イレクショナル占星術の歴史:古代から現代まで
時を選ぶ叡智──文明とともに歩んだ占星術
「なぜ“良い日”を選ぶことが、昔から大切にされてきたのか?」
イレクショナル占星術は、
その答えを歴史の中に持っています。
今回は、古代バビロニアから現代の日本まで、
“吉日を選ぶ知恵”がどのように伝えられてきたのかをご紹介します。
1. 占星術の始まりと“始まり”への意識
イレクショナル占星術の源流は、
古代メソポタミアの時代にさかのぼります。
紀元前16世紀のバビロニアでは、
王の即位や戦争の開始など、国の命運を左右するイベントに対して、
天体の動きから「吉日」を読み取る試みがすでに行われていました。
これは、ただの迷信ではなく、
「宇宙のリズムに合わせて動く」という智慧でした。
2. ギリシャ・ローマ・インドでの発展
ギリシャ・ローマ時代には「カタルケー占星術」と呼ばれ、
病気の治療や政治の決断に最適な時を選ぶ手法として発展。
一方、インドでは「ムフルタ(Muhurta)」と呼ばれる選時術が生まれ、
祭式や旅立ち、結婚の日取りなどが詳細に定められました。
現代でも、インド映画の撮影開始には「ムフラート撮影」という儀式が行われるほど、
その伝統は深く根付いています。
3. イスラム世界での精緻化とヨーロッパへの継承
中世イスラム世界では、
占星術の黄金期とも呼ばれる精緻な技術革新が進みました。
マシャアッラーやサール(ザール)といった名占星術師たちは、
ギリシャの知識を土台に、医療や戦略に活かす選時術を発展。
その著作はラテン語にも翻訳され、
ヨーロッパのルネサンス期へと受け継がれていきます。
4. 国家行事を導いた「吉日」──エリザベス1世の例
16世紀のイングランドでは、
女王エリザベス1世の戴冠式の日取りが、
占星術師ジョン・ディーによって慎重に選定されました。
太陽と月が女王の出生図上の金星と木星にトライン(120度)を形成し、
治世の成功と個人の幸福を祈願したチャートが描かれたのです。
これは、「吉日が国の未来を左右する」と信じられていた証でもあります。
5. 科学革命による衰退と、現代の再評価
17〜18世紀になると、科学革命の進展により、
占星術は一時的に学問の主流から外れていきます。
しかし、20世紀後半に「伝統占星術」の見直しが始まり、
イレクショナル占星術も再び注目されるようになります。
ウィリアム・リリーやドロテウスの古典が再評価され、
現代の生活にも応用可能なガイドブックやセミナーが登場。
近年では、会社設立やWeb開設、結婚式など、
“人生の節目”に向けた選時術として広く活用されています。
まとめ
イレクショナル占星術は、
ただの「ラッキー日選び」ではありません。
それは、人類が何千年にもわたって磨き上げてきた、
“時を選び、運命に寄り添うための叡智”なのです。
次回は、いよいよ実践編。
吉日を選ぶためにチェックすべきポイントや、
イベントチャートの基本を解説していきます!
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