山手線車両基地を“見せる街”へ―大井町トラックスの衝撃
大井町トラックスとは何か
鉄道インフラを観光資源に変える都市開発
東京都品川区の大井町駅前で進む大規模再開発「OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)」は、JR東日本が中心となって進める新しい都市開発プロジェクトです。

単なる駅前再開発ではなく、
「鉄道の街・大井町」の歴史
品川エリアの国際化
防災機能の強化
新しい働き方・暮らし方
回遊型の商業空間
を一体化した、“未来型の都市生活拠点”として注目されています。
大井町はこれまで「交通利便性は高いが、駅前の統一感や大型開発が少ない街」と言われてきました。しかし、大井町トラックスによって、街の景色そのものが大きく変わろうとしています。
「鉄道を隠さない都市開発」への転換
これは都市開発としても興味深い点です。
従来の再開発では、
高架
車両基地
インフラ施設
は「隠す対象」でした。
しかし大井町トラックスでは逆に、
「線路や車両基地を見せる」方向へ変わっています。
つまり、
“鉄道の街”としてのアイデンティティを前面に出している
のです。
これは、東日本旅客鉄道が進める近年の街づくりとも共通しています。
たとえば、
高輪ゲートウェイシティ
ウォーターズ竹芝
などでも、
鉄道
港
水辺
インフラ
を「都市の魅力」として見せる設計が増えています。

開発の背景 ― なぜ大井町だったのか
① 品川エリアの拡張戦略
JR東日本は近年、「広域品川圏」という考え方を打ち出しています。

これは、
品川
高輪ゲートウェイ
浜松町
大井町
などを一体の成長エリアとして再構築する戦略です。
特に品川駅周辺では、
リニア中央新幹線
羽田空港アクセス
国際ビジネス拠点化
が進んでおり、その南側に位置する大井町も重要性が高まっていました。
② 国鉄時代から続く「鉄道の街」
大井町周辺には、かつて国鉄の大井工場(現在の東京総合車両センター)が存在しました。
つまりこの地域は、長年にわたり「鉄道インフラを支える街」だったのです。
「TRACKS(トラックス)」という名称も、
線路
軌跡
通り道
人々のつながり
などを意味しています。
鉄道の歴史を継承しながら、新しい都市へ進化する―それがこの開発の大きなテーマです。
開発エリアには以前、
JR社宅
鉄道関連施設
などが存在していました。
■ 再開発計画が本格化
JR東日本と品川区は、
駅前の分断解消
防災力向上
歩行者空間整備
品川区新庁舎との連携
を目的として、広町地区の再開発を本格化しました。
行政と民間が連携した街づくりのため、中立公平性の観点からUR都市機構が地区整備方針の検討やインフラ整備のための土地区画整理事業を行っています。


出典:UR都市機構

◼️インフラ整備
【交通広場】
新たな交通広場は、「立体道路制度※」を活用し、 「OIMACHI TRACKS」と重層的に整備しました。
JR東日本による駅改良と併せて整備することで、既存の駅前広場との役割分担を図り、地域交通の円滑化など、交通結節点としての機能向上が期待されます。


【区画道路】
補助26号線から交通広場へ接続する幅員約16mの区画道路を整備しました。今後は交通利便性および安全性の更なる向上を図るため、新たな交通広場から補助 163 号線へ接続する東西道路の整備を予定しております

【歩行者専用通路】
鉄道や土地の高低差によって分断されている品川区庁舎エリアとJR東日本広町社宅跡地等エリアを繋ぐ道路や歩行者デッキの整備を進めています。
JR東日本・東急電鉄株式会社と連携し、東急大井町線高架下の通路整備を行っており、令和8年6月頃に「4号通路」 、同年12月頃に「2号通路」が完成予定です。
完成後は、 「OIMACHI TRACKS」や「TRACKS PARK」と補助 26号線道路が繋がり、交通広場や建築中の品川区新庁舎へのアクセスが強化されます。
さらに、大井町駅からしながわ中央公園へアクセスできる歩行者デッキの延伸も予定して
おり、より一層の回遊性・安全性を備えた快適な歩行環境を整備していきます。


◼️品川区新総合庁舎
新総合庁舎は現本庁舎などに隣接する敷地約8340平方㍍に整備する。
鉄骨鉄筋コンクリート造(地下)と鉄骨一部鉄筋コンクリート造(地上)で免震構造の地下2階地上14階建て延べ6万0779平方㍍。
地階を駐車場、1~12階を区の執務スペースなど、13~14階を区議会の議場などとする。
防災指令の拠点とするため6階に災害対策本部などを配置。


■ 「大井町トラックス」に名称決定
2024年、街の名称が正式に「OIMACHI TRACKS」に決定。
同時に、
ツインタワー
商業施設
シネコン
ホテル
サービスレジデンス
広場空間
などの詳細が公表されました。
2026年:街びらき
2026年3月にグランドオープン
大井町駅前は、これまでとは全く異なる景観へ変貌しました。

出典:JR東日本

出典:JR東日本


大井町トラックスの主な魅力
① 駅直結の圧倒的利便性
大井町駅は、
JR京浜東北線
東急大井町線
りんかい線
の3路線が利用可能です。
さらに、
品川
東京
渋谷
お台場
羽田空港
へのアクセスも良好です。
この開発では歩行者デッキが整備され、駅と街がシームレスにつながります。



② 「アウトモール型商業施設」
通常の駅ビルとは異なり、屋外空間を活用した“回遊型商業施設”が特徴です。
開放感のあるデッキ空間に、
カフェ
飲食店
ブックカフェ
ライフスタイル店舗
など約80店舗が集積。
「通りを歩く楽しさ」を重視した設計になっています。



TOHOシネマズ進出
BUSINESS TOWERには、
TOHOシネマズ入居。
大井町はこれまで大型シネコンが少なかったため、街の集客力向上につながると期待されています。
③職住近接
サービスレジデンス
長期滞在型の高級レジデンスも整備されます。
ホテルのようなサービスを備えながら、住宅として暮らせる新しい都市型住居です。
これは、
外国人ビジネス人材
長期出張者
富裕層
都心居住ニーズ
を意識した施設と考えられます。


④ホテルとルーフトップバー
「ホテルメトロポリタン 大井町トラックス」も開業。
特に注目されるのが、
「車両基地を一望できるルーフトップバー」
です。
鉄道ファンだけでなく、“東京夜景スポット”としても人気化する可能性があります。


⑥ 防災都市としての機能
この開発は単なる商業再開発ではありません。
約3,000人の帰宅困難者受け入れ
広域避難場所
防災広場(TRACKS PARK)
など、防災機能も重視されています。
首都直下地震リスクを抱える東京では、こうした機能は極めて重要です。


■ 「高輪ゲートウェイ」との連携
JR東日本は、高輪ゲートウェイシティと大井町トラックスを連動させ、「東京南エリア」の価値向上を狙っています。
今後、
オフィス需要
インバウンド
羽田空港アクセス
国際ビジネス
との連携が強まる可能性があります。


◼️山手線操車場の見学スポット
その点は、大井町トラックスの非常に面白い特徴ですね。
大井町トラックスは、単なる「駅前商業施設」ではなく、隣接するJRの車両基地(東京総合車両センター)を“都市景観の一部”として活用している点が特徴的です。
特に注目されているのが、
ルーフトップバー
展望空間
デッキ空間
ホテル上層部
などから見える「鉄道ビュー」です。


なぜ“見学スポット化”が重要なのか
東京では近年、
工場夜景
空港ビュー
港湾ビュー
鉄道ビュー
のように、「都市インフラそのもの」を観光資源化する流れがあります。
大井町トラックスもまさにその流れに乗っています。
かつて車両基地は、
「裏側の施設」
「一般人が近づかない場所」
でした。
しかし現在は、
巨大インフラ
都市を支える現場
東京の日常を動かす機械群
として、“都市のリアル”を体験できるコンテンツになっています。


山手線・京浜東北線まで見える可能性
東京総合車両センターでは、
山手線
京浜東北線
横須賀線
総武快速線
特急車両
などの留置・整備が行われています。
タイミングによっては、
E235系山手線
新型車両
回送列車
深夜の入換作業
などが見える可能性もあります。
鉄道ファンだけでなく、「巨大都市・東京の裏側を見る体験」
として一般層にも人気が出そうです。
【JR東日本の発表】
「広域品川圏」のまちづくりと本開発の役割
JR 東日本は、羽田空港の国際化やリニア中央新幹線の整備による交通基盤の進化を見据え、国際交流拠点の実現を目指す「品川開発プロジェクト」を中心に、浜松町駅から大井町駅間の東京南エリアの各駅において、事業パートナーや地域の皆さまと連携しながら、駅を中心としたまちづくりを推進しています。
JR 東日本は、国際都市東京の玄関口である東京南エリアを「広域品川圏」と位置づけ、各まちの交流(つなぐ)から新たな価値の共創(つくる)を促進し、東京・全国・世界に向けてひろげることで、東京のさらなる魅力と国際競争力の向上に貢献してまいります。
大井町トラックスは、単なる駅前再開発ではありません。
そこには、
鉄道の歴史
国際都市化
防災
回遊型都市空間
新しいライフスタイル
が凝縮されていると言えます。
