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エンタープライズSaaS戦略・組織変革に関心のある層向け IVRyが挑むエンタープライズSaaS戦略──PLGとSLGの二軸で組織を再構築した理由(入社5ヶ月目log)

IVRyに入社して5ヶ月。FY25/Q2のスタートにあたって、Growthチームを「Product Led Growth(PLG)」と「Solution Led Growth(SLG)」の2つにプロジェクトを分ける変更を4月1日付で行いました。 本記事では、SaaSスタートアップがエンタープライズ市場を見据える中で、この変更に至るまでに得られた背景・仮説・実践についてまとめます。同じくSaaS企業でエンタープライズ企業向けの組織を作っていく時に少しでも参考になればと多います。


一般的な言葉の定義の違い

-Geminiで生成した手法論の一般的な違い-

SaaS企業の成長戦略を設計するうえで、「Product Led Growth(PLG)」と「Solution Led Growth(SLG)」という言葉を耳にする機会が増えました。
ただし、これらの言葉は企業のフェーズやビジネスモデルによって解釈や実践の中身が異なることも多く、単に「用語の流行」で終わらせてしまうと、誤解を招くこともあります。
私たちIVRyでは、組織設計を見直すにあたり、この2つの戦略の一般的な定義と、IVRyにとっての意味合いの違いを明確に整理するところからスタートしました。

PLG(Product Led Growth)
製品そのものが顧客獲得・活用・継続・拡張を促進するモデルであり、以下のような特徴を持ちます
• 製品体験が成長の起点:直感的で使いやすいUI、フリーミアムや無料トライアルなどを通じて、ユーザーが価値を自ら発見し、拡張していく
• 自己完結型の導入プロセス:オンボーディングやサポートも製品内に組み込まれ、人的な関与を最小化
• スケーラブルでCACが低い:営業に依存せずに拡大しやすく、低コストで多くのユーザーに届けることが可能

SLG(Solution Led Growth)
一方で、複雑な課題解決や高単価商談を必要とするケースでは、人による提案・導入支援が成長を牽引します
• 営業やCSが成長のエンジン:顧客との信頼関係構築や、状況に応じた個別提案が必須
• ハイタッチなカスタマーエクスペリエンス:導入や展開フェーズでの並走、マルチステークホルダーとの調整が不可欠
• エンタープライズや特定業界で有効:製品理解だけでなく、組織課題や業務プロセスに踏み込んだ支援が求められる

このようにPLGとSLGは、それぞれ異なる成長ドライバーを持っています。IVRyでは、両者を単に手法の違いと捉えるのではなく、組織構造・人材要件・GTM戦略における意思決定基準として位置づける必要があると考えました。

IVRyとしてのPLGとSLG

社内資料:より良いプロダクト提供とプロダクト体験から早く、多くの人たちに製品を届ける
社内資料:顧客の課題に対して課題解決の手段を届ける(製品提供はあくまでも手段の一つ)

IVRyの中でPLG、SLGの組織を分けた私の思いとしては、Valueに照らし合わせると以下の3つになります。

1.両面を極めることでHorizontal SaaSとして全ての規模市場に適応できる企業として「Beyond the Wall」な成長を実現する
2.アプローチ方法の違いを明確に理解して仕組みを分けることでそれぞれの「Grab and Grit」を推進する
3.一つの会社として二つのGrowth組織を持つことでGTMに関わる組織の中だけでも多様なキャリアのメンバーを採用し、さらに社内の中でも多様なキャリアパスを用意することで「Keep on Groovin」を推進する

次章では、この定義の違いをもとに、どのようにしてIVRyが「SLG」を強化し、エンタープライズ領域への挑戦を進めたかを具体的に紹介します。

エンタープライズ市場に対しての日本発SaaSベンチャーのよくある課題

  1. エンタープライズセールスの経験とノウハウの不足: 日本初のSaaS企業では、SaaSと言えばTHE MODEL型のインバウンドファネル営業という呪縛から、デマンドジェネレーションをアウトバウンドで行ないPipeを作る手法論と長期的な関係構築の両面を複雑な組織に対して行う相反するアクションを行う営業活動のノウハウが不足していることが多い

  2. パートナーシップ戦略の遅れ: 大手SIerやコンサルティングファームとの連携を通じて、顧客への導入支援や既存システムとの連携などを強化することが重要ですが、特に初期のタイミングにおいてビジネス規模が小さくパートナー側のビジネスが成立しない、自社システムとパートナー会社と連携すべき範囲の線引きが難しいなど、利害関係の整理が難しく、特に大手企業とのパートナーシップ戦略が遅れているケースが多い

  3. マーケティングとブランディングの弱さ: エンタープライズ市場における認知度や信頼性を確立できていないことにより、RFP(提案依頼書)自体を受け取れずに大きな予算執行時に提案機会を得ることが難しくなる。また、技術内容のレビューではなく成功事例を求める慣習が強い準大手企業は導入が進まない

よくある課題に対してIVRyで実施したこと

まず、大前提として意識していたのは、「過去の経験だけで判断しない」という姿勢でした。
IVRyが置かれている現在地と、少し先の未来を見据えたうえで、「本当に必要なアクションは何か?」を丁寧に見極めることから始めました。
もちろん、外資系SaaSでの経験やナレッジが期待されていた側面もありますが、私自身としてはあくまで「IVRyの事業成長にとって必要なことを選ぶ」というスタンスを貫きました。
以下のような問いに対し、実行と検証を重ねながら進めてきたのが、今回の取り組みです。

  1. SLGのスタイルでエンタープライズ顧客にIVRyが売れるのか?

  2. そもそも顧客セグメントをどういう定義にするのが正しいのか?

  3. デマンドジェネレーションをアウトバウンド型で行えるのか?

  4. 複雑なステークホルダーとのパートナーシップを結べるのか?

  5. チームとして行う場合にどういう役割分担が必要なのか?

  6. マーケティングとブランディングの弱さをどう強化していくのか?


1.SLGのスタイルでエンタープライズ顧客にIVRyが売れるのか?

日本全体の課題、業界ごとの課題、会社ごとの課題から課題解決に向けて何を支援できるのか?を定義しつつ会話することで、逆にプロダクトに囚われすぎないアプローチをすることで商談化およびプロジェクトする事には成功しています。
一方で、元々インバウンドで製品説明を求めていた顧客への営業を効率よく行うことに慣れているメンバーには戸惑いもあったことも事実です。
但し、特に役員レイヤーや事業責任者向けの初回訪問に向けての準備する内容もMTGのゴールも違うことを商談を通じて学び、かつ企業として製品の拡張が急速に進む中で、大きな取り組みを進めるために、Solution Led Growth的な営業アクションがIVRyでも有効だと自信を持てる結果が出てきています。

営業資料:プロダクト拡張の変遷
営業資料:顧客の課題に合わせて段階的にAIエージェントの適応を支援していく

2.そもそも顧客セグメントをどういう定義にするのが正しいの?

多くの面接でエンタープライズを経験しましたという候補者と話をする度にエンタープライズ企業の定義が市場の中で幅広く認識されている事に違和感を感じていました。またIVRy社内でも〇〇円以上のACVが期待できるクライアントはエンタープライズチームが担当するということで、ここから上はエンタープライズということで目指すべきアクションと組織分けが曖昧な状態でした。ただ、SLGとPLGの整理とそれぞれの組織で取り組むべき手法が違うことを整理することで以下の図の整理に4月から変更しています。セグメントとしては、詳細ここでは営業戦略上、秘匿とさせていただきます。ただ、ざっくりとエンタープライズと定義するのではなく、求められるスキルセットから営業アクションの違いが分かりやすくなったと思っています。但し、事業セグメントに関しては横軸で分けた後に、今後の成長に合わせて縦のインダストリー軸での組織分けを行うことでより早く、深く業界課題に解決策を提示できるチームにできると考えています。このあたりは、社内の混乱のない範囲で営業戦略、戦術と紐付けた上で、できるだけ早くPDCAを回していくことが重要だと考えています。成長し続けている中で完成はないと思っていますので柔軟に意味を持って今後も改善していく予定です。

3.デマンドジェネレーションをアウトバウンド型で行えるのか?

前提として、IVRyの現状としてGTMしている製品に対してのインバウンドのお問い合わせが多数存在しています。大幅に人員を増員していますが、MQL、SALを効率よく対応していても人が足りていないです。そんな中でなぜわざわざアウトバウンド型のリード獲得をすべきなのか?という反発があると思っていました。ただ、その点においては「Keep on Groovin」が浸透しているIVRyでは起きませんでした。但し、件数目標を追うISメンバーにとって、1件は1件になってしまうと、どうしても顕在化している層へのアプローチが優先されてしまいます。そういう背景もありSolution Led Growth(SLG)側のPipegenに関しては、外部イベントの参加(3月開催のダイレクトアジェンダ)や業界著名人による顧問施策、CxOの個人的なパスによる狙った企業を確実に落としていく形で運用をしました。結果として、アウトバウンド型での営業活動に慣れているいわゆる「チャレンジャーセールスモデル」ができるメンバーによる初回面談が行われた商談は大きなロードマップも含めて、順調に進みました。一方で、ファネル型の営業をメインとしているメンバーにとっては普段が課題が顕在化した段階で商談している打ち合わせと比べると顧客ニーズが薄い商談という見え方になってしまいました。
この点は、アウトバウンドでのアポイント時の初回訪問でゴール設定と準備すべきフォーマットの定義を今後の見直して更に精度を上げていく予定です。(今後の共有にご期待ください)

4.複雑なステークホルダーとのパートナーシップを結べるのか?

パートナーアライアンスにおいては、1月-4月で大きな進捗がありました。背景としてはIVRy自体がユニークな製品展開できていることと、AIエージェントに関してのSaaS/IT業界に関わるパートナー会社の盛り上がりも後押しになっています。
Solution Led Growth(SLG)側の営業アクションを行う中で、現状の課題を多面的に理解し、課題解決を提示していく中で既存ステークホルダーとの連携は必須な中で、短い期間で多くのパートナー会社に賛同得れている状況に一定の手応えを感じています。
成功要因としては、IVRyのパートナーアライアンスチームがコンサルティングファーム、ファンド、Sier、デジタルマーケティング支援会社、コールセンターBPO会社、IT商社、都市銀行、地方銀行、テクノロジーパートナー、業界団体など一言でパートナーと言ってもそれぞれの業態が違う会社毎にIVRyと組むメリットを整理して提案することで、ステークホルダー毎のメリットを理解いただき、連携案件が創出されました。また、地方銀行に関しては10行以上とアライアンス契約が進行、またSalesforce社とのコネクター発表もした中で連携案件の創出ができています。
更に、4月以降取り組みに関してリリースがされる予定になっておりますのでご期待ください。

5.チームとして行う場合にどういう役割分担が必要なのか?

同じ名称で呼ばれているが、役割が違ったり、そもそも役割がなかったりするケースがあると思います。IVRyに入社した際に今までの私のキャリアでは近くにいなかったBizdevのメンバーと近くで働けることが幸せな一方で、入社当初から一つの疑問がありました。プリセールス(Biz側、Tech側の両面において)という部門も肩書きのメンバーもいない。
この点は、実際に営業を推進していく中で優秀なBizdevメンバーが、そもそも目の前の顧客以外のその先の顧客に対してもプリセールス的なアクションをしているので、PLGのアプローチにおいては、Bizdevが営業やCSに正しいトレーニングができれば、わざわざポジションを作る必要がないのだろうと理解しました。


一方で、Solution Led Growth(SLG)側のアプローチをする際に必ず必要になるのは、複数のステークホルダーを納得させるROIの提示は当然で関連する業務およびシステムのASIS/TOBEの整理を行うことで深く広く貢献できると判断し、以下の図のような役割分担を行うことに4月以降から変更をしています。

社内資料:戦術実行のために役割を追加し体制強化を目指す

6.マーケティングとブランディングの弱さをどう強化していくのか?

1月から4月の営業活動において私が同席した商談でのIVRyの認知率はほとんどない状態でした。また、LPなどで企業を調べていただけた場合にSMB、MID向けの製品で自分たちは関係ないと思っていたという言葉を沢山いただきました。一方で、お会いいただいた方々に製品ポジショニングと戦略を話をすると現状ではまだ外に出せない展開含めて期待いただきプロジェクトが始まっています。
但し、競合ではないにせよ外資SaaSのマーケティング、ブランディングの予算およびグローバル前提で完成されている手法論に我々として勝っていく必要があります。
おそらくVision提示なり露出量で上回ることは難しいと思っていますが、実際に社会実装されているAI音声対話およびエージェント活用の事例に関しては、IVRyが優っていると考えています。IVRyはAIエージェントがここまで盛り上がる前の2023年からリクルート社と実証実験をした上で2024年10月から本サービスとしても展開している実績があります。
そこからまだ世の中に出ていない多くの実績が創出されています。
その事例を特に誰でも知っているエンタープライズの企業と共に市場に提示していくことで知名度の向上を図ります。
更に、今回の組織変更を経てSolution Led Growth(SLG)のメンバーにはお客様と共に市場にとっても新しい解決事例を創出する目標を持つ形に変更しました。このあたりは今後の展開される事例にご期待ください。

まとめ:今後の展開に関して

Chief Sales Officerとして、組織全体の成長を加速させるサイクルをどう回すか。
その第一歩として、IVRyでは今回、目的と手法の違いに基づくPLG/SLGの組織再編を実施しました。
この変化は単にエンタープライズ市場への対応力を高めることだけを目的としたものではなく、Solution Led Growthという新たな概念を社内に定着させ、中長期的に組織としての選択肢と成長の地力を広げるものと捉えています。

社内資料:今、SLGに注力するIVRyとしての価値


更に、まずは名称で分かりやすくするというスタートラインに立った状態なので、組織として成長するために

  • 戦略と戦術を明確化させて、勝利の方程式の再現性を高める

  • SLG対象顧客に対する接点量と提案品質を高める

  • EPにおけるIVRyの導入事例の広報を増やして認知を高める

という目標を4月-6月で掲げて次の3ヶ月間を過ごしていきます。
また、最後になりましたが、新しい定義でのEP、GBのエリアに関して前年比300%以上のペースで成長を続けている中での変更で更に加速度的に成長を高めるために数多くの仕掛けを今後も展開していきます。
そのために多くの仲間が必要ですので、少しでもご興味持っていただいた方はぜひカジュアル面談でも面接でもお申し込みお待ちしております。
また、過去のYoutubeインタビューもありますので、
お時間ある際にぜひご覧ください。



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