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世界が注目する日本の技術:TODで都市を再生!


 世界人口増加と都市への集中が進む中、都市開発は国際的な関心を集めています。特に、発展途上国では、経済成長と都市化が急速に進み、持続可能な都市開発へのニーズが高まっています。
特に、TOD(公共交通指向型都市開発)が注目されています。

 本記事では、都市開発の海外展開における現状と課題について、具体的な事例を交えながら解説し、海外での日本のTOD技術への期待をお伝えして、日本企業の都市分野における海外展開を支援したいと思います。


1.海外展開の現状

1.1. 発展途上国における需要の高まり

近年、発展途上国では、人口増加と経済成長に伴い、都市部への人口集中が加速。都市インフラ整備、住宅供給、交通網の充実など、多岐にわたる都市開発ニーズがあります。

・国内では、人口減少・少子高齢化が急速に進む中、新たな需要は減少。

・IoT、自動運転など技術革新を受けた新たな都市構造(スマートシティ)への転換の可能性が模索。

・一方海外では、人口増加・経済成長に伴い都市化が進むアジア新興国を中心に、市場規模は拡大を続ける見込み。(図1)

・急速かつ計画的でない都市化に伴い、渋滞・大気・水質汚染等の都市問題が深刻化し、今後も多くの国で自動車保有率の 上昇が見込まれることから、公共交通指向型の都市開発(TOD: Transit-Oriented Development)の推進が求められています。

図1 都市人口の推移

1.2. 日本の強み

日本企業は、これらのニーズに応えるべく、積極的に都市開発事業に参入しています。具体的には、以下の様な分野で活動が見られます。

  • TOD:鉄道と都市開発の一体的推進

  • インフラ整備: 道路、鉄道、空港、上下水道などのインフラ整備

  • 住宅開発: 新規住宅開発、既存住宅の改修

  • 商業施設開発: ショッピングモール、オフィスビルなどの開発

  • 都市再生: 老朽化した都市部の再開発

世界各国、特に東南アジア等の発展途上国は、日本の過去の都市づくりの経験や未来の都市づくりを支える高 度な技術等に着目しています。
日本は各成長段階において、様々な課題に直面してきたが、適切な解決方法で対応してきました。(図2,3)

特に、発展途上国においては、急速な人口増加による交通渋滞や大気汚染などの都市問題への対応が急務となっており、日本の戦後の人口急増などの都市問題への対策の経験は、都市開発の海外展開において「日本の強み」となっています。

図2 日本の過去の都市づくり経験と発展途上国の今


図3 日本の過去の都市課題への対応(出典:国土交通省)

 日本が優位な「TOD(公共交通志向型都市開発)」、「スマートシティ」、「質が高く管理が行き届いた不動産(技術)」3分野の日本の強みを活かした海外進出が効果が期待できます。(図4.5.6)
 2025年3月28日、ミャンマー地震の揺れの直後によ、タイ・バンコクで建設中の高層ビルが倒壊した事故が発生しました。今後、タイでは日本の耐震性能技術への期待が高まると考えます。

図4 ‐日本の優位性①:TOD


図5 ‐日本の優位性②:スマートシティ


図6‐ 日本の優位性③:技術


1.3 日本のTOD技術の海外プロモーション
海外組織へ日本のTOD技術を伝えるため、各種機関が連携して取組んでいます。

公的資金や鉄道会社だけで鉄道整備するのは、予算面や経営面で厳しい。そこで、日本ではLand Value Capitere(LVC)の考え方で都市開発事業者が鉄道延伸によって期待できる土地価値向上の範囲内で鉄道整備を支援する取組みが行われてきました。(図7)

例えば、「ニュータウンルール」と呼ばれる仕組みは、鉄道延伸整備において以下の支援を実施している。

①鉄道用地を素地価格で鉄道会社に譲渡
開発土地の土地譲渡単価は、土地購入費に造成費や人件費、金利などの原価に利益を加えて水準を想定。そして市場価格で取引される。
しかし、素地価格というのは開発時に用地買収した価格に保有コスト(金利等)を加えた安価な水準。

②鉄道軌道面下の整備費の半分を負担
鉄道整備は高架構造とすることが多いが、線路部分より下の構造物の工事費の半分を開発事業者が鉄道会社に負担する。

また、宅地開発と鉄道整備の一体的に推進するための特別措置法「宅鉄法」では、土地区画整理事業を活用して、鉄道用地を早期かつ優先的に確保している。

つくばエクスプレス(TX)の整備推進のために制定された法律。特に駅予定地周辺は鉄道用地の単独買収が困難と予想されたことから、土地区画整理事業の換地手法を活用してに公平性の観点にも配慮して、鉄道用地を確保しました。

TXの鉄道駅が土地区画整理事業区域のほぼ中央に位置しているのは、区域内で減歩を受認した地権者と区域外で減歩が発生しない地権者の公平性に配慮したものです。

図7-都市開発による鉄道整備負担(LVCの考え方)


TODは「郊外型」と「市街地中心部型」に区分した概念で海外に説明をしています。(図8,9)
バスターミナルなどの交通広場機能は共通事項ですが、必要となる都市機能が少し異なります。

例えば、郊外型では、鉄道駅まで自家用車を利用する方のために、パークアンドライド(駐車場)を確保することもあります。
一方、市街地中心型では、土地の高度利用を図り、車利用を抑制し駅周辺道路の交通渋滞を緩和するために、駐車場は駅前施設のための附置義務台数程度の設置としています。

新宿西口では、新宿区とエリアマネジメント組織が中心となって、新たな駐車場ルールを策定し、運営組織を設立。新宿駅直近エリアにおける建築物の附置義務駐車場台数を軽減しています。軽減台数に応じて、建築主が駐車場ルール運営組織に協力金を支払い、駐車場ルール運営組織が地域の交通対策や活動資金として活用しています。

このような技術を海外に伝えるとともに、TODガイドラインとして、海外の政府機関と一緒に検討を重ねて作成。検討プロセスを通じて、海外政府機関職員の技術向上を期待しています。

図8-TOD概念
図9-TODに必要な都市機能


国内では、鉄道事業者が自ら沿線で不動産事業を行うことが多くなっています。
鉄道各社の運輸比率を見ると、鉄道事業が20%と、鉄道事業者というより、不動産会社という会社もあります。(図10)

不動産会社が鉄道を運営している状況とも考えられるので、鉄道事業の安全性や定時運行面は心配になります。しかし、沿線の不動産事業で鉄道利用者を増やして、鉄道経営を安定させる手法は、発展途上国では参考となるビジネスモデルです。

図10-鉄道事業者と運輸比率


1.4 海外展開の事例

  • 中国: 新規都市開発、インフラ整備、スマートシティ開発など、日本企業が積極的に参入しています。

  • 東南アジア: インドネシア、ベトナムなどでは、日本企業が都市開発、住宅開発、インフラ整備を手掛けています。

  • アフリカ: ケニア、ナイジェリアなどでは、都市開発、インフラ整備、農業開発など、日本企業が参入しています。

図11-日本企業の海外プロジェクト(出典:国土交通省)
マニラの商業施設と住宅(野村不動産)


2. 海外展開の課題

2.1. 政治・社会リスク

  • 政治不安: クーデターや政情不安は、事業計画の遅延や中止に繋がるリスクがあります。また、大統領が交代すると、行政組織の幹部も相当数が交代しますので、それまでの協議の成果が振り出しに戻ることも多いです。例えば、フィリピンの大統領任期は6年で再選は認められていません。
    インフラの改善が伴う大規模な都市開発事業の調整が6年という短期間で合意に至ることはありませんが、関係者は大統領任期期間で合意できる内容でプロジェクトを組成することを目指します。

  • 腐敗: 汚職や贈収賄は、事業コストの増加や事業の遅延に繋がるリスクがあります。
    実際に経験したことがないため、詳細は記載できませんが、日本企業は地元企業とのJV(共同事業体)で都市開発事業に参画することが多いのは、このようなことへの対応策の一つなのかもしれません。
    コンプライアンスが厳しく運用される近年、発展途上国においては政治リスクとともに賄賂などは対応が困難な課題です。

  • 土地取得: 土地所有権の複雑さや住民との交渉は、事業の遅延やコスト増加に繋がるリスクがあります。
    また、日本の土地収用法や土地区画整理法にように明確な補償ルールと強制的な建物移転が可能な制度がないため、任意交渉で土地取得を目指すことになります。
    そのため、すでに空き地化された場所のみが開発候補地に選定されるため、区域設定の段階でTOD実現が厳しいプロジェクトが非常に多いです。

2.2. 環境問題

  • 環境規制: 環境規制の厳格化は、事業計画の変更やコスト増加に繋がるリスクがあります。
    日本の環境アセスメントに対応する技術や経験があれば、対応可能な問題だと思います。

  • 気候変動: 海面上昇や異常気象は、都市開発計画に影響を与える可能性があります。
    二酸化炭素排出量の低減目標達成など、都市開発においても最も注目されているテーマです。一方、日本の環境対策技術は、国際競争力があるためチャンスでもあります。

2.3. 文化・言語の壁

  • 文化の違い: 宗教、慣習、価値観の違いは、コミュニケーションの障害や事業計画の変更に繋がるリスクがあります。

  • 言語の壁: 言語の壁は、コミュニケーションの障害や情報伝達の誤解に繋がるリスクがあります。
    プロジェクトの組成段階から事業実施、そして事業完遂までは、長期間に多くの現地スタッフや行政職員とのコミュニケーションが必要ようになることから、語学力は海外展開の基礎的な条件になります。
    若い時から、積極的に海外に出て語学力とコミュニケーション能力を磨くことをお勧めします。

2.4 事業用地の確保が困難
・我が国企業による大規模な都市開発への参画実績は限られています。
・海外の公有地情報等にアクセスする手段が乏しく、事業用地の確保が困難。
・鉄道・道路等のインフラ整備と周辺の都市開発との連携が図られていない例があります(図12)

図12-事業用地の確保

2.5 日系デベの裾野の拡大が不十分
現地法制度の未整備や不透明な運用、信頼できる現地パートナーの確保やリスクマネーの調達の困難性等 により、海外事業に取り組む日系デベロッパーの裾野の拡大が十分に進んでいないと考えられます(図13)
日本企業の主な意見は以下のとおりです。

①現地法制度の未整備
・現地の法制度が不備な場合や制度の運用が不明瞭な国については、国が主導して法制度整備支援を してほしい。(土地の権利制度、不動産鑑定評価、登記、担保、許認可等)
・土地の権利関係が不明瞭な国においては、土地保有や用地取得に係る政府間の交渉はありがたい。

②許認可手続の不透明
・新興国においては、許認可手続の遅延や撤回などが多く、開発における許認可の透明性、安定性等の 問題について国レベルの支援があればありがたい。
・トラブル解決に向けて相談できる機関やシステムがあればありがたい

③現地パートナー企業とのマッチング
・用地取得、許認可手続、営業面等で現地パートナー企業との連携は極めて重要であるが、必ずしもマッ チするパートナーを探せていない。
・国や業界主導のミッション団派遣には参加していきたい。

④資金調達支援
・JOINの事業参画は、リスクマネーの供給、銀行借り入れに対する保証、政府の資金が入ることによ るリスクヘッジの観点から有益。
・不動産投資は長期にわたることから、特に為替リスクの問題が大きい。低金利かつ現地通貨建てのリスク ヘッジができるプロジェクトファイナンスの仕組みがほしい

⑤周辺のインフラ整備への支援
・インフラ整備から大規模案件については、ODAを含め国やJICA、JOIN等と一体となった取 り組みが必要。
・基礎的なインフラ(道路、上下水道、電気)が支障となることが多く、相手国政府との交渉について国 の支援があればありがたい

図13-企業ヒアリングによる海外展開の課題 (出典:国土交通省)


2.6  中低所得者層中心の鉄道利用者
発展途上国の鉄道利用者は、中低所得者層が中心です。 一般的には新たに鉄道を整備して、TODでウォーカブルな街を計画すると、車利用が減少して交通渋滞緩和の効果を期待します。
しかし、実態は通勤なので車利用しているビジネスパーソンは、低所得者が多い鉄道は利用しません。

また、ハイエンドな街に鉄道が整備されてTODでウォーカブルな計画にすると、街に多くの低所得者が歩行することで、不動産価値がある低下する懸念があります。
そのため、TODは鉄道利用に関する社会全体の意識を変え、日本のように誰もが利用するような鉄道にする必要があります。

2.7 海外企業の台頭
・政府系開発公社、政府系ファンド等が連携して、計画、基盤整備から上物開発まで一体となった都市開発事 業をアジア各国において推進。個別事業の実施段階での我が国事業者との協力関係も構築可能です。

・外交を通じて政府間協力の基盤を構築した上で、事業の川上段階でマスタープラン策定等を政府系企業が 受注し、開発や運営をシンガポール系企業が受注するパターンも見られます。
シンガポール政府系企業による代表的な事業例です。(図14)

・韓国国内では、1990年代以降、建設需要の飽和から海外展開の必要性が増大。企業の海外展開を促進するため、1993年には「海外建設促進法」が制定され、海外における建設工事等の活動を国を挙げて推進しています。

・政府系機関である韓国土地住宅公社(略称:LH公社)が民間企業と連携し、海外における都市開発を積極的に展開しています。
特に、10,000ha超のプロジェクトに関しては、早期完成の経験があることを強みとしてアピールしています。

・近年では、案件発掘・形成支援や金融支援を実施して企業の海外進出を支援する「韓国海外インフラ・都市開発支援公社」を設立するため、海外建設促進法を改正しています。

図14-シンガポール企業


3. 国内事例の活用

 首都圏では、急増する人口に対応するため、TODにより都市(DID)は拡大しました。
また、十分なインフラ整備を伴わない郊外での乱開発(スプロール化)に対応するたために、計画的な大規模ニュータウン開発を行ってきました。
さらに、都心部への一極集中を是正するために業務核都市の形成を目指しました。

 近年は、国際競争力強化のため、ターミナル駅周辺を中心に都市再生緊急整備地域の指定や都市再生プロジェクトが増えて、都心部にオフィスなど都市機能が集中してきています。(図15)

 このような都市の変遷は、今後、ASEAN各国でも経験する可能性が高いことから、関連プロジェクトの各国政府機関視察などが増えています。
 今回の記事では、特徴的なプロジェクトのポイントを解説します。

図15-首都圏の鉄道と大規模都市開発地区


(1)つくばエクスプレス沿線開発
郊外型TODとして、海外から視察者が最も多いプロジェクトが、つくばエクスプレス沿線地区(つくばエクスプレスタウン)です。(図16)
 JR常磐線の混雑緩和、首都圏における新たな宅地供給などを目的としたプロジェクトです。

沿線都市開発は、21地区、約3,200ha、計画人口約25万人と大規模であり、延長58kmの鉄道一斉開通に向け、すべての土地区画整理事業において、早期に鉄道用地を確保する必要がありました。

 そのため、国は「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法(宅鉄法)を制定して、このプロジェクトを推進しました。

図16-つくばエくスプレス沿線開発


 つくばエクスプレスタウンの中で最も海外から視察者が多いのが、流山おおたかの森駅周辺の開発「流山新市街地地区」です。(図17)
 開発面積約275ha、計画人口約28,500人の大規模な土地区画整理事業。図17でご覧いただけるように、区域内には東武鉄道が通り、既存集落や企業の施設があり、多くの建物移転を伴う難易度が高い事業でした。
そのため、TX沿線開発では最後に事業が完了した地区です。
 大規模商業施設やホテル、住宅、行政サービス施設など複合的な機能が集積して、TXの中間地点における拠点が形成されています。

図17-TX流山おおたかの森駅周辺の都市開発




(2)多摩ニュータウン
戦後の人口増加で不足していた住宅を大量に供給するためにスタートしたプロジェクトです。
英国のニュータウンを参考に構想された面積約2,900ha、計画人口約30万人の国内最大級の都市開発です。

都市開発の進捗に併せて、段階的に鉄道(京王線、小田急線)を延伸したTODです。地区のどこに居住しても、バスで10分以内に鉄道駅に着くようにバスルートなどを計画して、鉄道利用者を確保しています。

鉄道事業者の負担軽減を図るため、ニュータンルール(前述)に基づき、開発事業者が鉄道整備を支援しています。(図18)

図18-多摩ニュータウン


(3)みなとみらい21(横浜市)
横浜市の6大ブロジクトの一つ「みなとみらい21」は、都市開発事業の途中に地下鉄(みなとみらい線)を整備することになりました。
地区内に新たに2駅が設置されたため、地区全体が鉄道徒歩圏内になりました。
そのため、土地価値向上の範囲内で、土地所有者が地下鉄整備費の一部を負担しています。(図19)

図19-みなとみらい21(横浜市)


みなとみらい21地区



(4)うめきた(大阪駅北)
うめきた1期は、ナレッジキャピタンを実現した複合都市開発です。
2期は、都心部に防災公園を中心にした緑豊かな拠点を形成しています。さらに、鉄道を地下化した連続立体化事業と土地区画整備事業、防災公園街区整備事業を一体的に実施しています(図20)

図20-うめきた(大阪駅北)


うめきた(防災公園と地下化鉄道駅)


(5)品川駅周辺
品川駅周辺の複数の民間都市開発プロジェクトを街づくりガイドラインにより、適切に誘導しています。(図21)
 その一つが高輪ゲートウェイシティです。

図21-品川駅田町駅周辺街づくりガイドライン

高輪ゲートウエイ駅周辺のビル



 以上、TODの代表的事例を紹介しました。
 その他、私が関わったプロジェクトでは、新宿駅直近、虎ノ門ヒルズ駅周辺、渋谷駅周辺、越谷レイクタウン、千葉ニュータウン、浦和美園ウイングシティなどもTODの参考となる都市開発です。

 しかし、どのプロジェクトのビジョン、戦略にもTODという言葉はありません。
日本ではTOD概念は当たり前なのです。40年以上、大規模な都市開発事業に関わった経験から、これこそが、海外展開に活かせる日本のノウハウだと思います。

 私ごとですが、海外の公的機関の方々に対して、5年間、毎年100人以上に日本の都市開発やTODの説明、現地視察に対応しています。毎回感じているのは、現状の都市課題を何とか改善したいという参加者の熱意です。

この機会に得られた海外政府機関職員とのネットワークや貴重な情報を、日本企業の海外展開にも活用したいと考えています


4. 今後の展望:課題克服と持続可能性への挑戦

 都市開発の海外展開は、世界の人口増加と都市化の進展に伴い、ますます需要が高まると予想されます。しかし、成功にはいくつかの課題を克服し、持続可能な都市開発を実現していくことが不可欠です。

(1)地域社会との連携:共創による持続可能な開発
都市開発は、単に建物やインフラを建設するだけでなく、そこに暮らす人々の生活を豊かにすることが目的です。そのため、地域住民とのコミュニケーションを強化し、ニーズを理解した上で事業を進めることが重要です。

  • 住民参加型の計画プロセス: 開発計画段階から住民の声を積極的に聞き取り、意見を反映させることで、地域に受け入れられる開発を実現できます。

  • 文化や歴史への配慮: 地域の文化や歴史を尊重し、伝統を守りながら新しい都市空間を創造することで、住民の愛着と誇りを育むことができます。

  • 雇用創出と地域経済活性化: 開発によって地域住民に雇用機会を提供し、経済活動を活性化させることで、地域社会全体の発展に貢献できます。


(2)環境配慮:未来への責任を果たす都市づくり
環境負荷の低減は、持続可能な都市開発にとって最も重要な課題の一つです。

  • 再生可能エネルギーの活用: 太陽光発電や風力発電など、環境負荷の少ないエネルギー源を積極的に導入することで、都市全体のエネルギー効率を高め、CO2排出量削減に貢献できます。

  • グリーンインフラの整備: 緑地や水辺空間を整備することで、都市のヒートアイランド現象を抑制し、生物多様性を保全することができます。

  • 循環型社会の構築: 廃棄物削減やリサイクルを推進することで、資源の有効活用を図り、環境負荷を低減できます。

(3)技術革新:スマートシティ技術による効率化と安全性
ICT技術やスマートシティ技術を活用することで、都市開発をより効率的で安全なものにすることができます。

  • データ分析による都市管理: 都市の様々なデータを分析することで、交通渋滞の解消や防災対策など、都市運営の効率化を図ることができます。

  • スマートモビリティの導入: 自動運転やMaaS(Mobility as a Service)などの技術を活用することで、交通インフラの効率化と利便性向上を実現できます。

  • セキュリティ対策の強化: 監視カメラやセンサーネットワークなどの技術を活用することで、都市の安全性を高め、犯罪や災害への対応力を強化できます。


(4) 持続可能な都市開発の実現に向けて

都市開発の海外展開は、経済成長と社会発展に貢献する一方で、環境問題や社会問題を引き起こす可能性も孕んでいます。
これらの課題を克服し、持続可能な都市開発を実現していくためには、地域社会との連携、環境配慮、技術革新の3つの要素をバランス良く推進していくことが重要です。

図22-官民一体となった取組み(出典:国土交通省)


 中国、韓国、シンガポールなど日本の競合国は、政府レベルがGO to GOでロビー活動を行って、自国企業の都市開発事業者への選定を支援しています。
 国土交通省は、日本も官民が一体となった取組みによって、巻き返しを図る必要があると考えています(図22)


(5) 現地において事業を行いやすいビジネス環境の整備

・法制度整備支援、研修員受入、専門家派遣
・国際交渉や政府間対話等を活用した外資規制の緩和や透明性の向上
・耐震・省エネ等の建築基準構築・技術普及への支援
・地区開発マスタープランの策定やF/S調査等の参画
・JHFによる住宅金融制度の構築・拡充に向けたコンサルティング


(6) 案件形成の川上から川下まで官民一体となった取組の強化

①我が国の強みの発信

・トップセールス、二国間会議・セミナー、要人招聘 国際的な不動産会議の誘致
・国際的な不動産会議の誘致
・「質の高いインフラ」を象徴するプロジェクトの表彰 シティセールスの推進、広報媒体の作成 等

②相手国政府・現地企業との信頼関係の構築
J-CODE(海外エコシティプロジェクト協議会)、JHBUD(住宅・建築・都市分野国際交流協議会)等を通じた情報交換の促進、官民ミッションの派遣 ・現地企業とのビジネスマッチング支援等

③案件形成段階からの参入に向けた取組み
・URによる地区開発マスタープ ランの策定やF/S調査等の参画

④JOINを通じたリスクマネーの供 給等ファイナンス面での支援
JOINによる都市開発事業への 出資
・JBIC、NEXI等を活用した魅力 あるファイナンス提案

⑤他のインフラ整備と一体となった都市開発の推進
鉄道整備と一体での駅周辺開発
・JOIN等を通じた民間都市開発事業支援と、JICA等によるインフラ整備支援・環境分野の取組を有機的に連携


まとめ

都市開発の海外展開は、世界の人々の生活を豊かにする可能性を秘めています。しかし、政治・社会リスク、環境問題、文化・言語の壁など、多くの課題が存在します。これらの課題を克服し、持続可能な都市開発を実現していくことが、今後の都市開発の成功を左右する重要な鍵となります。
日本が経験した課題への対応は、海外の参考になります。

noteでは、都市開発に関する様々な情報を発信していきます。
ぜひ、お楽しみ下さい!

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