Money Forward AI Vision2026 この一年のAIの劇的な変化を振り返って
先日、「Money forward AI Vision 2026」を開催しました。
昨年は、「Money forward AI Vision 2025」を同じく4月に開催し、その時には、当社のAI戦略について、「AIエージェントの提供」「AIエージェントプラットフォームの構築」「AXコンサルティングの提供」の3点について発表させていただいたのですが、この一年を振り返ってみると、AIの劇的な進化がみて取れます。
直近1年のAIの劇的な進化
この1年(2025年〜2026年4月現在)は、AIが「画面の中のチャットボット」から、「現実世界で仕事を完結させる自律的なパートナー」へと進化した激動の1年と言えるかとおもいます。
主な進化を5つのポイントでまとめてみました。

1. 「チャット」から「エージェント」へ
これまではAIに指示を出して「回答」をもらうのが主流でしたが、この1年でAIエージェント(自律型AI)が実用化されました。
・自律的な行動:
「この資料を元にスライドを作り、関係者にメールで送っておいて」といった複雑な指示に対し、AIが自分でブラウザやアプリを操作し、複数のステップを完結させるようになりました。
・『Claude Code』の衝撃:
開発現場では、AIがコードを書くだけでなく、AI自身がテストを実行し、バグを修正してプルリクエストまで作成する「エンジニアの自律化」が定着しました。
2. 「思考するAI」の標準化
OpenAIの『o1シリーズ』や『GPT-5.2』、Googleの『Gemini 3』など、深く考え、熟考する能力」を備えたモデルが主流になりました。
・推論能力の飛躍:即答せずに「考えてから答える」ことで、数学、科学、プログラミングなどの難解なタスクでのミスが劇的に減りました。
・Deep Research:
ネット上の膨大な情報を数十分かけてリサーチし、人間が数日かかるような専門的な調査レポートを1本書き上げる機能が一般化しました。
3. 完全なマルチモーダルの実現
テキスト・画像・音声・動画といったすべての情報を区別なく、ひとつのデータとして扱えるようになりました。
・リアルタイム・ビジョン:
スマートフォンのカメラで映している光景を、AIが人間と同じ速度で理解し、会話しながら解説・サポートしてくれるようになりました。
・動画生成の日常化:
『Sora 2』や『Veo 3.1』などの登場により、数分で映画品質のショートムービーや、BGM付きのプロモーション動画を生成することが容易になりました。
4. コンテキスト(記憶容量)の爆発的拡大
一度に読み込める情報量が桁違いに増えました。
・「RAGいらず」の時代:
数百万トークン(書籍数百冊分や数時間の動画)を一度に読み込めるようになり、企業内の全ドキュメントを読み込ませた状態で、記憶の漏れなく対話することが可能になりました。
5. 物理世界への進出とパーソナライズ
AIの活躍の場と理解の深さが桁違いに広がり、より日常生活に溶け込むようになりました。
・ウェアラブルAIの普及:
スマートフォンだけでなく、AIを搭載したメガネやペン型デバイス、高性能なボイスレコーダー(PLAUD NOTE等)を通じて、会議や日常会話がリアルタイムでデジタル化・要約されるようになりました。
・超パーソナライズ:
個人の仕事の進め方、健康状態、好みを深く理解した「自分専用のAI」へと個々のモデルが最適化される仕組みが整いました。
まとめると、2025年以前は「AIをどう使うか」が議論の中心でしたが、2026年現在は「AIにどの仕事を任せるか」という、より上流の判断が人間に求められるフェーズに移行しています。
マネーフォワードのこの一年の取り組み
マネーフォワードも、それに対応する様に、様々な取り組みを行ってきました。

1. 生成AIによるプロダクトの進化
既存の『マネーフォワード クラウド』に生成AIを掛け合わせることで、バックオフィス業務の劇的な効率化を推進しています。
・実務の自動化・効率化:
給与計算のカスタム計算式生成、連結科目の変換、契約情報の自動入力、書類テンプレートの自動生成、消込候補の提案といった機能を実装
・AIエージェントの提供:
経費精算、請求管理、財務会計、経営管理、契約管理の各領域において、申請サポートや分析を行う「頼れるAIエージェント」を構築
2. ユーザー体験(UX)の革新と実績
AIが下準備を行い人間がチェックするだけという、これまでにない業務体験を実現しました。
・確定申告の効率化:
初のAIネイティブプロダクト『マネーフォワード AI確定申告』を提供。あるフリーランスのユーザーの方には、これまで6日間かかっていたところ、約3時間で確定申告がほぼ終わるほどの体験を提供することができました。
・会計事務所での劇的な改善:
顧問先の月次試算表作成において、1社あたり平均4時間かかっていた作業を、最終レビューのみの24分にまで短縮されるという事例も。
3. インフラ提供とBPOへの展開
・リモートMCPサーバーの全プラン提供:
AIエージェントによる会計業務の自動化を促進するため、外部連携APIも公開。
・AI-BPO(英語ではAI Managed)サービスの展開:
AIによる自動処理と専門スタッフによる品質チェックを組み合わせた『マネーフォワード おまかせ経理』『マネーフォワード おまかせ請求回収』などAI-BPOサービス提供を開始。
詳細は、併せて以下のページでもご覧いただけます。
新サービス『マネーフォワード AI Cowork』発表
今回、「Money forward AI Vision 2026」で、さらなるバックオフィスの自動化・自律化を推し進めるため発表したのが、『マネーフォワード AI Cowork』です。
この動画をみていただくと、イメージが掴んでいただきやすいと思うのですが、
『Claude cowork』など自律的に動く AIエージェントの進化を踏まえ、複数のバックオフィスサービスが自律的に連動し、バックオフィス業務をユーザーの代わりに行っていきます。その働きは、まるで同僚が隣にいるかのようで、指示一言で、複数の業務を自律的に遂行・代行します。
さらなるバックオフィスの自動化・自律化(Autonomous Back Office)を目指し、会計、財務、人事労務、法務などの業務を自然言語(チャット)で相談・指示することができます。
「まとめて処理して」といった一言で、複数のAIエージェントが連携して業務を遂行します 。
今回の発表をご覧になって、「日本企業として、はじめてしっかりとしたAIエージェントを形で見せられていて、素晴らしいと思いました!」という言葉もいただいたように、おそらく日本初、そして世界でも、財務会計、人事労務を横断した取り組みは、あまり例をみないサービスになると思います。詳しくは、こちらもご覧いただければとおもいます。

大きなパラダイムシフトが起きている
“SaaS is Dead” というキャッチーな言葉がはやり、SaaS業界やソフトウェア業界の株価に大きな影響を及ぼしました。その理由や背景、対応策など、様々な議論が巻き起こり、一通りの議論は終わったと思っています。
今回本質的に起きているのは、ソフトウェアの操作主体が「人間」から「AI」へ移り始めている、というパラダイムシフトだと思います。
これまでSaaSは「人が画面を操作して業務を効率化する」というモデルでしたが、AIエージェントが自律的に業務を遂行できるようになると、「画面の使いやすさ」だけでは価値を維持できなくなります。市場はその構造変化を織り込もうとしているのだと思います。
しかし、実際にAIエージェントが企業のバックオフィス業務を担うためには、正確な業務ロジック、セキュリティ・ガバナンス、そしてAIの動作を統制するガバナンスの仕組みが不可欠です。これを各企業がゼロから自前で構築するのは現実的ではありません。
つまり、AIが高度化するほど、業務データと業務ロジックを蓄積し、信頼できるガバナンス基盤を持つプラットフォームの価値はむしろ高まると考えています。
SaaS企業の役割は「業務ツールの提供者」から「AIエージェントの業務基盤の提供者」へと進化していくと考えています。
3つの大きな変化
この大きなパラダイムシフトが今後、業界にもたらす影響は、具体的に3つの変化として現れると考えています。
1つ目は、インターフェースの変化です。
これまでは個別のSaaSにログインして操作していましたが、今後はAIに自然言語で話しかけたり、書き込むだけで、裏側で複数のシステムが連携して業務が完了する。発表した『マネーフォワード AI Cowork』はまさにこの思想で設計しています。
「まとめて処理して」の一言で、複数のAIエージェントがバックオフィス業務を遂行します。この世界観を実現するためには、当社のようにバックオフィスの複数のサービスを自社で提供していると進めやすいな、と感じています。
2つ目は、価値の源泉の変化です。
画面の使いやすさから、業務データの蓄積量・業務ロジックの正確性・外部連携(API/MCP)の充実度へとシフトします。当社は10年以上にわたり蓄積してきた会計・経費・人事労務などの業務ロジックとデータがあり、これがAIエージェントを正しく動かすための「燃料」になります。
ご自分で生成AIを駆使して、業務を行える様な企業や個人の方は、 MCPサーバーと連携して作業を行っていただく形を想定しています。
一方で、そういったスキルが不足している企業や個人の方や、構築する時間もない、また、そこにリソースを割かず、本業にリソースを投入したい企業が殆どだと思います。
社会全体をみても、同じことを個々の企業や個人の方が行うのは、リソースが勿体ない。そういった企業や個人の方には、複雑な仕組みを自前で構築する必要がないよう、それを網羅した『マネーフォワード AI Cowork』を提供する。これにより、本業にリソースを集中することができ、お客さまに喜んでいただけるのでは、と考えています。
3つ目は、ガバナンスの役割です。
AIが自律的に動くほど、「AIが正しいルールに従って動いているか」「最終的に人間が承認しているか」「誰がいつどのAIで何をしたか」を記録・管理する仕組みが極めて重要になります。
当社の『マネーフォワード AI Cowork』では「ガードレール」「Draft & Approve(下書きと承認)」「AI監査ログ」といったガバナンス機能を標準で備えています。
AI時代は、セキュリティも非常に重要なポイントになってきます。日々進化するAIを使ったセキュリティアタックに対して、対応し、大切なデータを絶対に守らなければいけません。
つまり、SaaS企業が「ただのツール屋」のままでいれば淘汰されますが、AIエージェントが信頼をもって業務を遂行するための"土台"を提供できる企業は、むしろこれまで以上に重要な存在になると考えています。
僕たちマネーフォワードは、皆様のご支援のおかげで、14年にわたり、44万以上の事業者さまのバックオフィス業務をクラウドで支援させていただいてきました。また、幸運にもバックオフィスをほぼ全て網羅する30以上のサービスを自社開発、運営しています。この蓄積こそが、AI時代においても簡単には代替されない競争力の源泉だと考えています。
「Money forward AI Vision 2026」に参加されたメディアの方からは、「今回の 『マネーフォワード AI Cowork』が、”SaaS is dead” に対する御社の答えであり、次のビジョンなのですね」というお言葉をいただきました。
このご指摘のとおり、マネーフォワードは、SaaSの会社から、AIの会社に。「No.1バックオフィスAIカンパニー」に今後もさらに進化していきたいと思います。

AIの進化は、本当に早くて、僕もついていくのが大変です。
ですが、ユーザーの皆さまに「マネーフォワードのサービスを使うと、最新のAI機能を使えるばかりではなく、複雑な業務ロジックをよく理解して、ガバナンスもしっかりしているので安心して使える」と言っていただけるように、全社一丸となって頑張っていきたいと思います。改めて、いつもご支援いただいているユーザーの皆様、会計事務所様をはじめとするパートナー様の皆様に御礼を申し上げるとともに、ぜひさまざまなご要望を引き続き頂戴できればと思います。
マネーフォワード AI Coworkについては、こちらから先行予約も受け付けておりますので、ご興味持っていただいた方は、ぜひご応募ください。
AI時代、まさにテクノロジーの大変革期!今までできないことができる様になって楽しい時代になってきましたね!
