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『halfmoon』感想:「1bitピクセルアート」で描かれた世界と先輩お姉さんに心が奪われ、心が浄化され、心に棲みつかれる短編傑作ADV

もう凄い。
モノクロの世界から心が帰ってこない。
ビジュアルもさることながら一瞬一瞬の世界を切り取るだけでアートになる。

約30分強で圧倒的なゲーム体験と物語体験、そしてずっと続く余韻に浸れる、奇妙かつ美しい快作。
『halfmoon』、素晴らしい作品でした。


とにもかくにもこのビジュアル。
真っ先に思い出したのが、昨年プレイした奇ゲー『NIDANA』。

本作『halfmoon』とかなり近いな、と思っていたところ、開発されたのがどちらもlvl374様。つまり同じ方の作品だったんですね。
それはそうですよね。こんなに尖ったビジュアルのゲームなかなかありません。(『NIDANA』の際には「面白いかと聞かれると、なんとも難しいところ。おすすめするかと聞かれると、それもまた難しい。」なんて書いて申し訳ありません……)

ビジュアルはNIDANAもhalfmoonも近しいところはあると思いますが、ゲーム体験は全く別物。NIDANAはウォーキングシミュレーターだったのに対し、halfmoonは完全にポイント&クリック型のアドベンチャーゲームです。
また、NIDANAではセリフ、文章がありませんでしたが、halfmoonでは人、会話、猫、ミニゲームと、非常に「ゲーム」な作りになっていました。

この点はとても取っつきやすく、また物語も感じられるため遊びやすさという意味ではかなりユーザーに寄ったゲームになったと思いました。



尖りに尖った1bitピクセルアートのビジュアル

もちろん、遊びやすさはありつつも、一目見ればわかるビジュアルは非常に尖った1bitピクセルアート。
モノクロで描かれた世界、そしてキャラクターの魅力は、色が少ないからこそ浮き出て感じられる美しさがありました。
まさに、制限されているからこその魅力。

NIDANAは3Dの世界を歩くゲームだったのに対し、halfmoonはクリックして物語を進めていくため、画面も一枚絵のような見せ方が多く。
やはりここも、視界が制限(固定)されているからこその見せ方の上手さと、見えない部分への想像力によって強く魅力が生まれている部分でした。

とにかく強烈。制限があるからこその突き刺すようなビジュアルに、がっつり心を掴まれました。



物語を演出する「先輩事務員のお姉さん」がバチバチにイケてる

物語は、主人公のミオが目覚めるところから始まります。
指示の通りに建物を進むと、現れたのは二人のお姉さん。

「ナミ」「レイ」と名乗る二人は、死者が「あちら側」へ行く前の休憩所、「死後案内所」という場所で仕事をしている事務員。

ミオはたまたまそこにスカウトされた「死者」でした。

人の魂に関する業務を教えてもらい、実際に行い、そして二人に報告。
文字にすればただの作業なのですが、とにかくこの先輩事務員「ナミ」「レイ」が魅力的なんです。

美形であり、ややダウナーな雰囲気、喜怒哀楽が激しいというよりメンタルが安定している落ち着いた二人の先輩。

クールに見えつつ、猫に構われている姿なんかは微笑ましいものでした。

もうなんというか…このゲームの描写方法であるピクセルアートとの相乗効果で、異様な色気と雰囲気だったんですよね。
これはおそらく3Dのゲームでは体験できないものなんじゃないかなと思います。

顔が近い

煙草を吸う二人なんていうのもまた絵になっていて。
会話もまた、ウェット過ぎない、無駄のない涼しさがあって。

彼女たちがいる空間、そして彼女たちの存在、全体を包括して「世界観」と言わせてもらいますが、もう突き刺すような世界観が本当に美しい魅力になっていたんですよね。
このゲームの最大の魅力はここだろうと、確信を持って言えます。



ミニゲーム部分は少し冗長だが工夫もある

ミオが行う業務はミニゲーム化されていて、これは物語を進めるうえで飽きないポイントでした。
ミニゲームの種類も多く、よく作られているんですが、ゲームというよりは作業。物語理解のためのパートという印象を受けました。

面白さがあるとはなかなか言えず、淡白な作業ですが、その淡白さを上手く中和しているなと思ったのが「作業スペースが透明」というところ。
透明のモニターのようなものを通して作業を行うため、作業する空間の奥にいるナミやレイを見ることができます。
これは上手な演出だなと思いました。

そしてそのナミやレイの姿が、次の物語展開に続いています。
業務(ミニゲーム)が独立しているのではなく、ちゃんと連続的な時間、二人と同じ空間の中で行われているひとつの作業であるということを実感させられる良いパートでした。



終わりに

halfmoon自体は、約30-40分程度で終わる超短編です。
でも、プレイしてみると「たったそれだけのだったのか?」と思えるほどの濃密な体験ができました。

それはきっと、この世界に没入し、考え、飲み込まれていたから。

特に私は色々と疲れているタイミングでこのゲームを遊んだのですが、正直かなり食らってしまって。
現実感の無い世界、ビジュアル、アンビエントな音楽で作られたこのゲームにすっかり魅了され、囚われてしまいました。

全ての温度感が落ち着いていて、そして見えるもの、聞けるもの、考えられる情報も洗練されたもの。

やはり、制限されているからこその魅力と言えるものでした。

価格はたったの265円。
私は一本の映画以上の体験ができたと思っています。

NIDANA同様、人を選ぶのは確か。
ただしハマればもう、心の中に棲みつくような作品だと思います。
halfmoon、おすすめです!




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