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届かなくなったところ、ふたたび 〜物干しについての一工夫



物干しがだんだん大変になるのが高齢者の暮らしあるある、という話は以前に書いたのだが、それは主に介護保険における段差解消との関わりがある、その足元の高さを整える話だった。

若い方なら乾燥機、という選択肢もあるのだけど、高齢の方はむしろ乾燥機が壊れたからまた外干し、という人もいたりする。

これ、認知的に電化製品を使いにくくなっていく、という話だけではなく、電力コストが高くなったことへの対策だったりもします。これは洗濯乾燥に限ったことではなく、床暖房があるのに今年は電気代が高くて使えないわ、というお話を最近伺って、あーそういう視点もあるのか、と思ったり。


でも、歳をとって難しくなるのは、物干し場まで段差があって移動できない、ということだけではない。物干し竿などに届かない、もしくは届かせようとすると危ない、ということが実はお悩みの発端だったりする。こういうケースですね。

軒下から針金やSカン、危険なやつの定番

なので、足元を整備してなんとか、というアプローチだけでなく、物干しの方を近づけて、利用者さんが届きやすい高さでこなせるように工夫する、ということも必要になるのだった。


アルミ製のバルコニーがあるようなお宅だと、そこを利用して物干し用の各種金具が付けられるので、実は便利。見た目はあまりオシャレじゃなくても、一体型のバルコニーに比べて建物の中に雨漏りを呼びにくいし、こうやって裏面まで役に立つスグレモノです。

竿掛け金物、上からけっこうな長さで吊り下げ可能

ここらへんのラインナップで選んでいけば、とりあえずなんとかなる。

調整範囲が広いのが便利

この竿掛けシリーズ、調整範囲が意外に長いものがあり、約2mまで対応可能。なので、手が届きにくくなった方にもなんとか対応できたりします。


でも、通常の軒下だと、これをポン付けするのは難しいし、そこまで費用を掛けるのも困るわあ、などという場面では、知恵と工夫が必要になる。

よくある、とまでは言わないが、たまに拝見するのは、そんな軒下に自分たちでSカンフックを下げられるところを確保して、長いそれを、何個も連続して吊り下げ、そこに物干し竿を吊っている事例。

けっこうありがちです

でもそれの難点は、危ないというだけでなく、たまに煩いことにある。風が吹くと揺れて、ガラス面にいろいろとぶつかるからだ。

なお、最初にその相談を受けた上の画像の事例では、それは軒の先端にあったので、揺れてもまずガラスには当たらなかった。でもその結果として、掃き出し窓から手が届かない位置にそれがあるため、いったんタタキまで降りて、そこで物干しをする必要があったのだ。なのでその降りる動作が辛くなり、一階床の高さから物干しができるようにしたい、との話になった。

なのでまずはセオリーどおり、小さめのデッキを作って足元を上げてみた。

雨掛りじゃないのでヒノキ無塗装で

さらにそれに合わせて、上の吊り元部分を窓に近づけた。これなら小雨が降っても洗濯物が濡れにくくなるという、おまけ効果も得られるし。Sカンはちょっと強度が不安だけど、ひとまず再利用。
でもそうすると、案の定、風が吹いたときに物干しが窓に当たるとのお話がやってきたのだった。それは騒がしいし、建物にもよろしくない。なので、

テグスで外側から引っ張ってみる
接続部にもひとくふう

Sカンの接続部に結束バンドを巻いて外れにくくしたうえで、テグスで軒先から引っ張ることで、物理的に当たらないように工夫したところ、なんとかなっている様子。

 こんなバランスです

なおこちらの利用者さん、いまは介護度が上がってこの掃き出し窓のある居間にベッドを置くことになり、ヘルパーさんが頻繁にいらっしゃるようになったのだが、玄関でなく、ここのデッキ側から訪問されているとのこと。はからずも声掛けの縁側空間としても活用されているようで、つくった甲斐があったというものです。



そして、最近同じような相談があったのだが、そのときにこちらにも盲点があったことに気がついた。
高齢の方の物干しは、量が少ない。となると、日常の物干しはいわゆるピンチハンガー(洗濯ばさみがたくさんついてある、折りたたみ式のやつですね)ひとつで足りてしまう。それを室内でセットして、ひょいと掛けるだけなのだ。


とすると、物干し竿って果たして必要か?という気づきを得たので、試しにこういうものをご提案してみた次第である。

チェーンの先端におもり代わりのステン金具

上の作戦の応用編で、チェーンを垂らしてそれが窓に当たらないように、2方向からテグスで引っ張ってみた。今のところ、これで問題なく使えているとのことで、ひとまず合格点の様子である。


ただ、後で調べると、プラスチックチェーンは常時引張りをかけると伸びて強度が落ちるとのことで、耐荷重6kgということで入れてみたものだが現状様子見。チェーンが切れても、テグスの方でひとまず落下は防ぐだろうとの目算ですね。でも次回からは金属チェーンにすべきかどうか、コストの関係でちょっと悩ましくもあります。ピンチハンガーを吊り下げてない時間のほうが遥かに長いですしね。


費用と手間をかければ様々なことには対応できるのだけれど、早い安い便利を希望、みたいな生活上のニーズにさらっと対応するのも、在宅生活の便利屋みたいなこの仕事では必須のスキル。完成度はいろいろあれど、手すり等だけでなくこういうところまで仕事をしないと、在宅での生活の継続を守るよ!とは言えないわな、と思って、いろいろと工夫する日々なのでした。


※追記

洗濯機のお困りケースについても、ご参考になれば。


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てすり屋のひとりごと 橋本 洋一郎(合同会社 湘南改造家) この記事、すごく役に立った!などのとき、頂けたら感謝です。note運営さんへのお礼、そして図書費に充てさせていただきます。