見出し画像

デカ洗濯機を処する術 ~洗濯機パンと延長水栓、設置スペースの話


十年一昔という定義なら、一昔どころか三昔がザラ、四昔五昔もメインステージとなるこちらの仕事ですが。そんな建築当時と大きく変わった家電が、洗濯機なる代物であります。


昭和20年代はこんなかたち(東芝P型洗濯機)

なんせ自分が生まれてからの時代でも、脱水槽に冷たい洗濯物手移し必須の辛い二槽式、そこから徐々に一槽化。また家庭用の乾燥機が登場し、別体でラックで上に重ねられがちだった状況を経て、今の流行りは斜め正面向きドラムによりオールインワンに。そりゃ家の方の対応も簡単じゃないはず。

そしてそんなデカ洗濯機がやってきてお困りになる皆様に、こちらの備忘がてらにそんなケースの対策をご紹介をば。


洗濯機には、なにが必要?


洗濯機なる代物、こ奴は意外に手がかかる。なぜなら、3つの設備ルートを開拓しない限り使い物にならない家電だからである。

電源、給水、排水じゃないの?と思われる方、正解ではあるが、それでは足らぬ。

まず電源。こいつは水を使う条件ゆえ、漏電する可能性がある。対策のアース線が必要。でもこれ、工事は電線のルートと別にして、地面に突き刺す必要がある。

あっコンセントが浮いてる!(我が家のです)

そして、差し込みとプレートとの隙間がちょっとしたことで空きがち、かつ衣服を扱うのでその隙間に埃が溜まりがち。そうなると、トラッキング火災いらっしゃい状態になる。



そして、給水。これがまた悩ましい。長年使われてパッキンが固着した給水栓、なにかワイドショーで毎回閉じた方が良い、などとお節介な話が流れたりすると、内部の固着したパッキンが剥がされ戻らず、じわじわ漏水の開始である。なので、古い水栓はえてして地雷化している。

こういうやつらです

また給水のホースも、よくわからん原始的なアダプターを蛇口先端にねじ固定していたりして、これまた接続が甘くなる。全自動化した洗濯機は、常にそのルートが加圧されていて圧が変化するという過負荷っぷりも辛い。そしてホースのジョイントは樹脂部品、つまり経年劣化する。これが何かの拍子に壊れると、有難くない噴水が発生しかねない。

とどめに排水。よくわからん排水管の先が床に姿を見せていて、そこに排水ホースが突っ込まれているだけとか、あるあるである。これ、排水桝が詰まると汚水が噴き出す仕様ということになる。

防臭ゴムキャップがあっても逆流は厳しい

つまり、すべての設備ルートに万が一の保険が必要。洗濯機、やらかすと被害が甚大なため、いろいろフォローが必要な手がかかる奴、なのでした。


デカ洗濯機を入れるなら、何を使う?


デカくなった洗濯機を入れるとき、それらの課題もクリアしておくと安心だよね、ということで、万が一の事態でも安心!な洗濯機向け基本装備のおさらいと、デカ洗濯機向けの工夫、ぜひチェックをば。

電源

既存コンセントがアースなしの場合、電気屋さんに頼んでコンセントプレートをアース付きに交換してもらい、壁裏に穴を開けて外にアース線を引くべし。また隠れがちなコンセント位置の場合、定期的な埃チェックを忘れずに。文字通りの炎上案件になりますので。
あ、あと容量計算もざっくりやっておいた方がいいですね、ブレーカー落ち要因にはなりますので。足りなそうな場合は、電気屋さんにご相談あれ。


給水

洗濯機水栓なる、省スペースかつ便利な奴があります。これにしておくと、デカ洗濯機でなく通常の全自動洗濯機でも、その蓋の開閉時に水栓が当たりにくくなったりして快適。

うちのはこれ

頻繁に開閉しない前提で作られておりますので、操作部はえてしてシンプル。そして特徴は、洗濯機ホースがバチッと接続でき、そして外れ止めが引っかかる形状であること。そして何よりホースが外れたら、水がストップすること(緊急止水弁機能)。

なので、この際に可能なら交換してしまいましょう。設備屋さんを呼ばない場合は、DIYでもやりやすい先端だけ交換って手もあります。

ただし、その程度では問屋が卸さないのがワガママッチョなデカ洗濯機。

デカ洗濯機、実は足元の平面サイズは60㎝角程度でほぼ収まる。だが、意外にのっぽで、手前にもデカい。上半身ムキムキなのである。

東芝さんのところからお借りした図(一部加工)

図面で比べると一目瞭然で、本体の背丈、小さめの全自動洗濯機より180mm程度高い。そして、残念なお知らせとしては給水栓の取り出し高さ、以前の住宅設計では1050mmくらいにあるのが常なのだった。つまりこいつらが激突しがち。そして嵩上げとなる洗濯機パン(後述)を利用すると、さらに100mm程度の余裕が必要にもなるのです。


そんなときにはこれが役立つのです。延長管付き洗濯水栓。

水栓の位置を100mm(もしくは150mm)物理的に上側に逃がす、優れもの。各社から出ていますが、自分はシンプルな操作部のカクダイさんのが好み。

ビフォー⇒アフター

この水栓、横向きにすると側面からパチッと洗濯ホースの接続が可能。なので次に出し入れするときも楽々。カクダイさんのものは万が一何かをぶつけても配管が回らないように、サドルバンドまで付属しているのも親切設計であるのです。残念なのはこの廉価品が最新カタログからは見当たらないこと。もしかして廃番かな(メッキ高級品はありますけど)。

これにて給水側は一件落着。


排水

そんなに昔の住宅でなければ、640角の洗濯機パンはすでに入っていることが多いと思うんですよ。

この洗濯機パンのやってる仕事。ひとつは洗濯機の周囲に水をこぼしても床を濡らさず速やかに排水する役割、そしてもう一つは、付属のトラップ(臭いを上げない仕組み)を介して、ちゃんと排水ホースを接続できること。何かの拍子に排水管が抜けた?!ということも避けられ、さらに排水の逆流があったとしても洗濯機パン上部に漏れるだけ。ただの下敷きではないのですよ。なので、すでに装備済みの皆様は、640角以上のものであればデカ洗濯機にもたぶん対応できるので(前の空間が狭いとフタが開きませんが)、どうぞ大事にしてやっておくんなまし。


でも、それがない場合。やっぱり水難事故の保険として、この基本装備を入れておきたい。

もしデカ洗濯機の床直置きを勧める設計の人間が居たら、お前の家はどうなんだと詰めてやってください。そいつはきっと丘ランドラーです。

でも、こいつは床下をいじらないと排水管を繋げないので、いろいろと大変なのです。

二槽式(!)用の台に乗ってたケース

これは床を切り込んで配管せねばならぬのでした。

洗濯機パンの位置から逆算して排水位置をカット
トラップまで配管できましたよ
740幅のやつでちょうどいい感じ

パンを置いて、トラップを締め込み、パン四隅をネジ固定してとりあえず完了。

ちなみに、置けるスペースがちょっと足りん、そんなときはアクロバットをやることもあります。

場所がないなら床を延ばせばいいじゃない

こちら、電気屋さんがやっつけ仕事でデカ洗濯機を繋いでいった結果、勝手口のたたきに転落しそうになっていた危険案件。なんとか対策、間に合いました。

すっきりー


メーカーさんの公式にはいろいろチェックポイントが書いてありますが、建築系の自分が押さえるポイント、だいたいはここらへんなのでした。

乾燥まで一気に仕上がって便利なデカ洗濯機、家事負担軽減の強力な助っ人であります。導入をご検討の皆様、どうぞご参考まで。


※参考記事

お洗濯ものは頑張って干す!派の方はこちらをご参考に。


※おまけ

本日取り上げたカクダイという水栓器具メーカーさん、ご存知の方もいるとは思うのですが、毎年のカタログ表紙が凄い。もう水栓に目が行かないw

紫の炎、だと?!

今後もこの道を突き進んでいただきたく。

自分が盛大に噴いたのはこちら


いいなと思ったら応援しよう!

てすり屋のひとりごと 橋本 洋一郎(合同会社 湘南改造家) この記事、すごく役に立った!などのとき、頂けたら感謝です。note運営さんへのお礼、そして図書費に充てさせていただきます。