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【とんま村の物語】第11話: 100兆チャ~リンの落とし物。~バクのあくびと、ゼロの威張り顔~

🍃登場どうぶつ紹介とあらすじ

🍃前話:「 増えるマジック、無限のツケ。 ~アルパカの増殖祭りと、焼け石に水~

🌻解説:第11話「なぜ、日本は破綻しないまま、暮らしを削っているのか―自国通貨建て債務とインフレ税が映す、通貨価値低下の正体


🐝前話+第11話サマリー

とんま村では、アリクイ総裁が「村があとで返します約束(国債)」を受け取ってチャ~リンを出し、さらにアルパカが「まだ貸せる」と善意で貸しまくった結果、すごい単位のチャ~リンが村じゅうで爆発的に膨らみました。
物の値段は跳ね上がり、どうぶつたちは重たいチャ~リンを抱えて走り回る一方で、暮らしはちっとも楽になりません。
そんな“ゼロの洪水(インフレ)”のただ中に現れたのが、落とし物係のバク。
バクは、どうぶつたちが恐れていた「100兆チャ~リン」の正体をあっさり見破ります。
けれどバクは、村の苦しさの本当の原因はそこではない、とだけ静かに言います。
問題はもっと前からあったらしい。
そうしてとんま村には、これから向き合うべき、もうひとつの“落とし物”を考えていくのでした。


①天の声(ナレーション:女神風)

「……数字が増えすぎると、豊かになるどころか、買い物は筋トレになります。
ゼロが増えすぎると、便利になるどころか、世界は読みにくくなります。
……これは、そんな“数字が元気すぎる村”に、ひときわ寝ぐせのひどい一匹が、ふらりと現れるお話です」


②村の光景:買い物という名の重労働

朝の広場は、もう朝からぐったりしていました。

ウサギの八百屋の前には、チャ~リンを積んだリヤカーの列。
シマウマは汗だくで荷車を引き、
ライオンは値札を何枚も抱え、目をぐるぐるさせています。

ウサギ
「はい、いちご一個、いまは4億8000万チャ~リンです!」

シマウマ
「“いまは”って何ですか!
さっき来たとき3億だったじゃないですか!」

アルパカ
「ひ、ひえぇぇぇ……!
ゼロが、ゼロが増えてしまいましたぁぁ!
も、もうどこまで書けばいいのかわかりませんんん!」

ライオン
「昨日はこの袋で家が買えるって言われたのに、今日はパン半分だよ……!」

イグアナ
「……本日のとんま村、もはや買い物ではなく“数字のお引っ越し”でございます」

そのときでした。
広場じゅうがゼロの悲鳴でいっぱいだったのに、
その一匹が入ってきたあたりだけ、なぜか音が少し薄くなったように見えました。


③初登場:落とし物係のバク

ぼさぼさの寝ぐせ。
半分眠っているような目。
肩には、使いこんだ古いカバン。
札には、かすれた字でこう書いてあります。

『落とし物係』

初登場のこのバク、誰かが落としたどんぐりや靴下だけでなく、みんなが見ないふりをしてきた違和感まで拾ってしまうどうぶつです。

イグアナ
「……あ、出ましたね。村の落とし物係、バクさんです。
たまに村じゅうが“見なかったこと”にしてきたものを拾ってしまう、なかなか困ったどうぶつです」

バク
「……あー。今日はずいぶん散らかってるね。
チャ~リンも、数字も、どうぶつの顔も」

ライオン
「笑ってる場合じゃないんだよ!
持ってる100兆チャ~リンで、いちご一個も買えないんだ!」

バク
「……100兆?」


④100兆チャ~リンの威張り顔

バクは、ライオンの袋から100兆チャ~リンをひとつ手に取りました。
指先で、チャ~リン(石ころのお金)についていたものをすっとなぞります。
白っぽいものが、爪の先につきました。
裏返し、鼻先を近づけます。

バク
「……あー」

ライオン
「な、なんだよ」

バク
「……これ、台所のにおいがするね」

全員
「えっ?」

バク
「……ポテサラのボウル押さえるのに使ってたでしょ。
ほら。この白いの、マヨ」

アリクイ
(ハシゴの上でビクッとする)
「えっ」

バク
「……しかもこれ、置き石に“チャ~リン”って書いて、しるしつけただけのやつだよね。きっとそのへんに積んであったやつを、そのまま使ったんだ」

ライオン
「え、でもそれ、チャ~リン(お金)だろ?」

バク
「……うん。チャ~リンではあるよ。
でも、さっきまで台所でボウル押さえてたやつに、今日はゼロを山ほど背負わせて、“100兆チャ~リン様です”って顔をさせてる。
そこが雑なんだよ」

シマウマ
「じゃあ……急に中身がすごくなったわけじゃない?」

バク
「……うん。偉くなったんじゃない。偉そうになっただけ」

イグアナ
「……出ました。
“世界を揺るがす100兆チャ~リン”の正体が、まさかの“台所あがりの置き石”疑惑でございます」


⑤突撃インタビュー(イグアナ)

イグアナ
(岩から降りて、ライオンの前へ)
「……あ、ちょっと失礼。
いま、“100兆チャ~リン”が、“ポテサラのボウルを押さえていた置き石にマジックでチャ~リンと書いたものではないか疑惑”まで出ております。
率直に、いまどんなお気持ちですか」

ライオン
「……なんというか……。
ずっと王様みたいに見えてた相手が、急に台所の片隅から出てきた感じで……。すごく怒ってるんだけど、ちょっと力が抜けました」

イグアナ
「……いやはや。
どうやら本日のとんま村、“数字の顔がでかすぎた問題”に加え、“威厳の出どころが台所だった問題”まで発生していたようです」


⑥でも、本当の問題は別にある

ライオン
「でもさ……。僕たちが苦しかったのは、本当なんだよ」

アルパカ
「ひ、ひえぇぇぇ……。いっぱい増やしてしまったのに、なんで楽にならないのか、わからないんですぅぅ……」

バク
「……あー。そこはそう。むしろ、そっちが本題だね」

アリクイ
「っ……!」

バク
「……100兆チャ~リンが威張ってるのは、まぁ、だいぶ雑だよ。
でも、ほんとの原因はそこじゃない」

ライオン
「……え?」

バク
「……この村、もっと前から、数え方がずれてたんだ」

イグアナ
「……おやおや。
どうやら本当の問題は、“ゼロの大きさ”ではなく、もっと前から続いていた“数え方のずれ”にあるようです」


⑦イグアナのエンディング実況

イグアナ
「……こうして、“100兆チャ~リン”の威厳は、一滴のマヨネーズと、一匹のあくびによって、ずいぶん小さくなりました。
……けれど、どうぶつたちの苦しさは、それだけでは終わらないようです。

……問題は“ゼロの大きさ”ではなく、もっと前から続いていた“数え方のずれ”にある――バクさんは、そんな厄介なことを言い残しておりました。

……次回、第12話。
『足りない一枚は、最初からなかった。~バクの数え直しと、マヨネーズの告白~』

……それでは次回も、どうぞお楽しみに」

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