第2回:冥王星蟹座時代 —— 「愛国心」と結びついた血統の純血主義
冥王星は蟹座へーー「断種法」の制定
1913年、第一次世界大戦勃発の直前に、冥王星は蟹座に入りました。そして第二次世界大戦が始まる1939年まで滞在します。この時代は、前の双子座時代に生まれた「種(理論)」が発芽して、すくすく伸びていった時期と言えます。
1907年のインディアナ州を皮切りに、アメリカでは双子座時代の末期から「断種法」が制定され始めていました。でも、それらが実際に司法の場で「合憲」と認められ、全米、そして世界へと加速・普及していったのは、蟹座時代に入ってからです。
1927年、米最高裁が断種法を合憲とした「バック対ベル事件」判決は、まさにこの時代の象徴でした。
「三代の白痴でもう十分である」
という有名な言葉とともに、「共同体の健康を守るために、個人の身体を管理する」という蟹座的な家父長制的論理が、法的なお墨付きを得たのです。
「身内」を守るための排他と「血統」への執着
蟹座は「家庭」「母性」「育成」、そして「自分が属する集団」「ルーツ」「血縁」を象徴するサインです。その本質は「愛」ですが、冥王星という極端なエネルギーと結びつくと、それは「身内以外を排除する」という排他的な防衛本能へと反転します。
双子座時代に作られた「優・劣」のデータは、この時代になると「我ら良き国民(家族)」と「それを脅かす異分子」という、よりエモーショナルな対立構造に組み込まれました。
優生思想はもはや単なる「科学的トピック」ではなく、「自分たちの愛する国や民族を、不純物から守るための盾」として語られ始めたのです。
世界的な「防衛本能」の共鳴
第一次世界大戦という未曾有の危機を経て、各国は「自分たちの国を強く、純粋に保たねばならない」という強い不安に駆られました。
蟹座は「自分の居場所(国)」を守ろうとします。この蟹座の愛が反転し、異分子を排除するエネルギーとなったことで、優生思想は世界的な潮流となりました。
アメリカ: 1924年の「排日移民法」に代表される、血統による境界線の強化。
北欧・カナダ: 1920年代後半から30年代にかけて、次々と断種法が制定。
ドイツ: 1933年、アメリカの法をモデルにした「遺伝病子孫防止法」が制定。
日本でも、この時期に「国民優生法(1940年制定)」への議論が本格化しました。まさに獅子座時代の「爆発的な実行」に向けたマグマが、蟹座の「ナショナリズム(国家=家)」という器の中で蓄積された時代だったのです。
「母性」と「福祉」という名の管理
「愛する共同体の未来を守るためなら、誰かの犠牲(生殖の自由の剥奪)はやむを得ない」
こうした、蟹座特有の「身内への愛ゆえの残酷さ」が、優生思想に法的な強制力という力を与えてしまいました。
「健康な母親から、健康な子供を」
「良き家庭こそが国家の礎である」
こうしたスローガンの裏側で、その基準に合わない人々への強制的な介入(断種や隔離)が福祉政策として行われていったのです。
双子座時代に貼られた「ラベル」が、蟹座時代には「排除すべき異物」として認識されていきました。
まとめ
双子座時代に生まれた「情報の取捨選択」という合理性は、蟹座の時代を経て、「愛するものを守るための排除」という、極めて主観的で強固な集団心理へと変質しました。
蟹座は「家族」「国家」「共同体」を守る本能です。「自分たちの国や家族を純粋に保ちたい」という集団的防衛本能が、他者を排除する優生思想と結びついてしまったのは、自然な流れだったのかもしれません。
この「身内を守りたい」という切実な願いが、自らを「選ばれし絶対的な存在」として称揚する、あの獅子座時代の熱狂へと繋がっていくのです。
次回、「第3回:冥王星獅子座時代 ——『理想』の強制と、歴史に残る最大の悲劇へと続きます。
