【世界はひとつの世界】第一章ウタリ編丨第22話丨誰もいなくなった

【これまで】
千年前に魔王を倒した8人の賢者の生まれ変わり、
陽気な金髪ウタリと無口な黒髪イレンカが
旅をしている。
最深部である地下10階を前に
地下9階で一休みすることにした一行。
そこへ後からやってきたパーティが追いつき
先に地下10階へと進んでいった。
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暫くすると叫び声が響きわたる。
『キャーーーーー!!!』
『ギャアァァッ!!!』
『イヤーーーーーッ!!!!』
『グワアァッ!!』
中には断末魔も混じっていたようだ。

魔法使いらしき女二人がハァハァ言いながら
命からがら戻ってきた。

『たったっ…助けてぇぇ…』
『うぅっ…皆…やられちゃった…』
座ってアクビをしながら伸びをしていたウタリが
振り向き、特段驚くことなく答える。
『まー別にいー……』
ウタリの言葉の途中で
パンッ
と鼻ちょうちんが割れ
イレンカがムクリと起き上がった。
『俺たちはその10階に行くぞ。
お前たちはここまでは余裕で来れたんだろ。
そのまま地上まで帰ったら良いんじゃないか』
女二人は顔を見合わせ頷きあう。
『そうねっ』
『帰ろっ。
あんたたちも10階は行かない方がいいわよ』
『あっ、ちょっ、待てよ!』
地下8階へと駆けていく二人を止めるように
手を伸ばすウタリの横で、
イレンカは再び鼻ちょうちんを膨らませ
スピースピーいっていた。
すぐにさっきの二人の断末魔が響きわたる。
『いやっ!ダメっ!ウワアアァァッ!!!!』
『やめてっ!来ないでっ!
キャアアァァッ!!!!』
アッサムとキーモンは真っ青な顔になった。
キーモンが震えながら声を出す。
『ここまで簡単に来たんですよね…。
人数減ったとはいえ…そんな簡単に…?』
『俺たちが制圧した後だからなー。
冒険者側の断末魔がダンジョンに響きわたって、
モンスターの活性が戻ったんだろ』
『それを分かってて帰らせたんですかこの人…』
キーモンは
スピースピーいってるイレンカを
じとーっと見つめる。
『ここで待機させて
一緒に連れて帰ってやれば良かったのになぁ』
『この人…怖い…』
一晩ほどの時間が経ち
イレンカが目を覚ますと、
すぐに顔が険しくなった。
そこには誰もいない。
荷物も無くなっていた。
光るキノコがひとつ、転がっていた。

立ち上がり、
転がっていた光るキノコを頭に乗せると
辺りを見渡しながら考える。
(何が起きた……?
あのアホがいるからと特に警戒していなかった…。
食われた…?あのバカが、無抵抗で…?
何故俺は何もされていない……
いや、されたが無力化したのか)
イレンカは寝ている間
無防備になることのないよう、
常に自分にかけられる能力を
全て無力化する力を発動させていた。
(ここはあのシェイプシフター1匹だけじゃない…
ということか…。
しかし、あるのはこの部屋だけだ…)
じっと地下10階への階段を見つめると、
意を決し進んで行く。
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