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水彩画が好きだから、絵具と自然のことを考えた― 顔料と環境のはなし #1(まず知っておきたいこと)

Domestika というオンラインコースのプラットフォームで『植物スケッチ(瞑想的アプローチ)』という水彩画クラスを見かけて興味を持ち、すごく気軽に水彩画を始めてから、もうすぐ3年。
始めたばかりの頃と同じくらい、今も楽しくて仕方のない世界✨。でも当初はまったく知らなかった画材の世界に足を踏み入れてから、今日までに学んだことはたくさん。

その中で、あまりネット上で情報を目にしないことーでも、わたし自身がとても知りたかった-エコフレンドリーに、サスティナビリティもちゃんと気にしつつ、水彩画を心置きなく楽しむための情報をシェアしたいと思います✨

そもそも、趣味で水彩画を描く程度であっても、環境に悪いことをする、その手助けをしてしまう可能性があるなんて、無知なわたしは全然気づいておらず、知ったときには愕然。
だから、どこかで誰かの役に立つ情報になることを期待しつつ、数回に分けて「顔料と環境のはなし」を書きたいと思います。


この顔料のことは知っておきたい

水彩絵具は、多くの人が小学生の頃使ったことがあったり、片付けも水で洗えて簡単だし、油絵なんかと比べると、本当に気軽に、ど素人だったわたしでもある日突然始められることが長所☝️✨

だけど水彩画をするなら、海や川を汚さないように、地球の生態系を大切にするためには、ちょっと知っておくべきことがあるのも事実。それはー

気軽に下水道へ流したくない絵具(顔料)がある

絵具は、顔料とそれを固める糊(のり)で出きていて、水彩絵具の場合のそれは、アラビアゴム。天然樹脂で生分解性があり、環境への負荷はとても低いとされています。よって、わたしたちが気にすべきは、色彩のもとである、顔料(ピグメント)。

5mlチューブだと、とても小さな文字になるけど、必ず顔料の表記がチューブのどこかにあります。

絵具に含まれる顔料には C.I.(カラーインデックス)Nameと呼ばれる分類コードがあり、絵具のチューブにとても小さな文字で Pigment: PB60 とか PR233といったようなコードで表記されています。その記号をもとに、色材が何かを調べることができる、という仕組み。

以下、顔料をたっぷり含んだ(筆を洗った)水をそのまま下水道へ流してしまうと、知らずに環境破壊へ貢献⚡️してしまいかねない顔料を、気をつけたい順に紹介します。

☝️:これから紹介する顔料は、それを含む絵具は使ってはいけない⚡️ということではなく、少し気をつける選択肢があります、という話です。すべて覚える必要もなく、名前を見たときに「あ、これは気をつける色」と思い出してもらえたら✨

※この記事はシリーズの1本目です。理由や背景については、次の記事『なぜ絵具に気をつけたいのか― 顔料(カドミウム・コバルト・フタロシアニンなど)と環境のはなし #2』で書いています。

1位 カドミウム系 (流すべきではない)

カドミウムフリーと謳われている絵具があるくらい、気にすべき顔料ダントツ1位はカドミウム系のもの。

  • PR108(カドミウムレッド)

  • PO20(カドミウムオレンジ)

  • PY35/PY37(カドミウムイエロー)
    など

カドミウムが含まれる絵具には、カドミウムレッドやカドミウムイエローと、絵具の名前にそのまま入っていることが多いのでわかりやすいですよね。でも、必ず名前の冠になっている訳ではないので、そこは要注意⚠️

カドミウム系顔料が使われている例。チューブのラベルに、分かりやすい❎のサイン。

例えば、ホルベインバーミリオンの使用顔料を見ると、PO20(カドミウムオレンジ)とPR108(カドミウムレッド)が、ジョーンブリヤンNo.2にはPO20とPY35(カドミウムイエロー)が使われていることがわかります。

カドミウムは誤って摂取すると健康被害が懸念される有害物質のため、絵具チューブに毒性注意記号が(ほぼ)表記されているから、少しでも気にすればすぐに目につき、分かりやすいです!

2位 コバルト系 (できる限り流すべきではない)

カドミウムと並んで重金属系の顔料で、本当は同着一位くらいのコバルト系。
コバルトやターコイズブルーはすごく好きな色で、注意すべき顔料だと知った時はショックでしたが、決して使ってはいけない訳ではなく、気をつければいい、のだと思い直し。

  • PB28(コバルトブルー)

  • PB35(セルリアンブルー)

  • PB36(コバルトターコイズ・コバルトクロマイト)

  • PG19(コバルトグリーンペール)

  • PG26(コバルトクロマイトグリーン)

  • PG50(コバルトグリーン)

  • PV14(コバルトバイオレット)
    など

コバルトの場合は、例えば、コバルトブルーヒューと「ヒュー」を付けた名前で、コバルト顔料を使わずに、それでも限りなく色をコバルトブルーに似せた絵具があったりします。

例えば、ホルベインコバルトブルーヒューの使用顔料は、PB29(ウルトラマリンブルー)とPB15(フタロブルー)で、環境への影響度はグンと下がります⤵︎。
同様に、シュミンケセルリアンブルーヒュー(PW4、PB15:3)やヘリオセルリアン(PB15:3)も、コバルト未使用のセルリアンブルーです。

残念ながら、今のところ、絵具チューブのラベルに表示される基準はあくまでも「健康被害・障害」のみの場合が多い為、コバルト系の絵具チューブには毒性注意記号が表示されていない場合も多々あります⚠️

でもカドミウム系とコバルト系を、10段階でわかりやすくざっくり相対評価するとー
(画材としての通常使用の場合)人体安全の視点で見ると、
カドミウム:10 vs コバルト:5 
くらいな感じに対して、環境影響の視点で見ると、
カドミウム:10 vs コバルト:9.5
程度の違いで、カドミウムと同じ位に扱いを気をつけたい顔料です。

「コバルト」が名前に含まれていないけれど、コバルト系顔料を含む代表的な色名は、セルリアンブルー、ターコイズブルー、バヂターブルー/ヴァーディターブルー(Verditer Blue)など。

絵具メーカーのカラーチャートやピグメント表、絵具一覧などにも使用されている顔料がすべて書かれています。わたしは世界堂(新宿)にあったものをいただいてきました。

3位 クロム系、フタロシアニンなど金属を含む合成顔料 (流さないように扱う価値あり)

1位と2位の差はわずかだったのに対し、2位と3位は結構離れています。
またその認知度も、それに呼応している印象があります。
それだけに環境への影響を考えた時、気にする価値ありレベルの3位グループの顔料たち、特にフタロシアニン系は使用されている絵具数も多いので、知ってもらえたらと思います。

  • PG7 / PG36(フタログリーン)

  • PG17(酸化クロムグリーン)

  • PG18(ビリジアン/ビリジャン、水和酸化クロム)

  • PB15 / PB16(PB15:1, 15:3, 15:4含め、フタロブルー全般)

  • PB74(コバルト亜鉛系)

  • PBr24(クロムアンチモンチタン酸塩)

ちょっとややこしいのですが、コバルトを名前に含むPB74という顔料を使った絵具もあります。ただPB74は、2位に挙げたコバルト系顔料とは性質が異なり、扱うレベルとしては3位グループなのでこちらに記載しました。
例えば、マイメリブルーシュミンケコバルトブルーディープがPB74の単一顔料色です。

フタロが名前に含まれなくても、フタロシアニン系顔料を含む絵具は相当数あります。クロム系のものも、名前にクロミウムが付いているものもあるけど、やはりないものも。

メーカーごとに違いはあれど、青・緑系の絵具の顔料を眺めると、既に2位で登場したコバルト系と3位グループ顔料が8〜9割程度を占めていて、むしろ影響の低いもの(ウルトラマリン、プルシャン、インダンスレンブルーなど)の方が少ないくらい。

・・だから実はしつこい位に、気にする必要は本当にあるのかどうか調べたのですが、十分回収に気を遣う価値あり、という結論になりました。


続きはこちら⤵︎


この記事の前提

末尾ながら、一応この記事の前提です。

絵具に含まれ得る毒性の「人体への影響」ではなく、「環境への配慮(水環境や土壌蓄積リスク)」という視点から書いています。
バインダー(糊)がアラビアゴムの透明水彩および不透明水彩(ガッシュ)の絵具を(工場などでの大量使用ではなく)家庭で普通に使う場合を想定しています。
※よって油絵具・溶剤系などは対象外です。

「筆を洗った水を洗面所で普通に流していいものだろうか?!」という疑問を持った同志に、特別に回収したい顔料は存在する、ということを伝えるためにー

おわりに

家から化学薬品をなるべく排除し、食べものや衣類にはオーガニック製品を、物を買う時にはサスティナブルかどうか考えるーそんなことを意識する生活を、数十年続けてきました。それでも水彩絵具も日常品と同様に、その意識が必要だったことに驚きました。
例外はないことに気づき、あらためて自分を「まだ、あまい」とも・・。
でも絵を描き始めてから、自然を大切にしたい気持ちは更に強まるばかり。
気になることには目を瞑らずに生きたいーそんな気持ちでこの話を書きました。

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