首が痛くても見上げたい。ムカルナス沼に落ちた日
ブハラで、思わず見ほれてしまった建築物がある。
ウルグベグ・メドレセとアブドゥルアジス・ハン・メドレセだ。
見ほれたけれども、名前が覚えられなくてググってこれを書いている。
もう名前が呪文のよう。
どちらもカラーン・ミナレットとモスクのすぐ近くにあり、観光ルートとしてはセット扱いになっている。
まず、1418年建造のウルグベク・メドレセ。

ウルグベグ・メドレセは1418年に建造された中央アジア最古のメドレセなのだが、そうとは思えない青々しさ。これまた2月とは思えない抜けるような青空に映えていた。
ただ、正直に言うと、こちらは「きれいだな〜」くらいだった。
装飾も比較的シンプルだし、中に入るとお土産屋さんが並んでいて、「なるほど観光地だな」という感じ。
しかし、その向かいにあるアブドゥルアジズ・ハン・メドレセは別だった。こちらに完全に心を持っていかれた。超豪華絢爛というタイプではない。

しかし、イスラム建築でよく見かける「ムカルナス」が圧巻だったのだ。
ムカルナス。名前だけ聞くと、なんだかラスボスっぽいが、もちろん違う。無数の小さなくぼみやアーチを積み重ねて作る、蜂の巣のような装飾構造のことで、ドームや天井によく使われる。
これがもう、見始めると止まらないのだ。
同じくブハラにあるボロハウズ・モスクの天井にも美しいムカルナスがあり、首の痛みに耐えながら延々見上げていた。
完全に不審な観光客である。
そして、アブドゥルアジズ・ハン・メドレセでも同じことをしていた。
首を45度に固定し、
「ほぉ〜〜」
と見上げ続ける。するとだんだん、自分がどこにいるのかわからなくなってくる。蜂の巣にも見えるし、鍾乳洞にも見えるし、宇宙船の内部にも見える。
いや、むしろ、エジプトのファラオの王妃がつけていそうな、じゃらじゃらの首飾りにも見えてくる。あの、肩まで覆うタイプのやつ。きっと古代エジプト好きな人ならわかってくれるはずだ。
ただ、どうやらここは絶好のフォトスポットらしい。
私がぼーっと見上げ続けていると、
「ちょっとどいてくれません?」
という無言の圧が背後から飛んでくる。
というわけで、しぶしぶ端へ移動。遠くから再びムカルナスを見上げる。
やっぱり不思議だ。
イスラム建築を見ていると、「装飾」というより、「祈りを形にするとこうなるのかもしれない」と思う瞬間がある。
などと深いことを考えていたのだが、数分後には首が限界を迎えた。
美しいものを見るにも、体力と柔軟性が必要と知ったブハラのムカルナス。
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