舞台 「ベイジルタウンの女神」 観劇レビュー 2025/05/10


公演タイトル:「ベイジルタウンの女神」
劇場:世田谷パブリックシアター
企画・制作:ケムリ研究室
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:緒川たまき、古田新太、水野美紀、山内圭哉、坂東龍汰、藤間爽子、小園茉奈、後東ようこ、斉藤悠、依田朋子、中上サツキ、秋元龍太朗、尾方宣久、菅原永二、植本純米、温水洋一、犬山イヌコ、高田聖子
期間:5/9〜5/18(東京)、5/22〜5/25(兵庫)、5/29〜5/30(福岡)、6/6〜6/8(愛知)、6/14〜6/15(新潟)
上演時間:約3時間40分(途中休憩15分を含む)
作品キーワード:ロマンティックコメディ、寓話、ファンタジー、貧富の格差、笑える、舞台美術、プロジェクションマッピング
個人満足度:★★★★★★★☆☆☆
日本を代表する劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチさん(以下KERAさん)とKERAさんの妻で俳優の緒川たまきさんによる演劇ユニット「ケムリ研究室」の公演を初観劇。
「ケムリ研究室」は2020年に旗揚げされ、9月に当時新作書き下ろしであった『ベイジルタウンの女神』を上演した。
そして今回は「ケムリ研究室」No.4として旗揚げ時に評判を集めた今作を再演することになった。
私自身、KERAさんの作品はいくつも観てきているが、「ケムリ研究室」として公演を観劇するのは初めてである。
今作も初演は観劇しておらず、戯曲も未読のまま観劇した。
物語は、貧民街「ベイジルタウン」を中心に描かれる。
「ベイジルタウン」には乞食たちが沢山住んでいた。
そんな「ベイジルタウン」の買収を目論むのはお嬢育ちの大企業ロイド社の社長であるマーガレット(緒川たまき)だった。
マーガレットは婚約者のハットン・グリーン・ハム(山内圭哉)と弁護士のチャック・ドラグル(菅原永二)と共に、再開発して利益を得ようとしているライバル企業のソニック社社長のタチアナ(高田聖子)の元に出向き、「ベイジルタウン」の第7地区を売却するように懇願する。
タチアナは、かつて若い頃マーガレットと会っていたことがあるのにすっかり忘れられていることに怒り、とある賭けに勝った時のみ「ベイジルタウン」をロイド社に渡すと約束する。
その賭けというのは、マーガレットが30日間「ベイジルタウン」で身バレせずに生活し続けるということ。
ハットンやチャックはそんな難題は無茶であると言うが、マーガレットは「ベイジルタウン」を手に入れるために30日間乞食として暮らそうと試みるというもの。
KERAさんの演劇作品は、「ナイロン100℃」といった劇団の公演であるとナンセンス色が強かったり、物語の解釈もやや複雑であったりするのだが、今作は物語としても分かりやすくロマンティックコメディとして仕上がっていて、誰が観ても楽しめるような作劇として完成されていた。
妻の緒川たまきさんとの演劇ユニットなので、緒川さんを主役に据えてKERAさんお得意のプロジェクションマッピングを多用しながら、ファンタジーとして視覚的にギミックが分かりやすい形で進行していくので、演劇を普段観ない人でも十分楽しめる内容になっていた。
ストーリー構成も、ずっとお嬢様として暮らしてきたマーガレットが、乞食に変身して「ベイジルタウン」に住み着き、乞食たちとの交流を描いていくということで、今後の展開を追いたくなってしまう面白さが込められていた。
そのため、上演時間が3時間40分もあるという超大作であるにも関わらず、長さを全く気にすることがなかった。
物語に関しては、上記の通り分かりやすい展開が特徴的なのだが、後半まで進んでいくと主人公のマーガレットがお嬢様から乞食になったからこそ見えてくるものが描かれて興味深い気持ちにさせられる。
お嬢様から乞食になることによって、衣装も薄汚くなるしゴミ箱に捨ててある食べ物を食べられるようになり見窄らしくなる。
その一方で、お嬢様だった時には見えてこなかった人と人との愛情や温もりを学んでいく。
その点が演劇の戯曲らしくて面白かった。
舞台演出も非常に手の込んだもので驚かされた。
ステージ一面にベイジルタウンのファンタジーの世界観が作り込まれていて、可愛らしいプロジェクションマッピングの映像が投影されて、観客たちの心をワクワクさせてくれる。
そして笑いの誘い方も優しく愛おしい。
序盤のシーンでマーガレット社長を必死で持ち上げるチャックがいつも空回りしてしまったり、実際の演技とプロジェクションマッピングの2つを上手く組み合わせてコミカルなシーンを披露したり、物語のメインのストーリーには関係ない小さなボケが連発して笑わせられたりと飽きさせることはなかった。
出演者陣もKERAさんの舞台にはよく出演される方と多方面で活躍される実力ある俳優陣で構成されていて大変豪華だった。
主役のマーガレット・ロイド役を演じた緒川たまきさんの、あのお嬢様に終始なりきってあそこまで感情豊かでコミカルな女性を演じられるのは凄いなと思う、長年の俳優人生の賜物だと感じる。
そして婚約者のハットン・グリーン・ハム役や水道のハットン役を演じた山内圭哉さんの演技力が凄まじかった。
水道のハットンの演じ方は本当に一生記憶に残るくらい印象深いもので観劇出来て良かったと思う。
上演時間の長さが気にならないくらい面白い作品に仕上がっていて、さすが「ケムリ研究室」の旗揚げ公演というクオリティなので、初めて観劇をするという方にも堂々とお勧めしたい傑作である。

↓稽古映像
【鑑賞動機】
実は「ケムリ研究室」は、『眠っちゃいけない』(2023年10月)で初めて観劇する予定だった。しかし、私がチケット予約をしていた回は主催側の都合により中止となり、観劇するタイミングを逃した。そして今回の作品でついに念願の「ケムリ研究室」を観劇できるタイミングがやってきたのでチケット予約をした。
ちなみに、今作も開幕日であった5月6日と5月7日は緒川さんの体調不良により公演中止に。私は5月10日に観劇予定で今回も中止になる覚悟を決めていたが、無事上演に漕ぎ着けてくれて心から感謝している。
【ストーリー・内容】(※ネタバレあり)
ストーリーに関しては、私が観劇で得た記憶なので、抜けや間違い等沢山あると思うがご容赦頂きたい。
テンポの速い音楽と共に乞食たちがステージに沢山登場する。乞食たちは貧民街「ベイジルタウン」の公園で野宿をしている。そこへ綺麗好きな警官(斉藤悠)がやってきて乞食たちに公園で寝るでないと叱りつける。乞食たちは公園は綺麗だから公園で寝たいと言う。警官は、乞食たちが公園で眠ると公園が汚くなるではないかと言う。
ロイド社の社長のマーガレット・ロイド(緒川たまき)と婚約者のハットン・グリーン・ハム(山内圭哉)、そして弁護士のチャック・ドラブル(菅原永二)は自動車に乗り込みソニック社へと向かう。
ソニック社に着いて応接室で待たされるマーガレットとハットン、そしてチャック。チャックはマーガレットをこんなに待たせるというのは、ソニック社の社長はいかなる人物なのかと疑う。マーガレットは、散々ソニック社にあるソファーや装飾を小馬鹿にして、それに対してチャックも相槌を打とうとするが、マーガレットは途中でソニック社の装飾も悪くないといったニュアンスのことを言い出し、チャックはそれに合わせて意見をコロコロ変える。
ソニック社の社長のタチアナ・ソニック(高田聖子)が現れる。マーガレットは久しぶりのタチアナとの再会でキャッキャする。最初は二人は昔話で盛り上がりを見せるが、実はマーガレットはあまりタチアナとのことを覚えていないことが発覚し、二人の仲は険悪になる。
マーガレットは、早速ソニック社にやってきた理由を明かす。現在ロイド社は、貧民街「ベイジルタウン」の再開発を進めており、「ベイジルタウン」の第8地区と第9地区は所有しているのだが、第7地区は所有しておらずソニック社が手にしている。そこで、第7地区をロイド社に売却して欲しいと提案する。タチアナは拒否する。第7地区はタチアナが生まれ育った地区であり、売却する訳にはいかないと。しかしマーガレットは、その売却を日認めてくれるまで一向に引き下がらない。
そこでタチアナは、マーガレットに掛けを持ちかける。マーガレットが30日間「ベイジルタウン」に乞食として暮らし続けて身バレしなかったら第7地区を譲渡すると言う。しかし、もしマーガレットが30日の間で身バレしてしまった場合、ソニック社が第8地区と第9地区を頂くと言う。
ハットンとチャックは、そんな無謀な掛けは引き受けてはいけないと言うが、マーガレットはその賭けを安安と引き受けてしまう。
マーガレットは、早速貧民街「ベイジルタウン」で暮らす準備を始める。ロイド社の執事のミゲール(尾久宣久)も手伝う。そしてタチアナは、マーガレットの身に付けている衣装をビリビリに切り裂く。こうでもしないと「ベイジルタウン」に住んでいてもマーガレットだと身バレしてしまうからと。マーガレットは少し残念そうにするが、その格好で「ベイジルタウン」へ向かう。
マーガレットは「ベイジルタウン」に辿り着く。宿の女主人(植本純米)を見つける。マーガレットは一晩泊めてくれないかと女主人に言うが、ネズミに襲われて大騒ぎになる。
マーガレットは公園へと向かう。そこへドクター(温水洋一)というこの街の乞食がゴミ箱を漁り始める。そしてゴミ箱に捨ててあったチキンに齧り付く。マーガレットはびっくりして、ゴミ箱に捨てられたチキンは汚いと声を翔が、ドクターはお構いなしだった。そして、ゴミ箱から今度は財布と札束を見つける。ドクターは一部をマーガレットに渡し、自分もポケットに札束を入れて去っていく。マーガレットはゴミ箱に捨てられていた札束を持って呆然とする。
そこへ、二人の乞食(斉藤悠、秋元龍太朗)がやってくる。二人はゴミ箱から財布を探しているようである。誤って財布をゴミへ捨ててしまったのだと。しかし見つからない。そのお金があれば母親の医療費に充てられるのにと言う。マーガレットは、先ほどドクターが盗んでいった札束が、二人の乞食のもので母の医療費に使われるはずだったと聞くと罪悪感を感じ、自分が今持っているお金を二人の乞食に渡す。乞食はありがとうと言って、その後の会話からだたのすりだったことが分かり、そして母親の医療費というのはイボを取るだけの費用だったことも分かる。母が病気であるとかではなかった。マーガレットがお金を返すように言うが、乞食たちは逃げていく。
そのままマーガレットは、トレンチコートの男(菅原永二)に捉えられてしまう。マーガレットの行動が怪しいと思われたらしい。マーガレットは自分が身バレしてしまうんじゃないかと怯える。
しかし、そこに通称王様のマスト・キーロック(古田新太)と通称ハムのメリィ・キーロック(水野美紀)が現れてトレンチコートの男をボコボコにする。それによってマーガレットは難を逃れる。キーロック兄妹にマーガレットはお腹が空いたから食べ物を探していると言う。食べ物が欲しければ教会に行くしかないと言われる。
3人は教会へ向かい食堂で食事をする。そこへ、先ほどお金を盗んだドクターとドクターの妻のサーカス(犬山イヌコ)とも合流する。ドクターが盗んだものはおもちゃのお金だったらしく、食べ物にありつくために教会に来たらしい。
マーガレットは、王様、ハム、ドクター、サーカスが自分のことを良くしてくれるので、つい良い気分になって、自分がロイド社の社長のマーガレットであることを話してしまう。その話を聞きつけていたのは、この食堂で働いていたスージー(藤間爽子)であった。スージーは正夢を見ることで世間からは有名であったが、まさにこの前マーガレットという人がこの街に紛れ込むという夢を見たばかりで、また正夢になったことに感激している。
「ベイジルタウン」の街をヤング(坂東龍汰)という若い乞食が歩いていると、パト(尾久宣久)という警官に捕まえられる。そこへスージーがやってくる。スージーはヤングを捕まえているパトを痛い目に遭わせてパトを立ち去らせてヤングを解放する。
ヤングとスージーは二人で仲睦まじくしている。お互い相思相愛の様子である。そこへ水道のハットン(山内圭哉)が現れる。彼は知的障害を持っている様子で水道の蛇口だけ持ってブツブツと同じことを繰り返し呟いている。水道のハットンはすぐに立ち去る。
スージーはヤングに向けて手紙を渡す。この手紙はスージーの母親(高田聖子)からであると言って。ヤングは手紙を読み上げると、乞食が娘に手を出すんじゃないとキツく書かれていた。手紙の途中でヤングは手紙を破り捨てて暗転する。
「ベイジルタウン」は雨が降っている。王様とハムとマーガレットは、ボロくて穴の空いた傘を差しながら外でババ抜きをしている。しかし、一向に手札が減らない。王様に確認してみると、トランプは27,8枚しかなく、その代わりハートのAが3枚ほどあるとのことだった。
そんな様子を双眼鏡で、ハットン・グリーン・ハム、チャック、ミゲール、タチアナは眺めていた。今の所マーガレットは誰からも身バレしていないが、マーガレットはなんか王様と良い感じになっているとハットンは憤慨する。急いでこの契約を破棄すべきだと。しかしタチアナは、契約なのでそんなに簡単に破棄する訳にはいかないと言う。
ハットンは許すことが出来ず、すぐにマーガレットに作戦中止を言い渡そうと強行して外に出る。その勢いでミゲールも外へと出るが交通事故に遭って死んでしまう。その様子をハットンとチャックは窓から眺めている。
マーガレットは家の中で眠っている。そこへ王様、ハム、ドクター、サーカスはやってくる。ドクターは時計を拾ってきたと言う。時計は先ほどまでは止まっていたのだが、逆方向に進み始めたと言う。サーカスはラジオを懐かしく思いながら聴いている。皆、時計は逆方向に進み自分たちが若かった時のことを思い出しながら懐かしく感傷に浸っている。
ドクターとサーカスが家を去り、マーガレットが目覚める。その時、家のどこからか炎が噴き上がっていることに気が付く。火事だと分かったマーガレットたちは急いで家から逃げる。
ここで幕間に入る。
マーガレットが「ベイジルタウン」で暮らし始めてから20日間が経過した。「ベイジルタウン」の公園には、沢山の乞食たちがいる。そこに、マーガレットもいた。王様がやってきて紙袋の中に入っている虫を食べている。マーガレットにも食べるかと聞く。マーガレットは恐る恐る虫を食べる。小さすぎて何も味がしないらしい。
公園には、スージーとヤングもいた。スージーはヤングについていく気満々だった。そこへスージーの母親が現れる。公園には沢山の乞食たちがいて居心地悪そうで、自分の娘であるスージーをヤングに渡したくなかった。スージーの母親は自分の元に戻ってくるようにスージーに言う。そんなヤングなんかと一緒にいると乞食になってしまうと。スージーは乞食なんかにはならないと言う。
結果的にスージーは母親の元に戻ることなく、母親は呆れて去っていく。乞食たちは大喜びして、歌を歌いながらヤングとスージーの結婚を祝福する。
一方で、ソニック社ではタチアナの元に古物商のファンファーレ(温水洋一)がやってくる。ファンファーレは、マーガレットが10歳の時に書いていた日記を持ってくる。
タチアナはその日記を読み上げる。そこには、マーガレットがタチアナと遊んでいた頃のことが鮮明に記されていることを知って驚く。そしてタチアナは、どんどん幼いときにマーガレットと遊んだ時のことを思い出していき涙する。
そこへハットンとチャックがやってくる。ハットンは早く「ベイジルタウン」の取り壊しをしようとタチアナに進言するが、タチアナはそれを拒む、様子を見たいと。そこからタチアナとハットンは口論してしまい、タチアナはマーガレットと交わした契約を白紙にする。好きにするが良いと。ハットンは「ベイジルタウン」の取り壊しを本格的に始める。
「ベイジルタウン」には水道のハットンがいる。一人でブツブツと呟いている。水道のハットンは乞食たちに虐められている。そこへマーガレットがやってきていじめる乞食たちを追い出す。マーガレットは水道のハットンのことをダーリンと呼んで好意を寄せている。水道のハットンに優しく話しかける。そこへ王様とハムとミゲールもやってくる。ミゲールは幽霊でマーガレットからは見えていないらしいが、水道のハットンには見えている。マーガレットは婚約者のハットンと、水道のハットンが非常に似ていることを指摘する。そしてマーガレットは「モイ」という言葉を口ずさむ。「モイ」とは、水道のハットンのことを見捨てた彼の弟のことであった。
水道のハットンは「モイ」という言葉を聞いてパニック障害を起こしてしまう。そしてどこかへ姿を消してしまう。
マーガレットは王様と二人きりになる。王様は自分の過去のことを話し始める。テレビ局に勤めていたことがあって、下っ端だったけれどずっと乞食だった訳ではないと言う。そこから王様の家族の話をする。その間にマーガレットは眠ってしまう。
スージーとヤングは「ベイジルタウン」の教会で結婚式を挙げようとしていた。素敵な衣装を着て花束を持って。周囲に乞食たちがいて二人を祝福していた。
しかしその時、巨大なブルドーザーのような音が聞こえてくる。「ベイジルタウン」が何者かによって再開発のために破壊され始めていた。ビラが撒かれる。そこには、ハットンという次期市長選に立候補した者の命令によって、「ベイジルタウン」が再開発のために壊されていることが書かれていた。
マーガレットも「ベイジルタウン」が破壊されたらまずいと自分の家に戻ろうとするが、既にそこには別の家族が住んでいて追い出されてしまった。
マーガレット、王様、ハムたちは途方に暮れていたが、そこに一つの紙飛行機が飛んできた。そこには何も書かれていなかったが、もう一つ飛んできた紙飛行機には、ハットンが市長選に向けて演説をする場所が書かれていた。
チャックが客席から登場しながら、これからハットン次期市長の演説が始まると大声で告知している。演説台に昇って演説を始めようとしたのは、なんとハットン・グリーンハムではなく水道のハットンであった。水道のハットンは、演説で「耳か、耳のことか」「そうそうそうそう」、そして水道に対する不満などをぶちまける。乞食たちは、本物のハットンよりも何十倍も良いスピーチをするじゃないかと言う。ドクターとサーカスはラジオで水道のハットンの演説を聞いている。
ヤングとスージーは本物のハットンを家の一室に閉じ込めていた。マーガレットたちは帰ってくる。本物のハットンを閉じ込めておいて、水道のハットンに演説をさせることが出来たのはとても良かったと。本物のハットンが連れて来られる。ロープで縛られている。乞食たちは「ベイジルタウン」を破壊しようとしていたハットンを取り押さえたと勝ち組気分だった。
しかしドクターが油断した矢先にハットンがロープの紐を解いてしまい、ピストルを乞食たちに向けた。大人しくしていろと。一気に緊迫した雰囲気になり、乞食たちは怯える。ハットンは天井に向かって発砲する。一同は恐怖する。誰から撃とうかとハットンは皆にピストルを向ける。
その時、死んだミゲールがやってきてハットンからピストルを奪う。そしてハットンは警察に逮捕される。
マーガレットはタチアナと再会する。タチアナはファンファーレが発見したマーガレットの日記に感激し、マーガレットは30日間の乞食生活を経て、タチアナのような親友の存在がいかに大切かを学び仲直りする。お互いちゃんと覚えていてくれたと。そして昔話をして意気投合する。
その後、登場人物がその後どういう人生を歩んでいったのかが語られる。水道のハットンは水道局のスターになったという。登場人物が全員集合してパネルが閉ざされ、映像で登場人物たちのイラストが投影される。ここで上演は終了する。
非常にストーリーも分かりやすくて、次の展開を追いたくなるような素晴らしいエンターテイメントとしての舞台だった。お嬢様のマーガレットが30日間乞食としてバレないように生活出来るかの賭けをするなんて、非常に面白い設定だし、そこにはお嬢様が乞食たちの対話を経て人間として成長していくというヒューマンドラマも描かれているし、果たしてマーガレットの正体がバレないだろうかというスリリングさもある。非常に良くできた物語設定である。
そして、ロマンティックコメディということで、ストーリ展開もユーモアでコミカルで全てのシーンに心躍らされていた。水道のハットンと婚約者のハットンが双子の兄弟で、その設定を活かして大逆転するという見せ方もコミカルかつ上手いし、脚本という観点だけでなく小ネタも盛り沢山で沢山笑った。
そして、私が今作の戯曲として好きだったのは、なんと言ってもお嬢様のマーガレットの成長物語。最初は世間知らずで薄情な社長なのだが、乞食との生活を通じて人間らしくなっていくのが本当に素敵だった。ラストにタチアナと仲直りするシーンが本当に素晴らしくて、あの最後のシーンだけでも泣けてくる。やっぱり友情、愛情が一番大事だよなと思う。

【世界観・演出】(※ネタバレあり)
本当に観客が心躍らされるような大掛かりなロマンティックコメディの世界観に、私もずっと引き込まれていた。まるでどこかの異世界に来てしまったかのようなそんなファンタジックな舞台空間だった。
舞台装置、映像、衣装、舞台照明、舞台音響、その他演出の順番で見ていく。
まずは舞台装置から。
ステージには大掛かりで巨大な舞台セットが固定で仕込まれていた。上手側にはファンタジーの世界を形作るメルヘンな3階建てのお家が聳えていた。舞台は貧民街「ベイジルタウン」なのだが、いかにも貧民街といった装飾にはなっておらず、ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」のようなファンタジーの世界の舞台セットになっていた。ステージ手前から奥に向かって階段が伸びていて、その階段を昇った所にマーガレットが終盤で追い返されてしまう自宅の玄関があった。また、王様とハムでババ抜きをするエリアもこのあたりだった。また、スージーがパトを追い返すシーンもここで上演されていた。
そこからさらに奥へと階段は続いて捌け口になっている。そこから水道のハットンが登場したりなどしていた。
建物の天井近くには大きな開閉する2つの窓が取り付けられており、ミゲールが自動車に跳ねられて死んだ時に、ハットンとチャックがそこの窓から覗き見ていた。
ステージ中央は広場になっていて、「ベイジルタウン」の公園として使われたり、ソニック社の応接室として使われたりした。基本的にはこの広場でシーンは繰り広げられた。この広場に食堂のテーブルが運び込まれたり、応接室のソファーが運び込まれたり、教会になったり火災の起きた「ベイジルタウン」の家になったりした。
移動式の舞台セットで面白かったのは、水道のハットンが演説を行った演説台。ローラーがついていて人が転がして移動させられるようになっていて、水道のハットンが演説したまま演説台が動いていたのが面白かった。
次に映像について。KERAさんの舞台だけあって、プロジェクションマッピングを多用した演出になっていた。
まず目を引くのは、オープニングのプロジェクションマッピング。KERAさんといったらオープニングにプロジェクションマッピングで登場人物と配役を紹介することが多いが、今作もそのパターンを採用していた。映像を使いながらイラストと役者を対応させてコミカルでチャーミングに紹介するプロジェクションマッピングが良かった。舞台セットに映像を投影して、配役と出演者の名前とイラストを投影し、そのイラストが役者そのものに切り替わる演出の見事さといったらなかった。相当に計算されてテクリハを重ねたのだろうなと思う。
また、マーガレットが「ベイジルタウン」で暮らし始めて何日後なのかを説明する映像もあって、時間軸が分かりやすかった。第一幕と第二幕で何度かそういうテロップが表示されたので、これだけ時間が経ったのだなと観客は分かるようになっていた。それによって、マーガレット、あともうちょっとと彼女のことを応援したくなる欲求も生まれた。
次に衣装について。KERAさんの舞台はいつもそうだが、とても豪華で可愛らしい衣装だった。
まずはマーガレットの衣装が素敵だった。最初はロイド社の社長として毅然とした貴族ような豪華な服装に思えるのだが、タチアナに切り裂かれたあとは見窄らしい女性にまるで見える不思議さがあった。実際にステージ上でタチアナ外相を切り裂いていたので、あの衣装をステージ数用意しているのだろうか、気になった。
スージーの黄色い衣装も素敵だった。周囲の人間が乞食で見窄らしい格好をしているので、スージーのような豪華な衣装は目立つ。本当に御伽話に出てくるお姫様のような格好で、これはヤングは好きになってしまうよなと思った。
チャックやミゲールといった執事や弁護士のスーツ姿の衣装も素敵だった。凄くビシッとしていて見栄えが良いし、ミゲールの死んでしまってから背中に天使のような羽が生えているのも面白くて好きだった。
また乞食ではあるが、古田新太さんが演じた王様のあの髪が伸び放題に伸びた感じが、KERAさん自身のような感じにも見えて面白かった。KERAさんが乞食として今作に登場しても何の違和感もないと思う。
次に舞台照明について。
夜のシーンの青白い照明と、黄色い夕暮れの照明が印象に残った。
時にマーガレットと王様とハムがババ抜きをしているシーンは、黄色く照明が照らされていて印象に残った。あとは、スージーとヤングが婚約することが決まって乞食たちが大興奮しているシーンも黄色い照明だったような。
第一幕の終盤で火事が発生してしまう時の真っ赤な照明も印象的だった。
ヤングがスージーの母親の手紙を破り捨てて暗転するのも好きだった。
あとは、ステージ上手側の窓からハットンとチャックが顔を出す時に、そこに向かってスポットが当たるのも照明の使い方として印象的だった。
次に舞台音響について。
比較的音楽が多い芝居だった。もちろん歌は入っていないけれど、テンポの速くてワクワクさせる明るい楽曲が多い印象だった。暗い音楽は一切かからない。
あとはピストルの発砲音がほどよかった。うるさすぎないのでびっくりすることもないし、小さすぎず迫力がない訳ではなかったので。
ラジオの音声も好きだった。水道のハットンがラジオ越しから聞こえてくる感じがとてもコミカルで良かった。
最後にその他の演出について。
トレンチコートの男が王様とハムに捕まってボコボコにされるが、途中で人形に置き換わって容赦無くボコボコにする演出が好きだった。プロジェクションマッピングから本物の役者が登場する演出しかり、本物と偽物の人物がシームレスに切り替わる演出が今作では巧みだなと思う。
バックステージから紙飛行機が飛んでくる演出も良かったなと思う。私が観劇した回では、2つ目の紙飛行機が客席の方に飛んでいってしまい、予備として用意してあった紙飛行機をバックステージから取りに行くというハプニングがあった。こういう対応を役者たちはしないといけないから瞬発力求められるよなと思う。
スージーがパトのことを思いっきり引っ叩くシーンがあったが、あのシーンにはインパクトがあった。この役を精一杯演じた藤間爽子さんは天晴れだと思う。なかなか先輩俳優の頬を叩くなんて、テレビでは決してすることはないから。
一人が複数役をやっているので早着替えが大変だろうなと思う。特にハットンと水道のハットン、タチアナとスージーの母、ミゲールとパトなど、主要キャストを同じ人が演じていたりするので、衣装の着替えが大変だろうなと思った。

【キャスト・キャラクター】(※ネタバレあり)
KERAさんの舞台ではお馴染みのキャスト陣に加えて、多方面で活躍中の勢いのあるキャストも出演していて非常に豪華で大満足の座組だった。
特に印象に残ったキャストについて見ていく。
まずは、「ケムリ研究室」の旗揚げメンバーであり今作の主人公マーガレット・ロイド役を演じた緒川たまきさん。緒川さんの演技は、木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』(2024年9月)、KERA・MAP『しびれ雲』(2022年11月)、COCOON PRODUCTION『世界は笑う』(2022年8月)で演技を拝見したことがある。
緒川さんの演技はこの通り何度か拝見したことあるが、ここまで主人公として長い時間演技を拝見したことがなく、本当に素晴らしい俳優であることをつくづく感じられた。まず、今作のマーガレット役が見事にハマっていた。さすがは夫のKERAさんが描く戯曲というだけあって、緒川さんのことを知り尽くしているというくらいぴったりの配役だった。もちろんKERAさんは奥さんの緒川さんに当て書きをしたのだと思うが。
緒川さんが演じる、あの良い意味であざとい感じのマーガレットがとても良い。序盤に登場するロイド社の社長としてのマーガレットはどこか鼻につくくらい気取っている、もちろん良い意味で。いかにもお嬢様という感じで、何もかもが満たされてきた感じを醸し出していてとてもハマっていた。
しかし、「ベイジルタウン」で暮らし始めていくうちに、その貧民街での予想だにしない生活を目の当たりにして色々と良心を垣間見せながら人間らしい人に変わっていく様が本当に絶妙だった。ここで変わったという明確はラインはないのだが、序盤のマーガレットのタチアナとの会話と、終盤のタチアナとの会話を思い起こせば、マーガレットが今回の経験を通していかに変わっていったかが手を取るように分かる。そういう変化を徐々に切り替えて演じることの出来る緒川さんが本当に素晴らしかった。
次に、マーガレットの夫であるハットン・グリーンハム役や水道のハットン役を演じた山内圭哉さん。山内さんは、COCOON PRODUCTION『パラサイト』(2023年7月)、『世界は笑う』(2022年8月)、ナイロン100℃『イモンドの勝負』(2021年11月)で演技を拝見したことがある。
ハットン・グリーンハムとしての演技も素晴らしかったのだが、特に印象に残ったのは水道のハットン役としての演技。このキャラクターに関しては、こういった人物像を構想できるKERAさんもまず素晴らしいと思う。最初の登場シーンでは知的障がいを持った役だなと思い、その台詞選びなどが同じことを繰り返し早口で語る感じ、たしかにそういう障がいをお持ちの方はいるよなとその再現度の高さに感心させられた。そして、そういった障がいを持った役としてファンタジーの世界で違和感なく演じられている点が素晴らしかった。
そしてさらに凄いのが、その水道のハットンが何度も繰り返し話す支離滅裂な内容が、ちゃんと伏線になっていることである。この点については、ナンセンスものを得意とするKERAさんの劇作家としての凄みを感じた。水道に関するよく分からない水道のハットンの会話が、演説となると説得力を持つ不思議がそこにはあった。
そしてハットンという今作でいう悪役的存在と、水道のハットンという知的障がいを持った役を同時に演じてしまう山内さんの演技力の高さには脱帽した。そして山内さんという同じ役者が演じるということで、双子という設定も活きている。『パラサイト』でも山内さんの演技は印象に残っていて好きだったが、その時の役を上回るくらい素晴らしく印象に残った。ますます好きになってしまった俳優だった。
王様(マスト・キーロック)役を演じた古田新太さんも素晴らしかった。古田さんの演技は、劇団☆新感線『天號星』(2023年9月)、COCOON PRODUCTION『パラサイト』(2023年7月)で演技を拝見したことがある。
古田さんは登場するとすぐに古田さんだと分かるが、その存在感が凄くて「ベイジルタウン」にも馴染んでいた。かつらが伸び放題に伸びた白髪混じりの髪で、お化けのようで雰囲気があった。
良い意味であの仏頂面な感じが良い。凄く冷たいようで実は凄く優しい感じが古田さん演じる王様は似合っていて好きだった。マーガレットになかなか本名を教えなくていじられて怒る感じも好きだった。
そして終盤ではマーガレットに心を開いていく感じも見応えがあった。王様がテレビ局で下っ端として働いていた頃が良い意味で想像できなくて好きだった。
ハム(メリィ・キーロック)役を演じた水野美紀さんも素晴らしかった。水野さんの演技は今作で初めて拝見する。
上手く言語化できないのだが、とにかくメリィ・キーロックはいつも格好良く感じた。「ベイジルタウン」という貧民街で賢く強く生きてきたのだろうなと思わせる。古田さん演じる王様との相性が良くて、きっとメリィが色々と支えてきたのだろうなと思わせられる。
マーガレットに対しても凄く良くしていて、こうやって初対面でもマーガレットに信頼されるのは、メリィがしっかりしているということに加えて、怪しい感じが全くしない誠実な印象があるからなのではないかと感じた。
スージー役を演じた藤間爽子さんも素晴らしかった。藤間さんは、阿佐ヶ谷スパイダース『老いと建築』(2021年11月)、東京夜光『いとしの儚』(2021年3月)で演技を拝見している。
藤間流の日本舞踊の役者としても活躍され、今ではテレビ出演も増えて人気俳優の一人であるが、久しぶりにこのような形で演技を拝見できて良かった。
黄色いドレスがとにかく似合っていて、そして乞食のヤングにぞっこんなスージーは本当に魅力的な役柄だった。ヤングに抱きしめられて踊るシーンや、結婚式を挙げようとするシーンなど、本当に坂東龍汰さん演じるヤングとお似合いでずっと見ていられるカップルだった。
警官のパドを引っ叩くシーンは本当に印象的で驚いたが、舞台ならではの演出で良かった。
最後に、チャック・ドラブル役などを演じた菅原永二さんとミゲール役などを演じた尾方宣久さんのコンビも素晴らしかった。菅原さんの演技は、直近だと小林賢太郎さん脚本演出作品『学芸員 鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート』(2025年1月)、世田谷パブリックシアター『ロボット』(2024年11月)などで演技を拝見したことがあり、尾方さんはPARCO PRODUCE『ワタシタチはモノガタリ』(2024年9月)、KERA・MAP『しびれ雲』(2022年11月)などで演技を拝見したことがある。
高貴な社長に使える執事と弁護士という感じがして、太鼓持ち感が半端ないのが好きだった。チャックは序盤から笑わせてくれる。マーガレットに必死で合わせようとして矛盾したことばかり言って、コロコロと意見を変えてしまうコミカルさがたまらなく好きだった。
ミゲールに関しては、自動車事故で死んでしまうのは呆気なかったが、そこから背中に羽をつけて終盤まで大活躍するのが好きだった。尾方さんは他の舞台でも何度も芝居を観ているがとても声が良くて好きである。
そんな滑稽な二人がロイド社に仕えているのが非常に面白かった。

【舞台の考察】(※ネタバレあり)
ここでは、今作のテーマである貧富の格差について考察していこうと思う。
今作の初演は2020年という新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化して、なかなか観劇することもままならない頃だった。まだ2020年の頃は、私は観劇はしていたけれどKERAさんの演劇を観たことがなかった。KERAさんの演劇を初めて観劇したのは2021年11月のナイロン100℃『イモンドの勝負』なので、今作の初演の約1年後になる。今作の初演当時は、KERAさんのお名前は知っていたけれど「ケムリ研究室」の存在は知らなかったと思う。
今作を今回初めて観劇した私だが、KERAさんの作品にしてはとても分かりやすく間口の広い誰でも楽しめる演劇作品に感じた。子供に見せても楽しんでもらえるだろうし、演劇を初めて観る人にも親しんでもらえそうな作品だった。
分かりやすい作品である一方で、今作にはKERAさんらしくしっかりとして社会問題もテーマに内在されている点は非常に興味深い。そしてそのテーマが貧富の格差なので、またそれが2025年現在に上演されるということで意味を持ってくる。
2025年、アメリカではドナルド・トランプが大統領に就任し、行き過ぎた資本主義が進行している。貧富の格差はますます広がりアメリカ国内では暴動が絶えなくなっている。そしてテクノロジーの進化、特にChatGPTに代表される生成AIの登場は、そう言った貧富の格差をますます助長させる要因にもなっている。
そんな中で今作は再演された。現代社会において、いかに労働の生産性を上げて効率よくしていくかが求められる世の中において、生産性の高い労働者ほど金持ちになり、そうでない労働者ほど貧乏になっていって貧富の格差は広がっている。そういうご時世において、今作の貧富の格差をテーマにしたメッセージ性は強く響くものがある。
主人公のマーガレットは大企業ロイド社の社長でありお金持ちであった。その一方で、人に対して思いやりも何もない冷淡な存在でもあった。冒頭の幼馴染のタチアナとの会話を聞いているとよく分かるであろう。そして夫のハットンに関しても、「ベイジルタウン」の市長になってこの街の再開発を目論むという野心家でもあった。金持ちはさらなる野望を持って、貧民街である「ベイジルタウン」を再開発して金儲けをしようとしていた。
しかし、マーガレットはタチアナとの賭けに応じて、30日間「ベイジルタウン」で暮らすことによって、今までとは180度違った生活環境に身を置くことになる。着ている服も見窄らしく、そして臭くなり、昆虫を食べたり、ゴミ箱に捨てられた食べ物を食べたりする。マーガレットには考えられないことだったが、貧民街の乞食たちにとっては日常であった。
マーガレットが心動かされるのは、乞食たちが平気でお金を盗んだり、暴力を振るってきたりと、そういう良心を傷めるようなことをしたからである。それまではマーガレットの生活は順風満帆で、チャックやミゲールのような執事や弁護士が当たり前のようにいて不自由なかった。その不自由ない暮らしが当たり前になってしまっていて、人の心を忘れていた。
しかし、マーガレットはいざそういう不自由のない暮らしがなくなってしまうと、いかにそういった存在が有り難かったかを痛感する。それを一番感じたのは、王様とハムによる優しさなのではないかと思う。
人間は一人では生きられない。周囲の助けや支えがあって初めて生きていくことができる。そのことを忘れてはいけないと思う。マーガレットは30日間の「ベイジルタウン」の生活を経て、その人と人との愛情の素晴らしさを実感したのだと思う。
マーガレットが水道のハットンを思いやるシーンは印象的である。まるでその時のマーガレットは、序盤に登場したロイド社の社長としてのマーガレットの振る舞いとは大きく異なる。水道のハットンを気遣い心配する。大企業の社長が、知的障がいを持った水道のハットンに対して、あそこまで真摯になれるなんて感動的なシーンだと思う。
人間は愚かであるので、つい恵まれすぎた環境に身を置くと強欲になってしまう。そして本当に大切なものを見失う。思いやりや人の心を忘れてはならない。資本主義が行き過ぎた今のご時世において、そう言った戒めは大事だし改めて私たちも意識しなければいけないなと感じた。

↓KERAさん過去作品
↓緒川たまきさん過去出作品
↓古田新太さん過去出演作品
↓山内圭哉さん過去出演作品
↓坂東龍汰さん過去出演作品
↓藤間爽子さん過去出演作品
↓小園茉奈さん過去出演作品
↓後東ようこさん過去出演作品
↓斉藤悠さん過去出演作品
↓中上サツキさん過去出演作品
↓秋元龍太朗さん過去出演作品
↓尾方宣久さん過去出演作品
↓菅原永二さん過去出演作品
↓温水洋一さん過去出演作品
↓犬山イヌコさん過去出演作品
↓高田聖子さん過去出演作品

