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SoFi景気後退に伴う業績下方リスク-前編-

SoFiの業績見通しには悲観的要素は少ないと思っているが、株式投資である以上、当然、リスクは存在する。今回は景気後退に伴う業績下方リスクを考えてみる。

<景気後退に伴う業績下方リスク>
景気後退となれば、さまざまな面でSoFiの業績に下押し圧力がかかる。一つひとつ見ていこう。

【前提】軽い景気後退、すなわち経済活動が一時的に縮小するが、大規模な失業や深刻な金融危機を伴わない比較的穏やかな景気後退を想定。具体的なイメージは次のとおり。
・GDPが2四半期連続でマイナス成長に陥ったが、落ち込みは小幅
・金融システムは健全に保たれ、信用不安や大規模な銀行破綻は起きていない
・中央銀行や政府の迅速な政策対応(利下げ・財政出動)によって早期に回復

「1.貸し倒れリスクの上昇懸念」
SoFiのローン事業は2025年第1四半期時点で、売上の50%を支える屋台骨だ。景気悪化によって貸倒れが増加すれば、SoFiの損失も拡大する。特にSoFiのローン事業の主軸である個人ローンと学生ローンは無担保であるため、損失が拡大しやすい。

※ローン残高のうち、個人ローン・学生ローンが全体の94%占めている

加えて、住宅ローンや自動車ローンなどと比較して、無担保ローンは返済の優先順位が低く、景気悪化時に相対的に延滞しやすいと言われている。(たとえば、移動が必須な人にとって自動車は必需品、また自宅は単純に誰もが失いたくはない。)

現在の米国はクレジットカードを筆頭に延滞率の上昇が止まらない。クレジットカードローンの延滞率は2011年第1四半期以来の12.3%である。また学生ローンはコロナ禍でストップされていた連邦学生ローンの信用機関への延滞報告が2025年から再開され、延滞率7.7%へと急上昇したが、これは一過性ではなく、さらに上昇する可能性が高い。

延滞率の上昇は当然、信用スコアに直結する。特に2025年第1四半期から信用機関への報告が再開された学生ローンの延滞によるスコア悪化が顕著で、実際に560万人もの信用スコアが急落した。優良層であればあるほど、信用スコアの下落幅は大きい。

NY連銀Webサイトより抜粋

ただし、SoFiは総じてリスク管理が巧みであるように見受けられる。2025年第1四半期の決算説明会において示された個人ローンのNet Charge-Offs(貸倒損失率)3.31%は比較的良好な水準、また学生ローンの貸倒損失率0.47%は極めて低い水準と言える。

2025年第1四半期決算発表資料P17より抜粋

SoFiの貸倒損失率が低水準に抑えられている主因は、年収が高く、信用スコア(FICO)も高い超優良層を対象としているからである。

SoFiのローン利用者の平均年収は個人ローンが158,000ドル、学生ローンが134,000ドルとなっている。米国労働統計局のWebサイトによると、米国人の平均年収は67,920ドル、90%の人が125,720ドル以下の収入であるため、 米国で「上位10%」以内の高所得者層へ貸し出しをしていることがわかる。またFICOスコアの平均も個人ローンが743、学生ローンが769とこちらも極めて優良と言える。

【FICOスコア】
米国で最も広く使用されている個人の信用スコア。300~850点の範囲で、点数が高いほど信用力が高いとされている。(800~850:Excellent、740~799:Very Good、670~739:Good、580~669:Fair、300~579:Poor)

当然、上述したとおり、これらの超優良層にも学生ローンの延滞に伴う信用スコアの急落は一定数生じているため、SoFiのローン利用者の平均FICOスコアも下落している可能性がある。よって、油断は禁物だ。しかし、これだけ優良層への貸出をしているSoFiのローン事業は、軽い景気後退であれば大きな影響を受けることはないだろう。

なお、私自身、クレジットカードを筆頭とした家計債務の延滞率の上昇については、終わりのシナリオがみえていない。

一番良いシナリオは、「インフレ低下→金利低下→債務負担軽減→延滞率低下」というソフトランディングシナリオだろう。しかし、「インフレ高止まり→金利高止まり→債務負担の増加が継続→延滞率のさらなる上昇」というシナリオもまだ十二分に考えられるため、今後も要警戒である。

幸いなのは、債務残高が最も多い住宅ローンの延滞率が2025年第1四半期時点で0.86%と、リーマン・ショック時のピーク8.89%と比べて、極めて低い水準でとどまっていることから、この問題を起点として、リーマン・ショック級の大きな危機には発展することは考えづらいということだ。

NY連銀Webサイトより作成

次回は、「景気後退に伴う業績下方リスク」として、ローンの新規需要の動向、利ざやの行く末、金利低下時の運用収益悪化の可能性について考察する。

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