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<ラグビー>2026年シーズン(6月第四週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 フランソワ・ラブレー『パンタグリュエル第四の書』第28章P.156-157にある、「大いなるパーンの死」についての挿話。なお、パーンをイエスと同一視する見方もあった由。

 修辞学者アエミリヤヌスの父エピテルセスは、様々な商品と何人もの旅客とを積んだ船に乗って、ギリシアからイタリアへ航海していたところが、夕方になり、モレヤ(ペロポネソス)半島とテュニスとの間に介在するエキナデス群島近くで風が落ちたので、船はパクソス島(イオニア列島の最小の島)近くへ運ばれてしまった。船が岸辺に着けられると、船客のなかには眠っているものもあり、眼を覚まして居るものもあり、また酒を飲んだり夕食を食ったりしているものもあったが、このパクソス島から、「タムゥースよ」と声高らかに呼ばわる何者かの声が聞こえたのだ。

 このタムゥースというのは、エジプト生まれの船長の名であり、何人かの船客は別として、その名は皆に知られていなかった。再び、例の声が聞こえたが、恐ろしい叫び声で、「タムゥースよ」と呼んでいいた。誰一人として答える者はなく、それどころか、一同は、黙りこくって、がたがた顫えていた。三回目に、かの声は、今までよりもはるかに物恐ろしく響き渡った。そこで、タムゥースは、こう答えたのだな。「わしは、ここにいるぞ!何の用だ?どうしろというのだ?」と。その声は、更に高々と鳴り響き、パロダの港に着いたら、「大神パーンは身まかりぬ」と触れまわり伝えてくれ、と言い且つ頼んだのじゃな。


1.スーパーラグビーパシフィック決勝結果

ハリケーンズ60-5チーフス(HT29-0)

 ハリケーンズのメンバーは以下の通り(1番から23番の順に記載)。
 ザビエール・ヌミア、アサフォ・アウムア、パウリシオ・トシ、イサイア・ウォーカーリーウェア、ワーナー・ディアンズ、デヴァン・フランダース、デュプレッシー・キリフィ(共同キャプテン)、ピーター・ラカイ、キャメロン・ロイガードルーベン・ラヴフェヒ・フィネアンガノフォジョルディ・バレット(共同キャプテン)、ビリー・プロクター、ジョシュ・ムービイ、カラム・ハーキン、(以下リザーブ)ジェイコブ・デヴァリイ、シアレ・ラウアキ、タイレル・ローマックス、ブラッド・シールズ、ブライデン・イオセ、エレアタラ・エナリ、ジョナ・ロヴァ、キニ・ナホロ。

 チーフスのメンバーは以下の通り(1番から23番の順に記載)。
 オリイ・ノリス、サミソニ・タウケイアホ、シオネ・アヒオ、ジョシュ・ロードツポウ・ヴァアイ、サミペニ・フィナウ、ルーク・ジェイコブソン(キャプテン)、サイモン・パーカー、コルティス・ラティマー、ダミアン・マッケンジー、カイレン・タウモエフォラウ、クイン・ツパエア、カイル・ブラウン、レロイ・カーター、リアム・クームベスファブリング、(以下リザーブ)ブロディー・マカリスター、ジャレッド・プロフィット、ジョージ・ダイヤー、セウセウナイトア・アークオイ、カイラム・ボシアー、ザビエール・ロウ、ジョシュ・ジェイコム、レオン・ポール。

 両チームとも、今シーズンのオールブラックスに選出され、またオールブラックスを支える選手たちがひしめきあう、レギュラーシーズンの1位と2位による決勝に相応しいチームの対戦となった。また、日本代表キャプテンのワーナー・ディアンズがここにいることは、日本ラグビー界が大いに誇りにして良いと思う。国籍こそNZだが、ディアンズを世界有数のLOに育て挙げたのは、流通経済大柏高校と東芝ブレイブルーパスなのだから。

 試合は、キックオフ早々の6分にハリケーンズが先制トライを挙げると、13分、23分(11番WTBフェヒ・フィネアンガノフォが、スーパーラグビー最多となる17個目のトライ)、37分と4連続トライを挙げ、さらに41分にSOルーベン・ラヴが50mのPGを決めて、29-0と大きくリードして前半を終える。

 後半に入り、43分に14番WTBジョシュ・ムービイが2つ目のトライを挙げ、さらに47分、53分と3連続トライを取った後、66分にはラヴが自身2つ目となる4連続(前半から数えれば、8連続)トライを挙げて、53-0と大きくリードし、この時点で勝負を決めた。その後チーフスが74分にトライを返したが、77分にハリケーンズが9つ目のトライを挙げて、スーパーラグビー史上最多得点及び最多得点差となった決勝の圧勝劇を締めくくった。今シーズンのハリケーンズの、アタックの破壊力の凄まじさを見せつけた上に、決勝トーナメントで圧勝劇を続けたことは、ハリケーンズのチームとしての完成度の高さを証明した結果となった。

 ハリケーンズでは、23人のメンバーがそれぞれ素晴らしいプレーを発揮したが、特に活躍したのは、1番PRザビエール・ヌミア、HOアサフォ・アウムア、4番LOイサイア・ウォーカーリーウェア、5番LOワーナー・ディアンズ、6番FLデヴァン・フランダース、NO.8ピーター・ラカイ、SHキャメロン・ロイガード、SOルーベン・ラヴ(スーパーラグビー史上、決勝の個人最多得点となる25点を記録)、11番WTBフェヒ・フィネアンガノフォ、12番CTBジョルディ・バレット、14番WTBジョシュ・ムービイ、FBカラム・ハーキン、18番PRタイレル・ローマックス、22番WTBジョナ・ロヴァだった。チーフスでは、HOサミソニ・タウケイアホ、19番LOセウセウ・ナイトアークオイの二人が奮闘していた。

 この活躍ぶりから見れば、今シーズンのオールブラックスには、ハリケーンズから多くのメンバーが選ばれて当然と思われる。また、SHキャメロン・ロイガードとSOルーベン・ラヴの二人は、ここ数年低迷しているオールブラックスにとって救世主的なスーパースターになる大きな可能性を持っている。またFWでは、HOアサフォ・アウムアとFLピーター・ラカイの活躍が楽しみであり、さらに12番CTBジョルディ・バレットのリーダーシップを含めた成熟したプレー振りとWTBジョシュ・ムービイの決定力は、オールブラックスの大きな戦力になるだろう。

 なお、決勝の対戦がハリケーンズとチーフスになったことは、NZのラグビーが大きく変動している感じがする。これまでは、経済的な規模から北島のオークランドをベースとするブルーズと、南島のカンタベリー州クライストチャーチをベースとするクルセイダーズが、お互いに覇を競ってきたが、今回は経済規模では両者に劣るワイカト州ハミルトンのチーフスと首都ウェリントンのハリケーンズが、それぞれ周辺地域の優秀な選手を育て挙げて決勝で対戦することになった。かつてNZでは、オークランド州とカンタベリー州以外の州から、優れたオールブラックスを選出した時代があり、その頃のオールブラックスは世界最強のチームとして長く君臨していた。今回のハリケーンズとチーフスの躍進は、かつての輝かしい栄光の時代と同じ構造となっており、オールブラックスの強さが復活する契機になる期待が増している。

 また、今シーズンのハリケーンズの快進撃を支えた、スコットランド人監督クレイグ・レイドローを、将来的にオールブラックスのコーチ陣に加えることが真剣に検討されることになるだろう。また、もしも監督に就任した場合は、NZ人以外のオールブラックス監督という歴史的なものになる。

2.主なニュース

(1)バーバリアンズ80-31南アフリカ(HT40-26)

 バーバリアンズ監督のスコット・ロバートソン(前オールブラックス監督)が選んだ23人は以下の通り(1番から23番の順に記載)。太字はNZ人選手。
 マイコ・フィハス、エリオット・ディー、ダーシー・ラエ、フランコ・モリナ、アレックス・ムーン、グイド・プッティ、ラクラン・ボシアー、ミラクル・ファイイラギ、TJ・ペレナラ(キャプテン)、トマス・アルボルノツ、デューハン・ファンデルメルヴァ、アレックス・ナンキヴェル、ヴィリミ・ヴァカタワ、アンドリュウ・ケラウェイ、ワーリック・ゲラント、(以下リザーブ)レオネル・オヴィエド、オリー・ケッブル、ペドロ・デルガド、アイザック・ロッダ、リアム・マクコンネル、サンティアゴ・アラタ、ハリー・プランマー、ツイドラキ・サムサムヴォドレ

 ラッシー・エラスムス監督の南アフリカの23人は以下の通り(1番から23番の順に記載)。先発SOのクアン・ホーンは、本来バックスリー専門の選手で、ライオンズでプレーし、代表1キャップを持っている24歳の若手である。また、代表キャップのない選手は、リレイ・ノートン(ジュニア・スプリングボクスのキャプテン)、カルル・サディー、JJ・クッツァー、ポール・デヴィリアース、フシ・マヨの5人である。リザーブは、いつものFW6人+BK2人としている。ホーンを先発にしたのは、ハンドレ・ポラードは、URC決勝のブルズでプレーするためであり、サッシャ・フェインベルグムゴメズルは怪我、マニー・リボックは日本のリーグワンでの試合数が多かったためとしている。

 オックス・ノッチェ、アンドレウーゴ・フェンター、カルル・サディー、リレイ・ノートン、フランコ・モスタート、シヤ・コリシ(キャプテン)、ピータースティフ・デュトイ、ジャスパー・ウィーゼ、グラント・ウィリアムス、クアン・ホーン、エドウィル・ファンデルメルヴァ、アンドレ・エスターハイゼン、ジェッシー・クリエル、チェスリン・コルベ、アフェレレ・ファッシ、(以下リザーブ)JJ・クッツァー、ヌツスコ・ムチュヌ、ザッカレイ・ポーテン、ベンジェイソン・ディクソン、ポール・デヴィリアース、エヴァン・ルース、ファフ・デクラーク、フシ・マヨ

 試合は、両チーム合わせて5枚のイエローカードが出る荒れた内容となったが、南アフリカが乱打戦を制して大勝した。11番WTBエドウィル・ヴァンデルメルヴァがハットトリック、14番WTBチェスリン・コルベが1トライ9コンバージョンと活躍した。他には、NO.8ジャスパー・ウィーゼ、7番FLピータースティス・デュトイ、6番FLシヤ・コリシ、4番LOリレイ・ノートン、21番FLエヴァン・ルースらが活躍した。

 精彩がなかったロバートソン監督のバーバリアンズでは、14番WTBアンドリュウ・ケラウェイが2トライを記録したのが目立っていた。キャプテンを担ったSHのTJペレナラは、イエローカードをもらった他に1トライを記録するなど、浮き沈みの激しい内容となった。また、13番CTBヴィリミ・ヴァカタワ、SOトマス・アルボルノズ、NO.8ミラクル・ファイランギ、4番LOフランコ・モスタートらが奮闘していた。

(2)南アフリカのスコッド

 南アフリカは、ネイションズチャンピオンシップに向けた、21人のキャップのない選手を含む51人という大きなスコッドを発表した。U20代表選手、ジュニア・スプリングボクスの選手、Aチームの選手を含む構成としており、準代表チームやクラブチームとの試合メンバーも想定したスコッドとなっている。選手の詳細はリンク先を参照願いたい。

 U20代表からは、ヤキーン・アーメッド(SO/CTB)、ダニー・クルーガー(PR)、ルーアン・ギリオミイ(ユーティリティーBK)、オリヴァー・リード(PR)、リアム・ファンアイク(HO)、ジュニア・スプリングボクスからは、リレイ・ノートン(LO/FL)、シフォセツ・ムネベレレ(HO)、マルクス・ムラー(CTB)、ゼケテロ・シヤラ(ユーティリティーBK)がいる。また他のキャップのない選手は、ポール・デヴィリアース(FL)、バソベロ・ヘレカニ(ユーティリティーFW)、ハンノ・ヤコブス(PR)、ユレンツォ・ユリアス(ユーティリティーBK)、イマド・カーン(SH)、JJ・クッツァー(HO)、シババルワ・マハシェ(FL)、ハアシム・ピード(SH)、ニコ・ステイン(SH)、エマヌエル・ツシツカ(FL)、ヤコ・ウィリアムス(ユーティリティーBK)となっている。

 エラスムス監督は、ブルズの12人の選手を加えるなどスコッドを更新し、また46人に縮小した。スコッドの内容はリンク先を参照願いたい。キャップのない選手は6人となり、リレイ・ノートン(LO/FL)、フシ・マヨ(SO/FB)、ポール・デヴィリアース(FL)、ルーベン・ファンヒールデン(LO)、カール・サディー(PR)、ヤコ・ウィリアムス(ユーティリティーBK)となった。また、ハースケル・ヤンチース(SH)、アンブローズ・パピアー(SH)がスコッドに復帰した。

(3)オーストラリアのスコッド

 オーストラリア・ワラビーズの新監督レス・キスは、ネイションズチャンピオンシップに向けた、海外でプレーする選手を含む37人のスコッドを発表した。デクラン・メレディス(SO/FB)、ラクラン・ショウ(LO)、マイルズ・アマトセロ(LO)の3人のキャップなしの選手が含まれている。なお、前監督のNZ人ジョー・シュミットは、顧問のような形でチームに引き続き関わっていく模様である。

 注目のSOは、ベン・ドナルドソン、カーター・ゴードンの経験値のある選手に加え、前述したキャップ無しのデクラン・メレディスが選ばれた。一方、NRLから移籍したWTBザク・ローマックスは、怪我などの事情により選外となった他、FWではHOフォラウ・ファインガア、LOウィル・スケルトン、FLランギ・グレーソン、BKではSHジェイク・ゴードン、SOトム・ライナーらが、同じく怪我などの事情により選外となっている。スーパーラグビーパシフィックの活躍を参考に選出したことがよくわかるスコッドである。

FW20人(名前の次の数字はキャップ数)
Allan Alaalatoa (88)、Miles Amatosero (0)、Angus Bell (50)、Charlie Cale (2)、Josh Canham (2)、Nick Champion De Crespigny (4)、Tom Hooper (22)、Fraser McReight (39)、Josh Nasser (11)、Zane Nonggorr (19)、Brandon Paenga-Amosa ( 25)、Billy Pollard (20)、Aidan Ross (3)、Lachlan Shaw (0)、James Slipper (151)、Carlo Tizzano (14)、Taniela Tupou (68)、Rob Valetini (62)、Jeremy Williams (25)、Harry Wilson (36)

BK17人
Jock Campbell (4)、Filipo Daugunu (20)、Ben Donaldson (19)、Josh Flook (6)、Carter Gordon (9)、Len Ikitau (50)、Max Jorgensen (20)、Ryan Lonergan (5)、Tate McDermott (50)、Declan Meredith (0)、Hunter Paisami (35)、Dylan Pietsch (9)、Harry Potter (11)、Joseph-Aukuso Suaalii (18)、Kalani Thomas (1)、Corey Toole (6)、Tom Wright (43)

(怪我などの)事情により選外となった選手
Ethan Dobbins、Folau Fainga’a、Langi Gleeson、Jake Gordon、Zac Lomax、Tom Lynagh、Kadin Pritchard、Henry Robertson、Tom Robertson、Blake Schoupp、Will Skelton

(4)フランスXV35-19イングランドA(HT14-12)

 フランス及びイングランドの準代表同士による対戦。フランスSOアントワーヌ・アストイが1トライ4コンバージョン、一方イングランドSOジョージ・フォードが2コンバージョンと、SOの差が結果に表れている。フランスSHノラン・ルガレ及びイングランドFBマーカス・スミスがそれぞれトライを記録し、代表入りをアピールした。

(5)岩渕健輔日本協会専務理事のアジア協会副会長職の辞任

 日本協会は、昨年アジア協会副会長職の職務停止処分を岩渕健輔日本協会専務理事が受け、ただちにワールドラグビー(WR)を通じて処分の撤回を行ったが、その後もアジア協会の対応が不十分として、同専務理事が副会長職を辞任することを発表した。副会長職の辞任とともに、日本協会のアジア協会への関与は弱まることになるが、日本協会は、アジアラグビーの国際化を推進し、その発展に努めていくと述べている。

 アジアラグビー協会は、アラブ諸国が新たなプロラグビー組織のR360を立ち上げ、またRWCの誘致に動くなど、近年活発な活動をしている。その背景には、カタールでのサッカーWC開催という実績があると思われるが、世界のラグビー界の実力からは、アラブ諸国チームはティア2クラス以下である(現時点では、欧米からの駐在員を中心に構成したアラブ首長国連邦の40位が最上位である)。

 そのため、世界ランクで最上位にある日本の役割は重要なものになるが、現状の日本協会がその責任を十分に果たす環境にないことは、極めて残念である。またこのことは、アジア協会だけでなく、WRとしても今後の課題になっていくことだろう。ラグビーの真のグローバル化への重要な鍵はアラブ諸国にあるようだ。

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きーやん(木下裕治) しがない年金生活の一方、健康状態の関係から身体を使う仕事は難しいため、趣味と実益を兼ねてnoteに様々な投稿をしています。皆さまからの私の投稿へのご支援をいただけることは、今後さらに多種多様な投稿を継続していくことにつながりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。