ブロックチェーンとスマートコントラクトが溶かす「金融業界の壁」―後編―
前編では、ブロックチェーンとスマートコントラクトが溶かす境界の壁として、「銀行・証券・保険・カード・為替・送金」などの境界があいまいになり、各サービスの融合が進む将来を説明した。後編では、具体例として、銀行と証券の壁がどのようになっていくのかを見てみたい。
<現在の銀行と証券の壁>
現在、銀行と証券のシステムは別々に運営されている。そのため、ユーザーが感じる不便さの一例として、銀行と証券の残高・取引履歴に生じるタイムラグがある。
たとえば、銀行口座から証券口座に資金を移動する場合、銀行口座は即座に残高が減るが、証券口座は着金後に残高に反映されるため、数時間から最大3営業日程度のタイムラグが生じる。※米国の資金移動は1日数回のバッチ処理(決まった時間にまとめて処理する方式)が中心のため、日本と比べて、総じてリアルタイム性に乏しい。
こうしたことから、ユーザーは取引内容に不安を覚え、また「すぐに買いたい/売却資金をすぐに使いたい」というニーズに応えられていないのが現状である。
銀行と証券のシステムが別々に運営されているのは、以下が主な理由である。
・監督官庁が異なるため、それぞれ異なる規制に対応する必要があること。
・銀行は預金・決済・融資といった安定性重視、証券は売買注文や清算などスピード重視の取引処理が中心のため、別システムにした方が安全かつ効率的に運営できること。
<将来の銀行と証券の壁>
ブロックチェーンとスマートコントラクトの活用により、銀行と証券の残高・取引履歴を同じブロックチェーン台帳に記録でき、即時決済が完結するため、システム間のデータ移動が不要になり、タイムラグがほぼゼロになる。
・ブロックチェーン:改ざんできない取引履歴を記録する台帳。
・スマートコントラクト:条件を満たすと契約を自動で実行する仕組み。
※詳細や具体例は前編をご参照ください。
その結果、ユーザーは取引内容に不安を覚えることがなくなり、また即時の売買や資金利用にも対応できるようになる。ほかにも「権利確定日までに受渡しが終わらないと、配当や議決権を得られない」といった不便さも解消される。
<将来の銀行と証券の現実的なアプローチ>
もちろん、技術面では可能であったとしても、銀行と証券は異なる法律の管理下にあることから、一定のシステム分離が求められるはずだ。そのため、以下のような方法がもっとも現実的になるだろう。
・ブロックチェーンは「銀行用」「証券用」として別々に運用し、各ブロックチェーンはそれぞれの監督官庁の規制に対応。
・「銀行用」は安定性重視、「証券用」はスピード重視の取引処理システムが構築される。
・ただし、ブロックチェーンおよびスマートコントラクトの技術仕様は統一し、銀行・証券台帳間での取引連携は自動化。たとえば、銀行から証券口座へ資金移動する際、両方の台帳が同時に更新され、リアルタイム性を確保。
すなわち、「共通の技術仕様を用い、銀行用と証券用に分けてシステムを運用しつつも、相互接続可能なモデルを採用する」イメージである。規制上、台帳を分ける必要があっても、同じ技術を使えば「データの記録方法、通信手順、契約の実行条件」などが共通化され、連携は格段に容易になり、あわせて運用コストも下がることが見込まれる。
とはいえ、これらの技術基盤への移行には、長い年数を要する。しかし、現在の仕組みに不便があり、その不便が新しい技術で解消され、運用コストも下がることがわかっている以上、今後はブロックチェーンやスマートコントラクトを利用した新しいシステムに移行されていくはずだ。
そして、銀行・証券だけではなく、金融サービス全般でこのような変化が進めば進むほど、最初から幅広くワンストップサービスを展開してきたSoFiは、各サービスがよりシームレスに提供可能になることで、その優位性が一層際立つ形となり、「勝ち組」となる可能性がますます高くなる。
金融業界の垣根が低くなり、各サービスの融合が始まる未来――それはSoFiのワンストップサービスがますます競争優位を確固たるものにする強い追い風となるだろう。
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