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嗚呼 草の応援団 第24話 〜体育会系的ヒエラルキー 篇〜

続きから

応援団には、明確なヒエラルキーがあり、応援団のしきたりとして下級生は上級生に対する徹底的な服従を要求されるのが常だ。

上級生の前では常に直立不動であるし、質問をすることや笑顔を見せることすら許されず、ひたすらに「忍耐」することを求められる。 このことは以前の記事にかいた。

だが、上級生ともなれば全く逆の世界観に身を置くことになる。相当の自由がきくようになるのだ。

よく応援団マンガなどでは、応援団における上下関係を揶揄して

三年「神」
二年「人間」
一年「奴隷」

などと形容されていたりするが、我が応援団では、そこまでの残酷なヒエラルキーではなかったものの、やはり「上級生になれば自由だが、下級生はそれまで耐えろ」という風潮は濃厚にあった。 というより、実際に我々はそう教えられた。

近年はかなり少なくなりつつあるが、令和8年を迎えようといる現代においても、日本の体育会系の部活や組織には、それに近い風潮は少なからず残っているはずだ。いまでも、大学や高校の部活動での理不尽なシゴキや「指導」と称した体罰がニュースとしてあがってくることがそれを証明している。

まあ、とにかく当時の我が応援団に関しては、「幹部」にでもなれば、部活に来なくとも特に咎められることもないし、何ならバイトを始めるやつなんかもいる。 

顧問がほとんど介入してこないため、練習内容も自由に決められる。三回生の先輩方が引退した次の日から、いきなりこういう世界が待ち構えているのだ。私たちも、このような価値観で下積みを経験したので、幹部になってからも従来の応援団の価値観を普通に踏襲した。 

とはいえ、私が下積みをした時の先輩たちは普通に優しい人たちであったと思う。 私が入部するときに「昔みたいに厳しくすることはない」と彼らは言っていたが、本当にその通りであった。もちろん最低限の厳しさはあったが、理不尽なことはほぼなかった。

だが、私としては、自分がそこまで鍛えられることなく幹部になってしまったような気がして、どうしてもモヤモヤした気持ちがあったのだ。 

一応、我々も、ある程度の試練は耐えてきたはずなのだが、それまでに聞いていた応援団の在り方からすると、ずいぶん「ぬるい」のではないかと私は個人的に思っていた。 

そして、このまま「ぬるさ」が続けば、我々から下の代は、応援団としての質も大いに下がっていくことになるだろうと危惧した。

なので、「往年の」とまではいわぬとも、それなりの緊張感を復活させなければならないのだと強く自分に言い聞かせた。

おそらく、そういういうことを真剣に思っていたのは同期でも私だけだっただろうと思う。 

 さて、私たちの代になってからの部活動のことである。

先輩たちがやってきたように、まず下級生たちには自分達が来るまで整列させて待たせておくか、勝手に「手振り」「拍手」などの基本練習を勝手にさせたりしていた。その後、めいめいに部室から降りてきて練習に参加する。

私たちは母校の応援を主導するリーダーになるので、もちろん、応援が抜かりなくできるようにそれなりに練習はしていたが、やはり、「上から」の強制力がないと、気が緩み、だらけてくるもので、それぞれ勝手な動きをするようになった。

私とN濱は、応援団の練習そっちのけで、陸上部の友人らと筋トレ室に籠って筋トレをするようになった。 筋トレがある程度終わると練習に戻った。

旗手のA野はバイトを始め、時々しか部活に来なくなった。1つ上のK先輩もバイトばかりしてあまり部活には来なかったので、私たちも別に彼を咎めるつもりもなかった。そもそもA野は「旗手」なので、筋トレ以外そんなに練習することもないといえばなかったのではあるが。

残りの団長、副団長、親衛隊隊長の3人は普通に部活にでていたが、部室に籠って漫画を読んでいたりすることもあった。

ここですでに、組織としてのまとまりがなくなっているが、「上は好きにして良い」と思っていたためあまり気にもとめなかった。

後輩の6人たちに関しては、特に「指導」しなければいけないようなところなどほとんどなかったように思う。 応援団のしきたりから外れることもなかったし、皆真面目に練習にあたっていた。そんな後輩たちには、規律に従うように求めていながら、私は部活に出ず好き勝手に筋トレなんかしていたのだからイイ気なもんである。  

今こうして当時のことを思い出しながら書いていると、自分達の未熟さに唖然とする。 「一番上になったら好きにして良い」という先輩たちから言われてきたことを過剰に解釈して受け取り、母校の顔でもある「応援団」の「幹部」でありながら、自らに対する厳しさは乏しかった。

結局は後輩たちは私たちについてこれずやめてしまうことになるのだが、宜なるかなという思いしかない。 その事については後で書きます。




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