人生はずっと仮免許練習中
人生はずっと仮免許練習中である。
その証拠に、巡る季節を幾度となく経験しても
衣替えのタイミングに成功した試しがない。
特に秋。
これは本当に難攻不落。
毎度毎度この季節の衣替えに失敗して風邪をひく。
頭には重力を無視したto be continueの文字。
我が残機がいくつあるのか知らないが、まだ見ぬ残機たちももれなくラスボス的な秋に投げつけられしコールドをものの見事にキャッチしちまうんだろう。
……今のは、厨二病初級の中学生に向けての渾身の英語講座だったのだが!
まあ許せよ、俺、教育実習行きたくないが故に教員免許取ってないからさ。
catch a cold=風邪をひく
それはともかく、アラウンドサーティまで生きてきて
どうにも無限に終わらぬチュートリアルに嫌気がさしたりささなかったりな今日この頃なわけだ。
そんなベテラン厨二の私は昨日、とんでもねェ4歳児に出会った。
例によって、某モスバーガー…もはや“某”でもなんでもないのだがモスバーガーで記事をしたため…
…ぜんっぜん捗らなくてずっとアイスコーヒーの氷をガラガラガラガラかき回している迷惑な女として君臨していただけなのだが。
しかも、寒いのに意地を張って
「アイスコーヒーLサイズ」なんて頼んじまったもんだから寒くて寒くて。
寒い日にアイスコーヒー頼んで、手に息吹きかけたり、急に拝み始めたり、そのくせ氷をボリボリ食ったりというバケモンぶりを披露していたところ、件の4歳児に度肝を抜かれた。
だから今私には肝臓がない。
以下は私の肝臓を抜き去った彼女と愉快な仲間たちの様子を出来る限り鮮明に解析した結果である。
「身体に悪いものってどうして美味しいの?」
女の子がフライドポテトを頬張りながら、
年齢相応の音声かつ50歳くらいの口調で言っている。
一体、人生何回目なの?
ブラッシュアップライフ?
こみ上げた笑いのサイズが大きさときたら…
噴射口で突っかかったのか、
むせた上に鼻の奥に陣痛、否、いつものトイレがぶっ壊れるくらいデッカい便が出る5秒前みたいな痛みがきた。
鼻からスイカ出るかと思った。
…鼻からスイカ出れば無限に夏気分味わえるな。
寒いけど。
「ああ〜止まらない。食べる手が止まらない!誰か止めて!」
4歳児(以下、ブラッシュアップ少女と呼ぶ)の猛攻は止まらない。
“食べる手”ってどこでそんな語彙力を身につけた?
絶対中身50歳代であろう?
笑い過ぎてすっ飛ばしたが、その前の
「身体に悪いものってどうして美味しいの?」
も、令和一桁ガチキッズのお方がお遣いになられる言葉とは到底思えないのですよ。
平成一桁生まれとしましては。
びっくりでございますよ。
ほら、レジの向こう側でお店の方々も後ろを向いてガタガタ震えてらっしゃいますよ。
あれは寒くて震えているのではなく、笑いをこらえてらっしゃいますのよ、お嬢様。
だってあの場所が灼熱だって俺は知っているからな!
(元・モスバーガー店員)
↑
日曜日のモスバーガーが事件だった話はこちら。
なおガタガタ震えていた店員の中にはここに登場した翁とバトルを繰り広げたアニキもいた。
もう、ブラッシュアップ少女の躍進は止まらない。
誰にも止められない。
むしろ、止まらないで!
もうこのままのスピードで店ごと吹っ飛ばしてくれ!
そんなことよりだ。
父、母、兄、ブラッシュアップライフ疑惑少女の4人家族。
…いや、たぶん家族。
4人組のバンドの可能性も否定はできないが、おそらく家族。
「お兄ちゃん、そんな身体に悪いものたべて…」
始まった。
続編が始まった。
目を凝らすと、兄の前にはナゲットの袋が2つ。
…ご自身もフライドポテトが止まらぬというのに、お兄様に注意なさるブラッシュアップ少女。
「そんなことだから小学生なのにお腹ぽよぽよなんだよ!」
それ、この間ほぼ似たようなことをチワワ連れの夫婦が語り合っておったぞ。
「あなたね、そうやってしょっぱいもんばっかり食べるから血圧がァ!!(うんぬんかんぬん)ことあるごとにコロッケ食べるからァ!!(うんぬんかんぬん)」
ってな。
前をゆくチワワが結構な頻度で俺の方を振り向き、
「どないしたらええねん。夫婦喧嘩、犬は食われへんねん」
みたいな顔をしていた。
なので、つい手を合わせて「ごめんな、何もできなくて」の顔をし瞬間、妻の方が
おおん?!と俺の方を振り向いて
「(うわっ!なんか拝んでる!怖!新興宗教?)」
と思ったか思わないかは知らないが
盛大にビビり散らしておった。
まあ…全身黒づくめで目深にキャップまで被っていたのが悪いよな。
ごめんな。
そんなことを思い出していたら、続きまして…
「パパ、コーラなんて飲んで…虫歯になるよ!おうち帰ったらすぐ磨きなさい!」
おお、父にも来たか。
「ンー、そうだねェ。でもさァ…りっちゃんもオレンジジュース飲んでるよねェ…?ヘヘヘヘヘヘ…パパのこと言えるのかな?」
おい。
論破すんな。
ガキか、あんたは!
…あ、そうだ。
人生は仮免許練習中なんだもんな。
パパだって仮免許練習中なんだもんな。
じゃないんだよ。
いくらブラッシュアップしてそうったって見た目は4歳児なんだから一応そこは
「うわあ…虫歯、いやだよォ」
とか言えよ!
まあ俺があんたでも論破するけど!
子どもだからって容赦しないけど!
…で、そもそもコーラもオレンジジュースも飲まない俺が一番大人ってことか?
違います。
人生の熟練度が低いだけです。
仮免許の中の仮免許だ。
間違いない。
それでもって、
二度あることは三度ある、に期待して良いんだよな?
ラストは母ちゃんへの注意でフィニッシュしてくれるんだよな?
「ママ、それっぽっちの野菜でいいと思ってんの?」
裏切らない、ブラッシュアップ少女!
ありがとう、ブラッシュアップ少女!
安心、信頼のクオリティ、ブラッシュアップ少女!
でも自分は相変わらずフライドポテトをかっ喰らっている。
もう、見ている…聞いているこちらがもたれちまいそうだぜ。
そして、
「りっちゃん、おかわりしたいなァ…ポテトォ…」
年相応の声で、年相応のことを言い出した。
…おねだりの時はブラッシュアップライフ感消すんかい!
さすがだな。
そこからして人生周回していること間違いなしなんだよ。
店員笑ってる
私も笑ってる
るーるるるるっるー
今日もいい天気
ドラネコはお魚咥えてないし、今日は財布も忘れてはいない。
それでも日曜日の終焉を告げるあの歌がレクイエムの如く脳内を駆け巡る。
土曜日なのに。
そして、おそらく1週目人生のアラウンドサーティ、絶賛仮免許練習中の私は今年も秋の衣替えに失敗している。
暑くもなく寒くもない謎の気温の夜は半袖で床につく。
どちらかといえば暑がりだから。
しかし、流石に昨日は…
うん。
寒かったよ。
寒かったんだけどさ!
しまってある長袖のパジャマ引っ張り出してくるの面倒臭くてさ!
膀胱が爆発しかけて目を覚ます。
あまりの寒さに
「布団から出られませぬ〜でも漏れるでござる〜でも布団から…」というしょうもない駄々を、
真っ暗闇、寝静まる家族の横でごろんごろんとこねくり回す。
挙句、尿道ぎりぎりまで耐えてからトイレダッシュする。
さすがに尿意スヌーズは気色悪いぞ、自分。
と思いながらもこれが俺の秋のルーティンなのだ。
ブルブル身震いしながら用を足しましたよ、ええ。
あともう一つあってな。
「ぬっくぬくのお布団から出たくなァい」
からの何度も布団をかけ直すのが秋冬のベッド事情トレンドMVPだと信じてやまぬので、
まだ深まれりになっていない浅めの秋にこのトレンドを先取りしたくて半袖で床についている節もある。
まあ案の定、風邪ひくわな。
ただでさえ胃壊れてんのに、重ねて風邪までひいた。
ここのところ、勇猛果敢に食に挑んでいたらついに胃が壊れた。
とはいえ芋は食べとうございます。
なので、芋粥を食ろうております。
というわけで今しばらく芋粥生活は続く。
そして、仮免人生も続く。
本免許取得はいつになるのやら、それは誰も知り得ない。
三途の川の先に試験会場があるのか、はたまたそんなものははなから存在しないのか。
今日も仮免許のまま私は人生という道なき道を進むのであった。
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お・ぬ・し