次世代につなぐ横浜みなとみらい21のまちづくり~1,930社・13万人が働く街~
みなとみらい21(通称MM21)には、1,930社が立地し約13.4万人の雇用を創出。 来街者が年間約8,000万人と国内外から注目されている街がどのようにできたのか、詳しく解説します。
都市計画の業務に携わっている次世代の方に日本の都市計画の変遷とMM21の都市戦略など、街づくりの実践の理解を深めるための内容。
それ以外の方でも、どうして建物が海に向かって高さが低くなっているのか、最初は何にもなかった場所がどのようにして街になったのか、東日本大震災で被害がなかったのはなぜか、興味がある部分だけでもご覧いただけると嬉しいです。
1 みなとみらい21の開発の背景
東京の一極集中を是正するために、郊外地域に業務核都市を形成
MM21は業務核都市に指定された横浜市の中心プロジェクト。

国は、東京の一極集中による問題を解決するため、東京周辺の郊外部に都市機能を移動して業務核都市をつくり、分散型ネットワーク構造を目指した。
東京都心から電車で約30分、羽田空港にも近いという利便性を活かし、横浜市は企業の中枢機能等の業務集積を図り、国際業務拠点の形成を目指すこととなった。MM21プロジェクトの背景である。(図1)

横浜市は、東京のベットタウン化に伴う人口増加による都市問題に危機感を持っていた。 1965年、こうした状況を打開し、個性ある自立都市を目指す ために6大事業の実施を打ち出した。その1つが、みなとみな らい21地区の開発を含めた都心部強化事業。(図2)

みなとみらい21の開発前、造船所や鉄道貨物ヤードが横浜駅周辺と桜木町駅周辺の都市を分断しており、工業地域からの土地利用転換による新たな都心形成を目指した。右図が中央地区のマスタープラン(図3)
2 プロジェクトの特徴
主な開発の経緯や特徴、電車が見える地下鉄駅から地上4階までの吹き抜け空間などの見どころ、そして都市戦略を紹介。

横浜市は、①自立性の強化、②港湾機能の質的転換、③首都圏の業務機能の分担を開発目的と設定。1981年にマスタープランを公表し、2011年に土地区画整理事業による基盤整備が完了。
その間、2004年に地下鉄みなとみない線が開通している。(図4)

このプロジェクトは、官民が連携して街づくりを進めた。主な特徴は「 大規模な土地利用転換」「開発区域の段階的整備」「調和のとれた 都市景観」。(図5)

埋め立て区域(図左の黄色部分)と造船所や鉄道ヤードの大規模な土地利用転換を土地区画整理事業で実施。国際文化都市、情報都市、環境都市を目指す。
(図6)

公共交通志向型開発(TOD)のため、新たに地下鉄を整備し、ウオーターフロン トエリアが駅徒歩圏域となった 鉄道開業により、東京都心部から約30分と利便性も向上(図7)。

地下3階の駅から地上4階まで吹き抜け空間をもつアトリウム となっており、駅に到着する電車が見える。 ステーションコアは、駅から様々な用途の施設への歩行者アク セスを立体的に構成している(図8)。

市街化の促進も段階的に実施。 まず、プロモーション期には、地区の開発機運を高めるため 「横浜博覧会」を開催。 リーディングプロジェクト期には、まちの中心部で起爆剤とな る超高層のランドマークタワーなどを民間不動産会社が建設。 横浜市が美術館や国際展示場などを整備し、民間投資を後押し。 成熟期に入り多くの業務施設などが立地(図9)

まちの知名度がない初期段階に多額の投資をすることのリスク を低減するため、本来は高層の建築物を建てる予定の場所であっても、土地所有者が民間事業者に土地を貸し、低層の商業 施設などを立地を推進。 暫定利用が終わる頃、まちの市街化の熟成が進み、高層オフィ スなどの本格的な建設に切り替えることができた(図10)。

多様な機能を有する街として発展していくためには、街の質を 維持するために地権者間のルールとして、街づくり基本協定を 制定。 図の左から、土地利用ビジョン、建物の高さ、歩行者道路の ネットワーク。(図11)

左図の黄色部分が、住宅建築が可能なエリア 居住人口は約1万人を想定。
3 プロジェクトの効果と影響
都市機能の高度化、災害に強い都市構造、サステナビリティ、経済波及効果の4つの視点で事業実施の効果と影響を紹介。

まず、都市機能の高度化。都市活動を支える基盤整備として、道路や交通広場を整備、道路率が4.1%から25.1%に向上(図13)

地区内を快適に歩けるような歩行者専用道路ネットワークを構築
キング、クイーン、ジャックと横浜ならではのストリートに特徴を持たせ楽しめる空間づくりを目指す(図14)

多様な交流の場としての地区の4%を公園整備(図15)。

次に、災害の強い都市構造 21 水道、電気、ガスなどのライフラインを地下に建設した共同溝 に集約。ライフラインの更新時に道路の掘削等が不要となる(図16)。

埋立エリアが多いため、インフラ整備時に軟弱地盤対策を実施。 その結果、2011年の東日本大震災時も地盤沈下や液状化の 被害なし(図17)

災害用の地下貯留タンクを設置しており、28万人の3日分の 飲料水に相当する量を貯水(図18)

次に、サスティナビリティ。
街づくり協定による良好な景観を形成(図19)。

地域冷暖房システムを整備し、地区内の建物に高温の蒸気と冷 水を集約的に供給 省エネルギー効果は約15%と想定、森林およそ1,500haが持つ 浄化能力に相当(図20)

水際の公園では、生態護岸として生物の生息に配慮(図21)

地区内には、1,930社が立地し、13.4万人の雇用を創出。 コロナ前には、来街者が年間8,500万人 。 市の税収は年間約210億円、事業活動がもたらす市内への経済 波及効果は約2兆846億円(図22)
都市開発は、地方自治体の税収、雇用創出が重要な目標。
<参考> 横浜市の予算 ・人口377万人 ・予算約2兆円



ここまでご覧いただきありがとうございます
海外から日本の都市開発を視察する方が増え、MM21は定番になっています
このプロジェクトに携わった者として、次世代の都市開発を担う方々に情報をつなぎたいと思いnote 記事にすることにしました。
皆様の何かの参考になれば嬉しいです
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