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自ら進んで豆柴に貢ぐわけ

 豆柴の“お茶子”が11月で3歳になった。僕たち夫婦には子どもがいないから、どうしても人間の子どものように可愛がってしまう。

特に妻は、お茶子の食事にものすごく気を配っていて、ネットで検索したりインスタを見たりしながら、体にいいドッグフードや手作りご飯の情報を集めている。「このフード高いね」と思う時もあるが、正直あまりケチっていられない。犬を飼うというのは、そういう出費も含めて「家族を迎える」ということなのだろうと自分に言い聞かせている。

 お茶子は甘えん坊だ。朝になると妻が先に起きて朝ごはんをあげているんだけど、寒い時期はご飯の時間が過ぎてもお茶子がベッドで寝続けていることもある。逆に季節が安定してくると、今度は「朝ごはんまだですか?」と言わんばかりにベッドを見つめてじっと待っているらしい。妻が布団から出た瞬間、のびをしながら妻を待っている姿がなんとも微笑ましい。

 3歳になってからさらに甘えん坊ぶりが増した気がする。夜に僕や妻が入浴でリビングからいなくなると、ドアの前で寂しそうに待っているので、風呂上がりに合流するとしっぽをブンブン振ってすり寄ってくる。こういう光景を目にすると、少し高いごはんや服でも「まあ仕方ないな…」と思わされるから不思議だ。

 僕自身はそこまで詳しく調べたりせず「犬が健康でいてくれるなら好きなだけどうぞ」というスタンスだ。実際、妻が「これ、お茶子に似合いそうじゃない?」とスマホの画像を見せてくると、高いなと思いつつ、わざわざ小言を言っても「じゃあやめようか」という流れにはならないので、最初から黙って払うことにしている。

もしそれが妻のへそくりになっていても気にしない。僕が稼げるうちは多少出費がかさんでも構わないし、犬を迎えた以上、お金の問題で我慢させたくないと思っている。お金を稼ぐのはそこそこ得意になったが、使うことが苦手なので、いっそ妻にまかせる方がいい気がするのだ。

 リビングには妻が厳選した犬用ベッドがひとつ、寝室にももうひとつ置いてある。ところが、お茶子は妻が座っている無印のクッションをやたらと気に入っていて、平気で鼻先をグイッと押し当て「どいて」とばかりに場所を奪い取る。妻が「どうぞ」と笑いながら席を譲ると、お茶子は満足げに丸くなって寝始める。

そんな強引さも可愛いし、妻も面白がっているから、結局クッションは犬用ベッドのように使われてしまう。僕はそれを見て笑いつつ、「高級ベットではなくて無印の3,000円で買ったくたくたのクッションがいいのか」と少しだけ複雑な気分にはなる。

 いまはお茶子が健康に暮らせるよう、ノミダニの薬や保険にも気を配っている。想定外に出費が増えたら、スーパーの買い物などもいつもより適当に負担すしたり、旅行の代金はできるだけ出すようにしている。

働ける間は、僕がお金を出しておきたいのだ。彼女にはできるだけ貯金を残してほしいという気持ちがあるし、万が一のときにそこから出してもらえれば安心だから。起業してから体調に波がある僕としては、「働ける間はできる限り出す」という考え方が定着している。

 もちろん、お茶子との暮らしは手間もかかる。柴犬は異様に毛が抜けるため、部屋の掃除は必須だ。そのためにダイソンの高機能掃除機を買ったけれど、どんなに毎日かけても毛がゴッソリ溜まるのが衝撃的で、3日もサボるとすぐ床が毛だらけになり、1回の掃除では回収できないほどの量になる。

それにお茶子は家でトイレをまったくしない。柴犬は綺麗好きだかららしい。特に冬は朝夕晩の3回、散歩という名の“トイレタイム”が欠かせない。寒さが厳しい日に外へ連れ出すのはけっこう骨が折れる。が、夜中にトイレに行きたくなるとピーピー鳴き続けるので渋々、夜の9時頃にお散歩に出かける。

 いつか僕がもっと働く気力や体力を取り戻したら、もう少し稼いで犬や妻に贅沢させたい気持ちもある。庭付きの家がいいと妻には言われ続けているので。でもいまは無理して働けば逆に稼ぎが減ってしまうので、50時間働く程度でちょうどいいと思っているし、僕としては、贅沢な暮らしはしなくても、妻とお茶子が楽しそうに過ごしていれば十分だ。


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