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「ありそうでなかった!」 1gの発明


ひらめきには無限の価値がある。


大層な発明でなくていい。
日常の「ちょっと困った!」に気がつき、
その気持ちに寄り添うことで、いつしか社会を豊かにするひらめきとなって現れる。


人の行動は単純な「心理」に強く影響される。

だからどんなアイデアにも「人がどう感じるか」という視点が欠かせないと思う。

防犯グッズのように、人が人に対して使うものならなおさらだ。

さて、世の中の多くの防犯グッズは「威力」を売りにしているように思う。
例えば、高電圧スタンガン、催涙スプレー、130dbの防犯ブザー・・・
いずれも、攻撃性によって危険を遠ざけようとするアイデアだ。

しかし、

真に人を動かすのは力よりも
「理解」なのかもしれない。

「汚い」
「触れたくない」
「近づきたくない」

そんな「不快感」は誰にでも持ち合わせているだろう。

たとえ、悪いヤツであっても。

だからこそ、
「誰も触れたくないものをそこに置くだけ」で成立する防犯がある。

一見シンプルなアイデアだが、
最も心理的に作用する自転車盗難防止グッズだ。

私はその人間心理が生む防犯力をサドルで活用しているのを、ある日SNS上で魅せつけられた。

それは、

鳥のうんちの形をした

1gの防犯シールだ。





「え?(笑)」と思われるかもしれない。




私は鳥肌が立った。

(鳥だけに)

誰が糞で防犯対策をしようとひらめくだろう。どこがどう繋がるというのだ?通常、「A→B」と思考するところを「A→D」のように飛躍させたこのユニークなアイデア!!!(AIには到底マネできない人間だけができる発明だとそのとき思った)

だからこそ、

「これ考えた人、天才!」

そう、私は万歳したくなった。


なぜこれが革新的なのか?


鳥のうんちシールを解剖してみるとおもしろい。

このアイデアの革新性は、

盗む気を失わせて盗難防止をする

という点にあると考える。

「汚いものには触れたくない」

人間の共通認識をそのまま防犯機能に転用した。


発想の飛躍


このアイデアが天才的なのは、

「鍵を強化して防犯する」
→別の形でアプローチする

という、思い切ったジャンプを成立させている点だ。

その根底には、「盗む人=特殊な悪人」ではなく、泥棒もわたしと同じ人間というボーダーレスな視点があるように思う。

自転車のサドルに鳥の糞が付いていたら、誰もが嫌な気持ちになる。それは、自転車を盗もうと考える人も同じ。

この、垣根を越えた視点や思想が飛躍を生んだと考察できる。


社会への寄与


では、このアイデアが社会とどう接続するのか。データを見てみよう。

▼日本の自転車盗難事情

警察庁「平成30年の刑法犯に関する統計資料」によると、2018年に発生した自転車の盗難被害は、認知されている件数だけで18万3879件におよびます。これは、3分に1台のペースで自転車が盗まれている計算です。

https://www.makuake.com/project/torinounchi2/

3分に1台、鍵を施錠しても自転車は盗まれている。

これは「従来のアプローチには限界がある」ということを示唆している。

そこで、

鳥のうんちシールで

盗む気そのものを失わせる!


実験では「鍵なし」でも盗難ゼロ
(自転車の盗難件数が年間1000件を超える地域で合計5日間、鳥のうんちシールを貼った自転車を鍵をかけずに放置。結果、盗まれることはなかった。)

https://www.makuake.com/project/torinounchi2/


この「どうしたら盗む気が失せるのか」という着眼点は、ほかのグッズでも応用できるのではないか?と可能性すら感じさせてくれる。



さらに、ユーザーにはこんなメリットも!

・1gで軽い!
・貼るだけ!

・選ばれにくいけど、見つけやすい!


開発ストーリーを読み解く


こんな発明、どうやったら出来るんだ!と思われるかもしれない。私の分析がその一途となれば幸いだ。

◆ 1:点と点を繋ぐ

「自転車を盗まれた=イヤな思いをした」
「サドルに鳥の糞=イヤな思いをした」

この日常のバラバラな出来事を、まるで夜空の星で星座をつくるように点と点を繋いで形にした。

◆ 2:右脳(直感)と左脳(論理)の往復

右脳(直感)

・開発者自身の固有の経験
「もし自分が泥棒だったら?」という想像力
生活者視点

左脳(論理)でインプット

・社会課題の整理(日本の自転車盗難の現状)
・重さ・負担の最適化(重量対効果)
・人間心理の掘り下げ(嫌悪の回避)

これらの右脳×左脳のキャッチボールをしてアイデアを成立させたとみられる。

どちらも必要だということだ。

◆ 3:試行錯誤の繰り返し

彼が初めにしたことは鳥の糞を探す旅。
駅前や商店街、鳥の糞が落ちてそうな場所を回り、様々な実物を見た。そこで「想像と現実の形状が異なる」ということに気がついたそうだ。

大事なのは「人間に鳥の糞と認識されること」であって、リアルな糞を作ることではない。
それに気がついたときが、このグッズが完成に至るまでの最大の転換点だったように思う。
目指すべき形が明確になったからだ。

鳥の糞と聞いて、
人がどんな形をイメージするのか。

数パターンの形を作り、友人にヒアリングして回る。最も評価が高かった形を鳥のうんちシールの形状に(また、自宅の2階から何度も落としてみて最も自然な形も追及)したそうだ。

3回目の試作(試作1: ラベルシール、試作2: グラスデコ、試作3 :マスキングカラー)で、ようやく理想の素材に出会えたと感じたとのこと。

マスキングカラーは、乾くと貼ってはがせるシールになるタイプの塗料だが、グラスデコに比べてカラーバリエーションが豊富で、しかも不透明。これまでの試作とは段違いにリアルな仕上がりになり、イメージ通りのサンプルが完成したとのこと。

ちなみに「黒い実」の部分は、黒色の消しゴムのカスで作り、コストを抑えたそうだ。
その後、できる限り実物に近づけたいという開発者のこだわりからシール上部に付いている黒い樹脂に土を混ぜ込ませ(鳥は歯が無いため、土や石を飲み込み胃の中で食べたものをすりつぶして消化を助けている。そのため、排泄物にも土が混ざることがあるのだそう)、さらに一体感を出すために最終工程で乳白色の樹脂をまばらに散らした。そのため、よく見るとぶつぶつとした小さな粒子を見ることができるのだとか・・・

これがプロフェッショナルだ!


2020年3月に鳥のうんちプロジェクト第1弾を実施。
2020年10月には、パワーアップしてリニューアル。

形がよりリアルに進化!
黒の「実」部分も全体のサイズに合わせて
よりリアルなサイズに修正


ひらめき×たゆまぬ努力=偉大な発明だ!


結びにかえて


偉大な発明は、
知ること、興味をもつこと、理解すること
からはじまるように思う。

人間=人間

であり、自転車のサドルに鳥の糞が付いていたら、誰もが(泥棒も)嫌な気持ちになる。
我々はイコールの関係だとも「鳥のうんちシール」は教えてくれたように感じる。

天才的なアイデアとは、誰かの気持ちに寄り添い続け、創意工夫するその姿勢から生み出される「ひらめき」なのかもしれない。

そのような地道な努力によって生まれる発明は、これからもきっと社会を豊かにしていくに違いない。

だからこそ、アイデアやブランド、注がれた努力が盗まれる前に「知的財産」として守られ、技術者やクリエイターの成長を生み、嬉しい驚きで満ちてゆく未来であってほしいと切に願う。

ひらめきには無限の価値があるのだから。



人がイメージする鳥の糞を極力シンプルに表現
開発者の小さなこだわり
『MADE IN JAPAN』
石川県のゴム工場で手作業で作られている



つぎは、私達が守るんだ!



(完)



▼鳥のうんちシール開発者のプロフィールはこちら

 もとき れおがさん

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ここまでお読みいただき、
ありがとうございました💐





この作品がグランプリに選ばれました!!!


「これ考えた人天才!」というテーマで、引き続き発明や知財について執筆しています。よろしくお願いします😊


note全ジャンルの中で先週特にスキが集まったみたいです🎊
読んでくれた皆さん、本当にありがとうございます!嬉しいです😆





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