実践してないのに、レビュー特典だけ欲しかった/昔稼げた男のしょうもない再起録 #5
高い教材で懲りたはずだった。
買っただけでは変わらない。
フォルダ名を「再起プロジェクト」にしても、人生は再起しない。
そこまでは、さすがに少し分かっていた。
それなのに、また買った。
今度は100円。
缶コーヒーより安い。
こういう安さは、弱っているおじさんにやさしい。
そして、だいたい危ない。
高額教材を買う勇気はない。
でも、何か変わるきっかけは欲しい。
100円なら、失敗しても痛くない。
そう思った。
もう、この時点で少し痛い。
中身は、悪くなかった
その商材は、Brainでかなり気軽な感じで売られていた。
初心者向け。
有料級。
副業の全体像が分かる。
今だけ100円。
これくらいならいいか。
試しに見るだけならいいか。
どうせ100円だし。
そう言いながら、ボクは買った。
また買っている。
我ながら、学習能力が怪しい。
中身は、悪くなかった。
というより、普通に勉強になった。
なるほど。
たしかに。
これは使えそうだ。
そんなことを思いながら読んでいた。
ただ、読んだだけである。
記事は出していない。
売り場も作っていない。
100円も生まれていない。
それなのに、なぜか少し前に進んだ気になっていた。
レビュー特典が欲しくなった
最後の方に、こんな案内があった。
レビューを書いてくださった方へ、追加特典をプレゼント。
出た。
レビュー特典。
それを見た瞬間、なぜか少しだけ目が覚めた。
本編を読んでいる時より、反応が早かった気がする。
追加特典。
限定資料。
購入者限定。
こういう言葉に弱い。
かなり弱い。
実践はしていない。
でも、特典は欲しい。
ここで急に、ボクの手が少し動きそうになった。
星5を押す指だけは軽かった
レビュー欄を開いた。
星が並んでいる。
まだ何も実践していないのに、星5を押す指だけは軽かった。
「とても参考になりました」
打てる。
かなり打てる。
「これから実践していきます」
これも書ける。
「初心者にも分かりやすかったです」
まあ、書ける。
実践はしていない。
記事も出していない。
売り場も作っていない。
でも、レビューだけは書けそうだった。
こういうところだけ、手が早い。
我ながら、なかなか薄い。
「これから実践します」
便利な言葉である。
今はやっていないことを、未来の自分に投げられる。
その場の体裁も整う。
特典ももらえるかもしれない。
かなり都合がいい。
何も出していない
結局、その日はレビューを書かなかった。
踏みとどまったように見える。
でも、別に偉くはない。
レビューも書いていない。
実践もしていない。
記事も出していない。
売り場もない。
ただ、100円の教材を読んで、特典だけ欲しがっていた。
机の上には、前に買った教材のメモがある。
パソコンには、「再起プロジェクト」という名前だけ強いフォルダがある。
そして、noteの下書きはまだ白い。
その日いちばん軽かったのは、再起する手ではなく、星5を押しかけた指だった。
追伸:
カッコよく戻れそうにないので、このまま見守ってもらえたら助かります。

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