【とんま村の物語】第3話:11枚目のチャ~リンはどこだ!? ~はじまる椅子取りゲーム~
🍃登場どうぶつ紹介とあらすじ
🍃前話:「お預かりします、その不安。 チャ~リン(お金)の誕生」
🌻解説:第3話「お金の誕生―預かり証は、どうやって“お金”になったのか」
🐝前話+第3話サマリー
10個しかないチャ~リンという石を、11個にして返せと言われたライオン。
だが村でチャ~リンを持っているのは、彼一人。
奪う相手もいないまま、広場には椅子取りゲームの気配だけが広がっていく。
①女神のナレーション

「足りない、と感じるとき。私たちは、つい“誰か”を探してしまいます。
ここ、とんま村では、石ころの音が少しずつ増えはじめました。
便利は、広がるほど正しく見えるもの。
さぁ、椅子取りゲームの音楽が、そっと鳴りはじめます。」
②オープニング実況(イグアナ)

「えー、毎度おなじみ、流浪の爬虫類、イグアナでございます。
今日はですね、百獣の王ライオンくんの、哀れなハンティングを観察しております。
見てください。彼は今、誰かから『1』を奪おうとしていますが……そもそも、この村でチャ~リンを持ってるのは、彼一人だけなんですねぇ。
……実に見事な、独り相撲。……あ、お気になさらず、続けてください」
③心配性なライオンの「とんまな強盗」

ライオンは、茂みに隠れて、通りかかる動物たちを襲おうと構えています。
ライオン:(心の声)
(ガタガタ震えながら)「…あ、あそこにシマウマが来た! よし、シマウマくんから『1チャ~リン』を奪うんだ!…あ、でも、シマウマくんが持ってなかったらどうしよう?
逆に返り討ちにあって、僕の10枚も奪われたら……ひえぇぇ、地獄だぁ!」
ライオン: (飛び出して)
「おい! シマウマくん! 君の持ってる『チャ~リン』を全部出せ!」
シマウマ:
「……え? チャ~リンなんて、一つも持ってませんよ? チャーハンなら、さっき食べましたけど」
ライオン:
「ええっ!? 持ってないの!? ……じゃあ、僕、誰から奪えばいいんだよぉぉ!」
④アリクイの「テキトーな市場拡大」

ライオンの失敗を見て、アリクイは「あ、これじゃ保管料ゲットできないや」と気づきました。うっかりうっかり。
そこで一気に村中に石をバラまくことにします。
アリクイ:
「おーおー! みんな、物々交換で肩凝ってない? 今ならみんなの大事なものをボクが預かり、代わりにこの『聖なる石:チャ~リン』を、誰にでも貸し出しちゃうよ!
今だけの特典として、僕のサイン入り(マジックの汚れ)だ! いよっ、大盤振る舞い!」
働きバチ:
「アリクイさん! 僕にも貸して! それがあれば、命より大事な重い蜜を見守らなくて済む!?」
アリクイ:
「そうだよ! 蜜は僕が預かってあげる! テヘッ。
その代わり預かっているモノを返してほしかったら、ライオン君と同じく保管料も上乗せして僕に渡してね!!」
⑤ナレーション(イグアナ)

「こうして、アリクイの適当な勧誘により、村中に『チャ~リン』という名の石ころが春のスギ花粉のように一気に広がっていきました。
もともとは、預けたものの代わりに受け取る、なんとも怪しい石ころだったわけですが。
ところがこれが、持ち運びはラク、数えやすい、腐らない、しかも“とりあえず誰かが受け取ってくれる”となると、だんだん話が変わってまいります。
肉より軽い。蜜よりベタつかない。魚みたいに傷まない。
……そう、べんりなものは、それだけで妙に正しく見えてくる。
気がつけばどうぶつたちは、『何を持っているか』より、『何チャ~リンで数えられるか』で物を眺めはじめるのです。
こうして石ころは、ただの石ころから、少しずつ私たちに馴染むみのある“お金”になりはじめましたのです。
……誰もが10借りて11返す、その前提はそのままに。いよいよ、椅子取りゲームの音楽が鳴りはじめましたねぇ」」
⑥働きバチの「オーバーヒート」

広場では、ライオンたちが石を奪い合っていますが、働きバチは「真っ当に返そう」とフル回転しています。
働きバチ:
「10借りて、11返す! 11枚目はどこだ! ないなら、誰よりも早く蜜を集めて、誰かが持ってる『0.001チャ~リン(石の破片)』を1000回交換して1にするんだ! 0.1秒も休めない! 睡眠? それは石を持ってるやつの特権だ!」
アリクイ:
「おーおー! ハチくん、羽から煙が出てるよ! 焼き鳥になっちゃうよ! ガハハ! ……ねぇ、そんなに大変なら、チャ~リンだけをまた10枚貸してあげようか? 返すときは11枚だけど。テヘッ」
働きバチ:
「貸してください! その10枚で、さっきの11枚目を返します! ……あれ? でも、また1枚足りない!? ああぁぁ、無限ループだぁぁ!」
⑦突撃インタビュー(イグアナ)

岩からスルスルと降りてきて、空中で「8の字」を書きすぎて目が回っているハチの足元へ。
イグアナ:
「……あ、ちょっと失礼。ハチさん。今、足りない1枚をゲットするために、自分の羽の寿命を30年分くらい前借りして動いてますが。……正直、今どんなお気持ちですか?」
ハチ:
「ハァハァ……最高に……『村の歯車』になってる気がする! あれれ、なんか幸せ!でも……なんでだろう、蜜を運べば運ぶほど、アリクイさんのサングラスが豪華になっていく気がするんだ……! これが……これが『石ころを転がす(=経済を回す)』ってことなのか!?」
イグアナ:
「なるほど。自分が回っているのを、『石ころを転がす(=経済を回す)』と勘違いしましたね。
……おバカですねぇ。実に見事な、遠心力による錯覚です。……あ、褒め言葉ですよ」
⑧エンディング(イグアナ)

「こうして、働きバチくんは、存在しない『1』を求めて、無限の8の字で飛び回っていきました。
それを横目に、クジャクくんは『たくさん石ころを持っていた方が格好いい』という、新しいトレンドに気づいたようです。
次回、クジャクの成金自慢。……石ころは、着こなすもの。
それでは、次回お楽しみに~?」
