光る植物に照らされる町
「大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」ってわかりにくいな、いったい何なのか意味不明」
といったことをXのポストや電車の中でおしゃべりに興じているおばちゃんたちが言っているのを見聞きしたことが何度かあった。しかし、蓋をあけてみれば、なんだかんだと盛り上がり、Xでは海外パビリオンのグルメが珍しくておいしいだの、現地だけでしか食べられないモノがここで食べられるだので盛り上がっている。パビリオンの展示にいたっても、海外もののポストが多く見受けられ、異世界だの、映像が美しいだのとこれまた盛り上がっている。
そういったリアルIt’s a small worldを楽しむのももちろんいい。筆者とてキャアキャアいいながらチェコやベルギービールを飲み歩いたりしている。
しかし、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」はどこへいった?と昨日書いた「謎の球体」をみてふと思ったのだ。
自分を含む地球上、いや宇宙に存在するかもしれない生命をはぐくむための未来へのありかたを自分なりに考え、実践していく。これが万博にいって何かを気づくきっかけになれば、入場者数よりも開催した価値があるんじゃないかと思う。まあ赤字になったらそれはそれで大惨事にはなるのだが。
海外パビリオンは1日で世界一周旅行している気分になるから楽しいし、面白いし、おいしいし、もちろん行く価値がある。しかし、1つくらいは「未来社会の実験場」を見て、触れて、感じて、万博を楽しんだあと、「これくらいなら自分にもできるかも?」と何かの気づきが得られればもっと万博にいった価値が出るのではないだろうか。
たとえば、大阪ヘルスケアパビリオン。カラダ測定ポッドなるものに入り、センサーや写真、いくつかの質問に答えると、たった6分で7つの項目の健康状態がわかり、そのデータをもとに25年後の自分のアバターに出会えるというのが人気になっている。それも楽しい。ちなみに筆者の25年後は、ほおがこけた真っ白頭のおばちゃんで、25年後、生活苦になるんだろうかと心配になるほどだった。写真とセンサーでミライの自分が貧乏になることが予想されるなんてとがっくりした(←勝手な妄想)。
そこよりも見てもらいたいのが、予約なしでも入れる1Fの「リボーンチャレンジ」ゾーン。
万博に向けて新技術開発などに取り組む、400を超える中小企業・スタートアップの技術力や魅力を、毎週異なる26のテーマで展示や体験を通じて、国内外へ広く発信します。
話題のミライ自動洗濯機があるエリアだ。
毎週展示内容が異なるため、いついっても新しい新技術やチャレンジに出会えるのが魅力。
現在、温暖化、いや地球沸騰化が叫ばれる中、二酸化炭素などの温室効果ガスの「排出量」 から植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を推進しようと各国で取組が始まっている。常日頃、一個人で何ができるかとよく考えているのもカーボンニュートラルだ。続けなければ意味がなく、自分が興味のあること、やっていて楽しいことなら継続できるが、なかなかそういったものが見当たらず、結果、いつもの生活に戻ってしまう。
そんな中、出会ってしまったのが「光る植物」だ。
電気を使って光らせるものはあるが、電気を使わずに自ら光る植物だ。光る植物といって思い出すのがキノコ。夜の密林に怪しく発光するキノコをテレビや映像でみたことはないだろうか。
光る植物はこの発光するキノコから見つかった特別な遺伝子を植物に埋め込むことで生まれたのだそう。
リボーンチャレンジ内にある黒いボックスの中は、お寺や高級料亭にありそうなしつらえのディスプレイ。(4月中のみ展示)

扉を閉めて、照明を消した途端、ほのかに光る盆栽が目の前に。

これがいわゆる光る盆栽。スマホでかろうじて撮影できるほのかな光ではあるものの、いずれ自分たちで光る植物を育てて、部屋の明かりとして使える日がくるかもしれない。街灯のかわりに光る植物を植えることで、電力の消費を抑えられるかもしれない。農地の周りに植えることで、害獣被害対策になるかもしれない。田舎道の両側に植えることで、道しるべとして使えるかもしれない。何かの危険から身を守れるかもしれない。
ほのかな光を眺めただけで、なんだかワクワクした。そして、植物を育てるのであれば自分にもできるかもしれないと、カーボンニュートラルの言葉だけ独り歩きし、どこか他人事のように思っていたが自分ができると思うと、俄然やる気になった。
照明に使えるにはまだまだ光が足りないという。しかし、電力が不要な自ら発光する植物には、無限の可能性がある。今は、かもしれないとしか言えないが、30年後には、街灯が光る植物に照らされる町を見てみたい。
大阪・関西万博では、多様な個人や企業が協力し、新しい価値を生み出す「共創チャレンジ」が進行中。今回取り上げた光る植物と共創できそうなチャレンジはこちら↓
PLUS ∞GREEN PROJECT(プラスグリーンプロジェクト)
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