21.6回分の煩悩
いやはや、今日は珍しく中途覚醒もせず、夜中に余計なものを貪り食ったりすることもなく寝ました。
よく寝た!
よくやったぞ、俺!
布団に入る前は、
「あわよくば、白玉作って食ったろ」
と思っていたのだけどな。
それにしても、睡眠というものは大事なのですね。
なんというかこう、判断力が普段よりはましというかなんというか。
落ちる寸前の線香花火の芯ほどのサイズにまで規模を縮小した雑念……
否、煩悩が五分の一。
だから今年の大晦日の除夜の鐘は21.6回聴けば寝てよし。
というわで絶好調なので、今朝は理想的な永平寺の朝食を準備した。
気分はBowSである。
(週末には立川駅北口で托鉢ライヴやっちゃう。)
【理想的な永平寺の朝食のお品書き】
1.白粥
2.梅干し
3.焼きししゃも(子持ち)
4.きゅうりとわかめの酢の物
【現実の永平寺の朝食】
1.玄米粥
2.沢庵
3.(大量の)黒ごま塩
はい。
精進料理であるべきところに明らかにいけないものが入っていますね。
例えるならば、シューゲイザー的なバンドの前座が泣く子も黙るヘビメタバンドだったときくらいのイケナイオコナイ。
背徳。
焼きししゃも。
しかも、贅沢に子持ち。
ぱんっぱんに卵が詰まっておりました!
美味しかったです!
じゃねェんだよ。
なに魚本体に加えてその未来ある命である卵まで食ってんだよ!
語彙力は喪失、しっかり寝たくせに殺生貪り食って、何ら冴えていないじゃないか。
──私信──
十二月三十一日の私へ
除夜の鐘はきっかり百八回聴くように!
十月二十一日の私より
大晦日なんぞ、例年
簡易式栗きんとんのきんとん部分を作っている途中で味見という名の本気喰いをかまして三回くらい自宅とスーパーを行ったり来たりするという重罪を犯すことで、その年の罪の滑り込みセーフみたいなことをするのに忙しいのだ。
その年に犯すべき罪のノルマが決まっていてな、犯しきらないと翌年のギルスコが足りなくて普通の人間になっちまうんだよ!
自称大魔王としては、このギルスコ不足による人間化は避けたいのである。
除夜の鐘がビートを刻み出す頃にはもう腹もいっぱい、一年分の……
って除夜の鐘聴いてほぼ毎年ギルスコリセットしてるじゃん!
じゃあ私ずっと普通の人間だったんじゃん!
大魔王どころか無王じゃん!
それこそあれだ。
初詣でない理由として、
「自分が魔王だから破魔矢で暗殺されない為」という魔王としては至極真っ当なことを言ってきたつもりだったのに人間だったってことがバレたらもう……
って待て。
三百六十グラム入りのデーツが空っぽだぞ。
さっきまで満タンに入っていたのに。
……夜中、せっかく白玉作らずに寝たのに。
なんということ。
結局「食」という煩悩に支配されているじゃないか。
以前までの私は「食」にそれ“ほど”興味ないタイプの「食ほど」だったのに、
今や「食」に骨抜きにされている。
もはや、「食」に支配されるにも“ほど”があるタイプの
「食ほど」になっちまった。
今朝、体重計に乗って腰を抜かした。
腰抜かしてんのに増量しているのだから恐ろしいよな。
もっといえば、つい最近
人生周回中のブラッシュアップ少女に肝臓引っこ抜かれてんのに体重マシマシマシマシマシマシなのだから、驚きもマシマシである。
【ブラッシュアップ少女】
推定四歳の少女(の姿をしている)。
「身体に悪いものってどうして美味しいの?」
「食べる手が止まらない」
などの年齢にふさわしくないことを、年齢相応の音声かつ50歳くらいの口調で言う。
ともすれば我が腰と肝臓はXキログラムであって、とりあえず食べた分が脂肪として蓄えられて……?
いいや、もう訳がわからない。
食ったものが溶解炉サムズアップしている。
が、サムズアップした指だけ残してとこから溶解していかぬのだ!
どういうことだ!
助けてくれ。
さすがに胃がパンッパンで苦しい。
破魔矢で我が胃を射抜いてくれ!
腹の中で膨張し続ける悪魔を取り除いてくれ……!!
嗚呼……これで私は魔王ではなくなる……
結局、吾輩は魔王ですか、人間ですか?
それともまた別枠の何かですか?
あまりにも苦しくて、この苦しみを乗り越えたら悟り開そう。
いや、違うな。
私は食べ物を救っているのだ。
我が胃に入ることで、食べ物は涅槃に入る。
これはつまり、私に食われた者たちは
「誕生」「生」「死」の無限ループこと輪廻からの解放により自由を手に入れるということだ。
というわけで、さっきししゃも食って反省したのも取り消しな。
たぶん、ししゃも、きっと私に感謝してるから。
どんな思考だよ!
うるさいから永遠に寝てろ、俺!
【参考資料】
◽︎奥井海生堂
永平寺の精進料理と昆布 : 大庫院でのお料理 : 取材記 H21年8月
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お・ぬ・し