【NISAシリーズ 第4回】NISAで何を買えばええんか——おめえの一日、全部アメリカでできとる
「何を買うか」より「なぜ買うか」を先に決めろ。順番を間違えると全部間違える。
ワシはな、昔やらかしたことがある。
「……どんなやらかしですか。」
ある服のブランドの個別株を買ったんじゃ。
「……服のブランド?」
そのブランドの服をよう着とったけぇ、「絶対伸びる」と思うて——持ってる金の半分を突っ込んだ。
「……半分!!」
3ヶ月で株価が半値になった。
「……半値!!」
服を着とることと株価は関係なかった。
「……(しばらく無言)。」
「……シンプルに今その話、胃のあたりがずんと重くなった気がするんですけど。」
気のせいじゃ。
「……気のせいじゃないですよ!! 先輩、なんで半分もつぎ込んだんですか!!」
好きじゃったけぇじゃ。
「……好きだから半分!! クセがえぐいですよその判断基準!!」
今日の話はここから始まる。NISAで「何を買うか」——そこで同じ失敗をしてほしくない。じゃから話す。聞けや。
「……(深呼吸)……はい。」
おめえの一日、全部アメリカでできとる
今朝、おめえは何をしたか。
「え?さっきの服の話はもう終わりですか?」
終わった。今朝の話をするで。
「……わかりました。」
目が覚めた。スマホを見た。iPhoneじゃろ。
「……そうです。」
Apple——アメリカの会社じゃ。
朝ごはんを食べながら何か調べた。Googleで検索したじゃろ。
「……しました。」
Google(Alphabet)——アメリカの会社じゃ。
昨日Amazonで頼んだ荷物の配送状況を確認した。
「……確認しました。」
Amazon——アメリカの会社じゃ。
会社に着いてパソコンを開いた。WindowsかMacじゃろ。
「……Windowsです。」
Microsoft——アメリカの会社じゃ。
昼休みにYouTubeを見た。夜はNetflixを見た。
「……全部見ました。」
YouTube(Google)、Netflix——全部アメリカの会社じゃ。
「……あの、これって。」
そうじゃ。おめえの一日、全部アメリカが作っとる。
「……(しばらく無言)。」
「……なんか急に部屋の空気が変わった感じがするんですけど。」
気のせいじゃ。重い話ではない——これから得をする話じゃ。
「……(まだ少し動揺しながら)……はい。」
口座を開いたのに、画面の前で固まっとる
後輩から連絡が来た。
「楽天証券の口座、開けました。入金もしました。でも——何を買えばいいのかわからなくて、ずっと画面の前で固まっとります」
あー、これじゃ。
NISAで購入できる投資信託は1,000本以上ある。「自由に選べ」と言われたら、誰でも固まる。1,000本の中から最適な1本を選べ——これは選択じゃなくて拷問じゃ。
「……拷問って。」
そうじゃ。ほんなら今日、拷問を終わらせてやる。
迷ったら2択だけ見ればええ。1,000本を一瞬で2本に絞る。それだけじゃ。
「……え、2本でいいんですか。」
2本じゃ。残りの998本は今日から見なくていい。
「……998本、無視するんですか。」
無視じゃ。
「……(少し涙目)なんのために1,000本あるんですか。」
知らん。ワシに聞くな。
「……(諦め)はい。」
個別株の話——ワシの失敗エピソードに戻るで
2択に入る前に、一つだけ確認しておく。
「何ですか。」
「個別株はどうですか」——そう聞く人間がおる。
「……個別株って、特定の会社の株を1社だけ買うやつですよね。」
そうじゃ。NISAでは個別株(日本株)も買える。
「……それ、パイセンがさっきやって半値になったやつですよね。」
そうじゃ。
「……(なんか怖くなってきた)。」
個別株で失敗するパターンはシンプルじゃ。「知っとる会社」「好きなもの」——それだけで判断する。ワシは服のブランドをよう着とったから「絶対伸びる」と思った。でも、服を着とることと株価は別の話じゃ。
「……当たり前ですよ!!」
当たり前じゃ。でもやってしまう。
「どうして半分もつぎ込んだんですか、改めて。」
好きじゃったけぇじゃ。
「……それだけですか!!」
それだけじゃ。
「……(絶句)。」
個別株が悪いわけじゃない。でも一社に集中すると、その会社だけの問題で資産が大きく動く。ワシみたいに半値になることもある。初心者が最初に手を出すものじゃない。
「……「初心者は手を出すな」ってことですね。」
そうじゃ。じゃから2択の話をする。
インデックスファンドってなんじゃ——バカにでもわかる説明
「インデックスファンド」——今日買う商品の種類じゃ。
むずかしい説明はしない。一個だけ覚えろ。
S&P500ってのはな、アメリカの優秀な会社500社を一個の籠に全部入れたもんじゃ。Apple、Amazon、Microsoft、Google、Nvidia——そういう会社が全部入っとる。「どの会社が一番伸びるか」を予想せんでええ。籠ごと持てば、アメリカ経済が伸びれば増える仕組みじゃ。
「……籠ごと買うってことですか。」
そうじゃ。
「……服のブランドだけ一個買うんじゃなくて、ブランドが500社入った福袋を買う感じですか?」
うまいこと言うな。そうじゃ。ただし福袋の中身はわかっとる。全部優良企業じゃ。
「……それは普通の福袋より断然いい!!」
そうじゃ。
インデックスファンドは「人間の判断を排除できる」点が優れとる。ワシみたいに「好きじゃけぇ買う」をやらんでいい。自動で500社に分散してくれる。どこか一社が潰れても、残り499社が支える。
「……クセがえぐいほど合理的ですね。」
そうじゃ。
2択の正体——オルカンとS&P500
ワシがすすめる2択はこれじゃ。
① eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)通称:オルカン
全世界約3,000社以上の株式に投資できるファンドじゃ。日本を含む先進国・新興国を幅広くカバーしとる。「1本で世界全体に投資できる」——それがオルカンじゃ。
ただし「全世界」と言いながら、構成の約60%はアメリカ企業じゃ。
「……「全世界」って言いながら6割がアメリカなんですか。」
そうじゃ。
「……アメリカが強すぎる。」
そうじゃ。
「……つまりオルカンを買っても、冒頭のiPhoneとかGoogleが中心に入っとるってことですか。」
そうじゃ。オルカンを買うということは——おめえの日常を支えとるあの会社たちを、少しずつ所有するということじゃ。
「……(なんかじわじわきた)。」
続けるで。
信託報酬(手数料): 年0.05775%(業界最低水準)
投資対象: 全世界株式(約3,000社以上)
特徴: これ1本で世界全体に投資できる
② eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
こちらはアメリカの上位500社だけに投資するファンドじゃ。Apple・Microsoft・Amazon・Google・Nvidia——今の世界を動かしとる会社ばかりじゃ。
さっきの福袋の例えで言うと——オルカンは「世界中のブランドが入った福袋」で、S&P500は「アメリカの有名ブランドだけが入った福袋」じゃ。
「……アメリカだけに絞った分、リターンも大きいんですか?」
過去はそうじゃ。でも未来は誰にもわからん。
「……そうですよね。」
アメリカが失速したとき、S&P500は直撃する。オルカンなら他の国が補えることもある。
「……つまりオルカンは「アメリカが転けたときの保険」も入っとるってことですか。」
そうじゃ。
信託報酬(手数料): 年0.09372%
投資対象: 米国株式(S&P500指数)
特徴: 過去の長期リターンが非常に高い
| | オルカン | S&P500 |
|--|---------|--------|
| 分散度 | 全世界(高い) | 米国のみ(低い) |
| 過去リターン | 安定的 | 高め |
| リスク | 低め | 米国集中リスクあり |
| シンプルさ | これ1本でOK | これ1本でOK |
どっちを選べばいいか——正直に言う
「結局どっちがいいんですか。」
正直に言う。
どちらを選んでも、大差ない。
「……え。」
大差ない。どちらも長期で積み立て続ければ、十分な資産形成ができる。
「……じゃあなんで2択の話を……。」
知っといてほしいけぇじゃ。でも迷ったならオルカンじゃ。
理由はシンプルじゃ。「1本で世界全体に投資できる」というシンプルさが、20年続けるための精神的安定になる。S&P500はアメリカへの信頼が揺らいだとき、「やっぱりオルカンにすれば良かった」と後悔する人間がおる。オルカンは「どうせ60%はアメリカじゃ」と思えるけぇ、精神的に揺れにくい。
「……S&P500の方が過去の成績は良かったんですよね?」
そうじゃ。過去は良かった。でも未来は誰にもわからん。
「……(納得したくなさそうに)……わかりました。」
大事なのは「どっちを選ぶか」より「選んだら20年続けるか」じゃ。考えすぎてスタートが遅れるほどもったいないことはない。
信託報酬の話——手数料は小さいが大事じゃ
「信託報酬ってなんですか。」
ファンドを持っとるだけでかかる、年間の手数料じゃ。
「……どのくらいですか。」
オルカン:年0.05775%。S&P500:年0.09372%。
「……安いですね。」
安い。じゃからこそ選ぶ価値がある。
投資信託には「アクティブファンド」というものもある。プロが銘柄を選んで運用してくれる代わりに、手数料が年1〜2%かかるものが多い。
「……1〜2%って大きいですか。」
大きい。1,000万円を運用しとるとする。年1%の手数料なら毎年10万円が消える。0.05%なら5,000円じゃ。
「……10万円と5,000円、20倍近い差ですね。」
しかも長期で積み立てたら、この差が複利で拡大する。30年後、40年後に莫大な差になっとる。
「……プロに任せるより自動の方が安くて、成績も大差ないってことですか。」
そうじゃ。プロでも市場平均に長期的に勝ち続けるのは難しい——それが50年分のデータで証明されとる。だからインデックスが正解とされとる。
「……なんかプロが可哀想になってきました。」
可哀想になるな。実力があるプロは存在する。ただ「誰がそのプロか」を判断する能力が初心者にはないじゃろ。じゃからインデックスを選ぶ方が賢明じゃ。
「……「誰がプロかわからないからインデックス」ってことですか。」
そうじゃ。
毎月いくら積み立てるか——「続けられる金額」が最強じゃ
「何を買うか」が決まったら、次は「毎月いくら積み立てるか」じゃ。
「続けられる金額」を選べ。
無理をして毎月5万円を設定しても、生活が苦しくなって止めてしまったら意味がない。月1万円でも続けた人間が勝つ。投資は長距離走じゃ。最初から全力疾走したら途中で倒れる。
月30,000円を年利5%で積み立てた場合:
| 期間 | 元本(総積立額) | 運用後の資産 | 運用益 |
|------|----------------|------------|--------|
| 10年 | 360万円 | 約465万円 | 約105万円 |
| 20年 | 720万円 | 約1,232万円 | 約512万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 約2,496万円 | 約1,416万円 |
「……30年後、元本の1.3倍以上が「利益」なんですね。」
そうじゃ。これが複利じゃ。
40代から始めれば、65歳退職まで約20〜25年ある。それだけあれば複利は十分に効く。「40代から始めては遅い」は嘘じゃ。遅いのは「始めないこと」じゃ。
「……「遅いのは始めないこと」ってフレーズ、刺さりました。」
メモしておけ。
「……(メモした気配)。」
「……「続けること」が本当に最強なんですね。」
そうじゃ。止めた瞬間に、転がっとった雪玉が止まる。止めないこと——それだけが戦略じゃ。
積み立て設定の手順——15分で終わる
楽天証券の場合の手順じゃ(SBI証券もほぼ同じじゃ)。
Step 1: ログインして「つみたて投資枠」を選ぶ
Step 2: 買いたいファンドを検索
「オルカン」か「S&P500」と入力するだけで出てくる
Step 3: 毎月の積立額を入力
Step 4: 引き落とし方法を選ぶ
← 必ず「楽天カード」を選べ(ポイントが貯まる)
Step 5: 確認して設定完了
翌月から自動的に積み立てが始まるこれだけじゃ。後輩の感想は「思ってたよりシンプルで拍子抜けしましたよ」じゃった。
「……15分で終わるんですか、本当に。」
本当じゃ。難しいのは「決める」ことだけじゃ。「設定する」のは15分もあれば終わる。
「……「決める」が一番難しいって、投資以外にも当てはまりますね。」
そうじゃ。人生はだいたいそうじゃ。
「……急に深いですね。」
深くない。当たり前の話じゃ。
「……「当たり前」って言うパイセンが一番クセがえぐいですよ。」
クセじゃない。
「……(諦めてメモした)。」
楽天カードで積み立てるとポイントが勝手に貯まる
楽天証券での積み立てを楽天カードで引き落とす設定にすると、積み立て額の0.5〜1%が毎月楽天ポイントとして還元される。
月50,000円を積み立てたら、毎月250〜500ポイントが自動で貯まる。年間3,000〜6,000ポイントじゃ。
「……何もせずに毎年数千円ですか。」
そうじゃ。使わない理由がない。
「……設定するだけで毎年お金が増えるって、仕組みさえ知っとれば誰でもできますね。」
仕組みを知っとる人間と知らない人間の差が、10年20年で広がるんじゃ。
さらに、楽天銀行と楽天証券を「マネーブリッジ」で連携すると、楽天銀行の普通預金の金利も大幅に優遇される。第3回でポイントサイト経由で楽天銀行口座を開設しとる人は、この連携も忘れずにやっておけ。
「……ポイント・金利・積み立て、全部セットで動くんですね。」
楽天は「まとめて使うと得する」設計になっとる。その恩恵を全部受け取れ。
設定したら、次回まで忘れていい
積み立て設定が終わったら——基本的には何もしなくていい。
毎月の株価の上下を見て、「下がった、どうしよう」と思わなくていい。むしろ下がったときは「安く買えるチャンスじゃ」と思えばいい。
「……でも実際に下がったら怖くないですか。」
怖い。正直に言う——怖いで。
「……え、パイセンも怖いんですか。」
怖い。でも「怖い」と感じながらも売らんことが大事じゃ。感情で売った瞬間に負けが確定する。暴落が来ても動じない話は、次回するで。
「次は何ですか。」
「暴落が来ても、慌てんなよ」——これが第5回のテーマじゃ。NISAが下がったとき、何を考えるか。何をしてはいけないか。全部話すで。
「……楽しみなような、怖いような。」
両方じゃろ。それが正しい。
後輩は「設定完了!」とLINEを送ってきた。
「おめでとう。あとは忘れろ。」
「え、忘れていいんですか?」
ワシの返事はシンプルじゃった。
「忘れていい。ただ一つだけ、覚えておけ。」
「なんですか。」
「おめえの日常を、これからもそのまま続けろ。朝起きてiPhoneを見る。Googleで何かを調べる。Amazonで注文する。——その一個一個が、おめえの投資先を稼がせとる。おめえが普通に生きとるだけで、世界は動いとる。」
「……(しばらく沈黙)。」
「……つまり、「生きるだけで投資になっとる」ってことですか。」
うまいこと言うな。そうじゃ。
「……この例え、最初から3回出てきましたね。」
大事なことは3回言うんじゃ。
それに——ワシが昔、服のブランドに半分突っ込んで半値になったのは、「好きじゃから」という理由だけで一社に賭けたけぇじゃ。今のおめえはちがう。世界3,000社に、毎月少しずつ、自動で分散して買い続ける。感情じゃない。仕組みじゃ。
「……「仕組みに任せる」が個別株との一番の違いですね。」
うまいこと言うな。そうじゃ。
「……服のブランド、今でも着とるんですよね。」
着とる。服は悪くない。
「……(どこか笑えてきた)。」
積み立て設定が終わった瞬間から、おめえは長期投資家じゃ。一番大切な仕事はもう終わっとる。焦る必要も、タイミングを計る必要もない。毎月決まった日に、決まった金額が自動で買い付けられる。おめえはただ、いつも通り生きとればええ。
「……なんかそう言われると、少し肩の荷が降りた気がします。」
じゃろ。それでいい。次も読めや。以上じゃ。
このシリーズの他の記事
第1回:NISAって何?——まず「口座を開く」だけでええ
第2回:口座の選び方——楽天かSBIか、どっちがええか
第3回:入金の仕方——ポイントサイトと銀行口座の話
第4回:何を買えばええか——今ここ
第5回:暴落が来ても、慌てんなよ
📚 本は「読む前に買う」もんじゃ
紹介した本が全部要るわけじゃない。1冊だけ選んで、今日カートに入れえ。
「明日でええか」と思うた本を、人は一生買わん。ワシがそうじゃった。
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