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SoFiUSDはどんな役割を担うのか ─ トークン化に向けて動き出したウォール街

前回は、金融機関向けブロックチェーンとして注目される「Canton Network(キャントン・ネットワーク)」について紹介した。

イーサリアムのようなオープン型でもない。J.P.モルガンのようなクローズ型でもない。その中間を埋める新しい設計思想として、多くの金融機関がCanton Networkへ参加し始めていることを整理した。

では、その利用はすでに実用段階へ進んでいるのだろうか。

<Canton Networkは世界で最も手数料を稼ぐブロックチェーン>
「金融機関向けブロックチェーン」と聞くと、まだ実証実験の段階と思うかもしれない。しかし、利用は急速に拡大している。

Messariの2026年第1四半期レポートで、Canton Networkは全体の42%、四半期累計約1.93億ドルの手数料を計上し、全ブロックチェーンの中で、Tron(USDT送金で世界最大級のブロックチェーン)を押さえ、「第1位」となっている。

BeInCrypto(データ出典:Messari「State of Blockchains Q1 2026」)

さらに、DefiLlamaのデータでも、2026年6月26日時点における過去30日間のネットワーク手数料は約6,020万ドルとなり、Tronやイーサリアムを上回り、全ブロックチェーンの中でトップとなっている。

thedefiant.ioより抜粋(出典:DefiLlama)

これを聞くと、多くの人は驚くだろう。その感覚は正しい。

Cantonの知名度は低い。加えて、利用者数も、開発者数も、DeFiのエコシステムの規模も、イーサリアムの方が圧倒的に大きいからだ。

では、なぜ手数料収入でCantonが世界1位を記録できているのだろうか。

<「件数」と「金額」は全く違う>
イーサリアムでは、数百ドル・数千ドル・数万ドルという取引が世界中で大量に行われている。

一方、Cantonで扱われるのは、金融機関同士の国債取引・レポ取引・証券決済、将来的には株式やMMFなどである。一件の取引だけで、数十億ドル、数百億ドルが動く世界だ。

つまり、件数は少なくても、一件あたりの金額が桁違いなのである。だからこそ、利用者数ではイーサリアムが圧倒していても、手数料収入ではCantonが世界トップになるという現象が起きている。

<実証実験では終わらない理由>
では、実際に誰がそのような巨額取引をブロックチェーンへ移そうとしているのだろうか。ここでDTCCの存在がカギとなる。

DTCCは米国証券市場の清算・決済を支える中核インフラであり、その傘下にあるDTCでは数十兆ドル規模の証券が保管されている。

日本で例えるなら、DTCCは「ほふり(証券保管振替機構)」と「日本証券クリアリング機構(JSCC)」を合わせたような存在である。ほふりは株式や債券などを電子的に保管・管理し、JSCCは証券取引の清算を担う。DTCCは、米国証券市場における証券の保管・清算・決済を支える巨大な金融インフラと言える。

現在、DTCで保管されている米国債を、Canton上でトークン化するプロジェクトが進められている。

つまり、ウォール街そのものが、ブロックチェーンを金融インフラとして利用し始めようとしているのである。そして対象は国債だけではない。株式・ETF・MMF・社債・ローン・不動産、今後は、あらゆる金融資産がオンチェーン化される可能性がある。

<SoFiも「外側」ではなく「内側」にいる>
さらに興味深いニュースもあった。Canton Networkの開発元であるDigital Assetは、2026年6月に約3億5,500万ドルの資金調達を発表した。

参加企業を見ると、HSBC・BNPパリバ・SBIグループ・Tradeweb・Citadel Securitiesなど、世界の金融業界を代表する企業が名を連ねている。

その中に、SoFiの名前もある。つまり、SoFiはDigital Assetへ出資している。

もちろん、出資したからといって、SoFiがイーサリアム・ソラナに続き、Cantonをサポートすると決まった訳ではない。

また、Canton上で利用されるステーブルコインがSoFiUSDと決まった訳でもない。事実、現在はUSDCを基盤とする「USDCx」など、機関投資家向けの規制対応ステーブルコインが利用されている。

そのような中、先日BitGoの管理画面と思われる画面に、「Test SoFiUSD」が表示され、その対応チェーンの一つとしてCantonが含まれている画像がX上に投稿された。

The Insider@insiderinvests より引用

もちろん、これらだけでSoFiUSDとCantonの連携を示す証拠にはならない。

一方で、最近の金融市場では、Cantonを巡る重要な動きが相次いでいる。
DTCCがCanton上で米国債をトークン化
MastercardがCanton対応を発表
・Cantonが手数料収入世界1位
・SoFiがDigital Assetへ出資

これらはそれぞれ別のニュースである。しかし、Cantonが金融市場のインフラとして存在感を高めつつある中で、SoFiもDigital Assetへの出資などを通じ、そのエコシステムとの接点を持ち始めていることは注目される。

<SoFiUSDが本当に目指す世界>
今回注目すべきなのは、「SoFiUSDがCantonへ対応するか」という点だけではない。もっと重要なのは、金融市場そのものがブロックチェーンへ移行し始めていることである。

イーサリアムは、暗号資産やDeFiを支えている。ソラナは、高速決済や送金で存在感を高めている。そしてCantonは、ウォール街そのものをオンチェーンへ移そうとしている。

もし将来、SoFiUSDがイーサリアムではRWA(実物資産のトークン化)、ソラナでは決済、Cantonでは金融市場、それぞれの決済通貨という役割を担うことができれば、SoFiは単なる銀行ではなく、次世代金融インフラを支える企業へ進化する可能性がある。

現時点ではSoFiUSDとCantonの具体的な連携が発表された訳ではない。しかし、金融市場のオンチェーン化が現実に進み始める中で、SoFiもそのエコシステムに少しずつ関わりを深めていることは確かである。

今後、SoFiUSDがどのネットワークで、どのような役割を担っていくのか。その答えを探る上でも、Cantonの動きは引き続き注目していきたい。

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