたんだね。

・・で、実はこの「鋼鉄ジーグ」も海外では結構人気あるらしいんですわ。
特に人気なのはイタリアで、映画に詳しい人ならばよくご存じでしょうが、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(イタリアのアカデミー賞)7冠に輝いた映画でこういう作品があります↓↓

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(2015年)

これはアクション物だが、「鋼鉄ジーグ」オタクのオンナノコに翻弄されるチンピラの物語で、正直めっちゃ面白いです。おススメ!
私なんかはこの映画見て「へぇ、イタリアじゃ『鋼鉄ジーグ』の人気があるのか!」と、そこで初めて知りましたけど。

ただ、日本国内ではちょうどこの「ジーグ」「グレンダイザー」あたりからこういうスーパーロボット系作品の人気が急速に萎んでいく流れになったんです。

それは、なぜか?

主因はコレ↓↓ですよ。

1974年「宇宙戦艦ヤマト」放送開始

・・そう、「ヤマト」が<オトナも鑑賞できるアニメ>という流れを作ったことにより(この流れは、やがて「ガンダム」に引き継がれていく)、それまで主流だった永井豪系アニメが急に色褪せた存在になってしまったということね。
こういうのは、しょせん<コドモが鑑賞するアニメ>だ、と。

とはいえ、このてのスーパーロボットがもう見向きもされなくなったのかというと実はそんなこともなく、たとえば「合体」「必殺技」「多彩な武器」などは、いまだ男のロマンとして愛好家たちはたくさんいます。

で、近年でもこういう古い昭和ロボット系アニメのリメイクが結構な数あるわけだが、今回ご紹介したいのはコレ↓↓ですね。

「鋼鉄神ジーグ」(2007年)

監督:川越淳 WOWOW放送作品

はい、これは名作OVA「真ゲッターロボ」の川越淳さんが監督を務めていることもあり、かなり旧作をリスペクトした良リメイクになっています。

そういや最近、「グレンダイザー」のリメイクで
総監督:福田己津央
脚本/シリーズ構成:大河内一楼
キャラデザ:貞本義行

という豪華な布陣で臨んだのに大コケした「グレンダイザーU」というのがあったでしょ?

「グレンダイザーU」(2024年)

あれに比べれば、この「鋼鉄神ジーグ」の方が全然マシ。

なお、この作品を見る際の事前準備として、YouTube「東映アニメーションミュージアムチャンネル」に1975年版の第1話が格納されてるから、まずはそっちの方を先にご覧いただいた方がいいような気がする。
それを見ておくだけで、「あぁ、ちゃんと旧作をなぞってるなぁ」とすぐに理解できるから。

で、実をいうと、旧作の「鋼鉄ジーグ」は同時期放送「グレンダイザー」と比較しても視聴率があまりよくなかったらしいのね。
それはなぜかということだが、やはり設定の特殊さに原因があったと思う。

「グレンダイザー」の方は<侵略してきた異星人と闘う>という、正統型の非常に分かりやすい設定だったのに対し、一方で「ジーグ」はというと

<かつて、日本を支配した邪魔大王国(←邪馬台国?)の女王・ヒミカ(←卑弥呼?)が復活し、再び地上世界の征服に動き始めた!>

<女王ヒミカ>

という少し王道から外れたノリでして、メイン視聴層のコドモたちは「??」という感じだったと思うんです。

<敵キャラ:ハニワ幻神>

で、ジーグが闘う相手は「ハニワ幻神」という、それこそ埴輪のごとく土で作られたゴーレム。
ようするに、科学vs呪術、めっちゃミスマッチな食い合わせです。

で、結局のところ、この物語の本質は<銅鐸>を巡ってジーグと邪魔大王国が争っていく、みたいな構図でして・・

まぁ、オトナなら古代史の知識もあるからこういうプロットを逆に面白いなと思えるにせよ、少なくとも当時の視聴者であるコドモたちは「ハニワ?」「銅鐸?」と多分チンプンカンプンだったと思うぞ?

いや、だからオトナになった今こそ「ジーグ」を見るべき時期という気がする。

確かに今だからこそ、なぜジーグにわざわざ「鋼鉄」という冠つけてるのかもようやく理解できるのさ。

そもそも邪馬台国/卑弥呼の時代は「銅鐸」「銅剣」「銅矛」、つまりメインが<銅の時代>だったんですね。
で、そういう時代ゆえ「<鉄>を制するクニが天下を制する」構図ができていき、やがて鉄の産地を巡って倭の国は大いに荒れていった・・というのが古代日本史の大まかな流れ。

だからジーグは倭国大乱に終止符を打つ<鉄>の象徴だということ。

・・だけどさ、そんな小難しい理屈、見てるコドモたちに理解できるわけがないじゃん(笑)。

ちなみに、旧作「ジーグ」は玩具会社タカラが「マグネット仕様のロボット玩具」を企画したところから始まったものらしく、まずは玩具ありきの企画だったらしいんですよ。
・・で、永井先生も「磁石」⇒「鉄」⇒「かつて鉄を巡って争った時代」⇒「古代の日本」⇒「邪馬台国」⇒「よし、ラスボスは卑弥呼にしよう!」的な割と安易な発想だったんだと思う。

で、この頃は先生もホント多忙だったらしく、この作品は原案だけを作ってあとはお弟子さんに丸投げしたっぽいんだが・・。

でも旧作の視聴率こそあれだったにせよ、私はこの企画、ユニークで面白いと思うけどね。
新作見たらそんなに悪くなかったし、もっと国内でも再評価されていい作品では?

新作は何気に「ジーグ」新旧共演という見どころもある。
あと、基本は馬鹿アニメにせよ、ちょいちょい古代史好きをニヤリとさせるギミックが挿入されるし。

未見の方は、ぜひどうぞ!


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