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なぜ僕は、モンベルに惹かれるのか。


──創業者・辰野勇が語り続けた、“軽さ”と“自由”の哲学。



一周まわって、「モンベルって、なんか、いいよね。」


キャンプ仲間との雑談で、よく出るこの言葉。
モンベルの歴史からすれば、勝手に一周したのは、ここ10年でアウトドアを始めた我々だが…笑

「コスパがいい」「軽くて丈夫」「売ってるギアのジャンルが広い」
──もちろん、それも事実だが。

けれど、それだけじゃない“何か”がある。

スノーピークのようなプレミアム感やブランド推しでもない。ノースフェイスのような都会的ファッション性でもない。
かゆい所に手が届く、ニッチで拘りの強い、尖ったガレージブランドとも違う。

どちらかといえば、地味で、飾らない。でも、しっくりくる。

モンベルには、「思想」がある。
そしてその思想は、僕たちの“遊び”“生き方”の奥に、じんわりと根を張ってくる。


「機能美」ではなく、「生き方の美学」


モンベルの創業者・辰野勇(たつの いさむ)氏は、プロの登山家だった。
アルプス三大北壁のひとつ、アイガー北壁に登頂した最年少記録保持者であり、
70年代のヒマラヤ登山でも世界の最前線にいたクライマーだ。

そんな彼が、1975年──28歳で立ち上げたのがモンベルだった。

当時の日本には、まだ本格的な登山ギアメーカーはなかった。
市場にあったのは、どこか“登山風”な道具。
命を預けるには、足りなかった。

だから彼は、自分でつくった。

軽く、速く、そして機能的。
それは、彼が山の中で学んだ“生き延びるための哲学”そのものだった。

ブランドスローガン
「Function is Beauty(機能美)」そして──
「Light & Fast」


それはただのデザイン思想ではなく、
「どう生きるか」を問い続けたクライマーの信念だった。

誰もやらないことを、誰より先にやる。

モンベルは“業界初”を連発してきた。

日本で初めて「化繊綿ホロフィル」を寝袋に使った
超軽量ダウンジャケットを自社開発。
誰も扱っていなかったポリエチレン製カヤックを輸入・普及。
トレッキングからフリーズドライ食品まで、自社でフルレンジ展開。
その背景には、辰野氏のこんな哲学がある。

「遊びの道具は、遊びの達人が作るべきだ。」

モンベルのカタログに書かれている製品説明は、まるで紀行文のようだ。
「どこで、どんな時に、どう役立つのか」──それが、情熱を持って語られている。

だから僕たちは、ギアだけじゃなく、
その“思想”ごと惹かれていくのだ。


上場しないという選択。

──それは、理念に人生を賭けるということ。

モンベルは、株式を上場していない。
創業以来ずっと、辰野氏が筆頭株主のまま、経営を続けている。

その理由は、至ってシンプル。

「利益を最優先する会社にはしたくない。
理念に反する圧力を、外部から受けたくない。」
創業時から、商品価格を可能な限り抑え、
ファンを囲い込むのではなく、自然と“仲間”になってもらうブランド運営をしてきた。

たとえば、モンベルクラブという会員制度。
今や100万人を超える規模
年会費制だが、その一部は災害支援や環境保全などに寄付されている。
発行される情報誌やイベントは「お得」よりも「共感」に重きを置いている。

利益よりも理念を貫くために、上場しない。

それは「経営判断」ではなく
──生き方の選択
だったのかもしれない。


モンベルがくれるのは、「道具」ではなく「地図」


僕がファミキャンを始めた頃、よく行った店舗がある。
モンベルのスタッフは、押し売りは一切しない。
代わりに、「どこ行くんですか?」「釣りもいいですよね」「サップならあそこの湖がいいんじゃないですか?」と“遊び仲間のような話し相手”になってくれた。

ある意味で、アウトドアの相談所のような空間だった。

そして、どのジャンルでも必要な道具が揃っていた。
キャンプ、登山、釣り、キャンプ、カヌー。

気づいたら、モンベルは、僕に「遊びの選択肢」を教えてくれていた。

モンベルの製品は、“最安”ではない。
でも、長く使えるものばかりだ。

すぐ飽きて、次々と買い換えるような流行品じゃない。
人生のステージが変わっても、そっと寄り添ってくれる“ギアたち”だ。

そして、気づくとそのギアたちが──
自分の「人生の(遊びの)地図」のように感じられることがある。

──だから僕たちは、モンベルに惹かれる

モンベルというブランドに、
僕たちは“感情”を預けているのでは…と思える。

それは、いつまでも尖ったブランドではないし、
華やかさや流行を追うわけでもない。

だけど、
本当に必要なときに、いつもそこにある。
誰よりも先に、“やってみよう”と言ってくれる。
そして、ギアではなく、“挑戦する勇気”を売っている。

それが、モンベル。

そしてその源には、辰野勇という、山に生き、理念に生きた男の火がある。

彼が人生を懸けて守ってきた“思想”は、
いまもギアの中に、スタッフの接客に、カタログの行間に、息づいている。

僕らはきっと、道具に惹かれてるんじゃない。
その向こうにある、“生き方”に惹かれてるんだ。



辰野勇氏から学んだ「遊び続ける勇気」


僕は辰野氏の著書を三冊読んでいる。


☑︎自然に生きる力
登山・カヤック・キャンプ…自然への敬意と対話がテーマ。
「熾火期間」で自然に癒され、新しい遊びを探し続けた僕の実感そのものだった。


☑︎モンベル 7つの決断
起業から現在まで、辰野氏が下してきた経営判断の記録。
非上場、Light & Fast、遊び手目線での商品開発…。
僕のnoteのテーマ「遊びの幅を広げる=人生の余白」とも見事に重なった。

☑︎軌跡(モンベル・ブックス)
幼少期から登山家、企業家として歩んできた辰野氏の人生記録。
そこには「遊びを仕事に変えた男」の行動力と生き様が描かれていた。
まさに “遊び続ける勇気” の教科書だ。

この3冊で僕は
「遊びの薪を絶やさないこと」の大切さを改めて確信した。


最後に

辰野勇氏は今もモンベル会長として現役だ。
2025年、モンベルは創業50周年を迎える。
僕より5歳年上の先輩の背中をこれからも追い続けたい。

足を知り、
不要なものを持たず、
軽やかに動き続け、
理念にブレず、
そして何より遊びを広げ、
楽しみ続ける。


それこそがモンベルから学んだ生き方だ。

僕もまた、自分の“熾火”を守りながら
いつでも薪を焚べ、燃やせるように
チャレンジし続けたい。




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