「責任あるAIを実現する為の4つのアプローチ」とは
【『AIと闘わず、共に進め』とはとはどのような事か?という本を出版致しました!】
「アルゴリズミック・バイアス」
AIモデルの開発プロセスで「アルゴリズミック・バイアス」と呼ばれるAIモデルが悪さをする元凶となる要因が混入し得ます。
既存の社会的バイアス(人種、性別、職業)等により生じている結果がデータに入り込んでしまう
「データのバイアス」がその一例です。
例えば既存の社会的バイアス(人種、性別、職業)等により生じている結果がデータに入り込んでしまうことがあります。
すると、黒人が白人より健康問題のコストが低く見積もられたり、女性が男性よりも与信限度額が小さく見積もられるような事態に繋がります。
バイアスの混入を防ぐ方法が「アルゴリズム・アセスメント」
このようなバイアスの混入を防ぐ方法が「アルゴリズム・アセスメント」であります。
目標は意図しないAIシステムの問題を表面化させ、改善する事です。
アセスメント一体型の開発を行う事も「責任あるAI」の実現に不可欠な要素
大きく分けて定性評価と定量評価の2種類の方法で、AIの公平性・透明性に複合的・統合的な判断を下していきます。
アセスメント一体型の開発を行う事も「責任あるAI」の実現に不可欠な要素です。
ESGアプローチ
世界的に、ESG、環境(Environment)・社会 (Social)・ガバナンス(Governance)への意識が高まっています。
企業活動においても、社会的責任や社会貢献への意識が求められるようになってきました。
AI開発も、ESGと無縁ではいられません。
大規模AIの訓練には多くの二酸化炭素の排出を伴う
先ず環境との関係について考えます。
大規模AIの訓練には、多くの二酸化炭素の排出を伴います。
AIが提供する中身についてだけではなく、開発からサービス提供までのあらゆる局面において、環境への意識を持つべきだ。クラウドコンピューティングサービス活用や、データセンターの環境負荷低減の努力が進められつつあります。
AIを使ったサービスを提供する企業にも、環境への意識が求められる
AI開発に携わる企業だけでなく、AIを使ったサービスを提供する企業にも、環境への意識が求められるということは念頭に於くべきです。
市民レベルでもAIの公平性や透明性への意識が高まっている
次に、社会との関連です。
AIに対する社会的な影響への関心が集まり、市民レベルでもAIの公平性や透明性への意識が高まっています。
これからの消費層として重要なジェネレーションZは、大量消費を嫌い、自分の行動が社会貢献に繋がっているかを重視します。
AIによりもたらされる不平等が改善されなければ、「不買運動」などにも繋がりかねません。
社会への貢献によるブランド価値の創出のためにも、「責任あるAI」は必須と言えます。
AI開発に於いて人手がかかる作業は「機械学習の前処理」
最後に、ガバナンスとの関係について考えましょう。
AI開発に於いて人手がかかる作業は「機械学習の前処理」です。
こうした作業はクラウドソーシングで実施されるのが一般的です。
短時間・低コストで終わるが、作業従事者は低賃金で、雇用が不安定であることが問題視されています。
「データのフェアトレード」ともいうべき「倫理的な調達」についても目を配る必要がある
「AI倫理」を考える上で「データのフェアトレード」ともいうべき「倫理的な調達」についても目を配る必要があります。
ESGは企業ブランドにとって、重要な課題であり、AIもそれと無関係ではありません。
AI戦略によってブランド価値を高められるか、あるいは、AIリスクによってブランド価値を損なう可能性がないか、十分に議論し、戦略を練らなければなりません。
倫理的なAIガバナンス
AIリスクによってブランド価値を損なわないためには、「AI倫理」に基づくガバナンスが必要です。
企業全体で取組む為には専門の組織や経営層の理解が欠かせない
企業全体で取組む為には専門の組織や経営層の理解が欠かせません。
しかし、グローバル・エグゼクティブを対象にしたアクセンチュアの調査では「回答者の63%はAIの倫理的ガバナンスの必要性は認識しているが、ガバナンスの枠組みを具体的にどのように構築すれば良いのかについて確信がない」と回答しており、まだ浸透していないのが現状です。
AI倫理を根付かせる
AIの倫理的ガバナンスの実現の為には仕組みだけではなく、そこで働く方々が真にその理念を理解していなければなりません。
その為に経営層、ビジネスメンバー、開発メンバーそれぞれに異なる研修プログラムを用意するべきです。
まとめ AIに携わる企業・組織は5つの行動原則TRUSTに基づいて「責任あるAI」を実現しなければならない
AIは文明の利器、即ち「鋭くとがって切れ味の良い刃物」です。
従来人間が行ってきた意思決定をAIで行えるようになったとしても、人間が制御するべきことを見失ってはいけません。
刃物を持つのは人間であり、高い倫理観が求められます。
そして、AIに携わる企業・組織は5つの行動原則TRUSTに基づいて「責任あるAI」を実現しなければならないのです。
【参考】保科学世・鈴木博和(2021).責任あるAI「AI倫理」戦略ハンドブック.東洋経済新報社

