繊細無職の生存戦略vol.8 | エンディングノート。
約20年勤めてきた会社を辞めた。
心の病を経て、一度、社会というレールから降りてみる選択をした。
何者でもない自分となり、もちろん、お金の不安は消えないものの、日々、多くの気づきを受け取っている。
その気づきの一つが、「自分、そして、周りの大切な人、プライベートな時間をおろそかにしすぎていた。」というものだ。これまでは、何かしてあげたいとか、何かしたいという衝動があったとしても、その気持ちより疲れが上回り、向き合わなきゃいけなかったこと、行動に移していきたかったことなど、様々なことを先延ばしにしてきた。
もっと、会社員時代に気づいて、軌道修正して上手くやれよと思い起こすことは何度もあるけれど、多分、あの頃の私にはそんな器用なことはできなかった。頭では果たしたいこと、やりたいことが何となく浮かんではシャボン玉のように消え、「まぁ、今のタイミングではないか。」とか、「まぁ、いいや。」と行動に移すまでにはいかず、結局、何か始めるというアクションをしてこなかった。
しかしながら、無職になって大きく考えが変わってきたのは、目先や先行きの不安への心配などはありつつも、漠然とした将来や老後の不安にどうこう悩むということよりも、死から逆算したときに何をしたいかを内省し、それを「小さく始めてみる。」ということだった。
会社員のときは、余裕や余力といったものは一切なく、ほぼ24時間、頭の中は仕事のことでいっぱいだった。心の余白など無かった。
これまでの約20年間もの間、私の脳は仕事チャンネルばかりを観てた。なので、脳のチャンネルを変えるため、リモコンを持ち、ボタンを押し、この無職の期間は、違うチャンネルを観てみる時間と捉えることにした。
もちろん、この20年で得たものも計り知れないが、失ってきたものも大きいのが、事実としてある。罪滅ぼしのように、少しずつ何か欠けていたパズルのピースを埋めるかのように、先ず人生でやっておきたいことを紙に書いていく。リストアップとかそんなかっこいいものではなく、なぐり書きに近い箇条書き。ただただ、想いのままに。
書いたことの中で、いま出来ることを一つ一つ始めてみる。そんな取り組みをスモールスタートさせた。
その中でも、最初に始めたのがエンディングノートだ。
人は、いつか死ぬ。
この今、当たり前と思える時間は、永遠ではない。
そう思え、死を考えたとき、何かを残したくなった。
さっそくアクションできている自分がいた。
エンディングノートを買い、書き始めていたのだ。

書いていくと、ほんと自分のことをよくわかっていないんだなということを知る。そして、ほとんど管理できていないこと、探しものに多くの時間を費やす。
どれだけ、自分のことをないがしろにしてきたのか、後回しにしてきたのか、ズボラな自分へ、情けない感情が湧き出る。その感情と向き合う時間すら持てていなかったことに唖然とする。きっと甘えもあったなと気づくことも多くある。
そのような思いを馳せながら、もしもの備えとして、エンディングノートには、これらの内容を書いていく。
・人生の振り返り
・連絡先リスト
・財産管理
・介護、医療
・保険、年金
・葬儀、お墓
・相続、遺言
この順に、書き込んでいく。
初っぱな、人生の振り返りを年代ごとにしていくのだが、問いに対するアンサーがすぐさま出てこない。
「なんで思い出せないの?お前には、感謝してもしきれない恩人とか、絶対忘れたくない想いとか、大切な思い出は無いのか。」って、思い出せない自分に腹が立った。薄っぺらな自分に呆れた。
人並み、いや、良くも悪くもそれ以上に数々の失敗を重ねてきた。そのたびに、誰かに支えられ、救われて生きてきた。それなのに。
そのような負の感情で埋め尽くされる。
自分の過去と向き合うのは正直しんどいなと、わかっていたけど、ほんと消えてなくなりたいと思ってしまう。
でも一方で、避けて通れない道のようにも思えた。
過去の自分との対峙に苦悩する自分は、少しだけ意外で、でも、どこか納得もした。 社会人として約20年、外側の評価や役割に応え、他人軸で生き続けてきた自分は、「何をしてきたか。」は語れても、「どう感じて生きてきたのか。」や「本当はどうしたかったか。」を、すぐには言葉にできなかった。
空白がある。 思い出せないわけじゃなく、すぐには取り出せないんだと気づく。記憶も整理できていないのだ。
たぶん、それは感じる前に次へ進むことに慣れすぎていたからだと思った。 嬉しかったことも、悔しかったことも、その場でちゃんと味わいきる前に、「次のタスク」「次の役割」に上書きされていった。だから、いざ立ち止まって振り返ろうとすると、自分の人生なのに、少し他人事のように感じてしまう瞬間がある。
そして、もう一つ、すぐに取り出せない理由がある。
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