【世界はひとつの世界】第一章ウタリ編丨第10話丨デジャヴ

【これまで】
千年前に魔王を倒した8人の賢者の生まれ変わり、陽気な金髪ウタリと無口な黒髪イレンカが旅をしている。
入口を見張るの兵士の結界などものともせずダンジョンに侵入するイレンカ、引きずられて連れて行かれるアッサムとキーモン。
ウタリがすぐに追いつき、ダンジョン1階スライムフロアをあっさり踏破した。
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階段を下っていくと徐々に獣臭が鼻にまとわりつき始め、グルルルという音が聞こえてくる。
『ああぁっ…あ…あぁ…』
引きずられている二人は叫び声をあげる力も無くなってきていた。
フロアに到着すると目の前には、三つ首の狼が涎を垂らしながらうなり声をあげてこちらを睨んでいる。

『おっ、ケルベロス』
ウタリの声にアッサムが声をあげる。
『ひぃっ!もうダメだもうダメだもうダメだもうダメだ』
キーモンは今までの人生を振り返っていた。
『ひーふーみぃ。こいつら全部で150万ゴールドか。すっげぇ!』
『何言ってんのこいつうう!』
アッサムの心の声は普通の声になっていた。
相変わらずイレンカは何も気にせず歩いていく。
『グゥゥ……ガアッ!』
二匹のケルベロスが大口を開け鋭い牙でイレンカに襲い掛かる!
『グギャッ』
『ギャンッ』
左足で右に蹴り飛ばされた方は首から先が全て吹き飛ばされ、左踵で左に蹴り飛ばされた方は肩から胸が吹き飛ばされ4つになって転がった。
『ウウウ……ウガアッ!』
引くに引けず自棄になって襲い掛かってきた残りの一匹を前に蹴り飛ばすと、丁度そこにあった十字路を右に曲がる。
引きずられているアッサムとキーモンの目にケルベロスの死骸が入る。
二人の身体はガッチガチに強張った。
地下1階で響き渡っていた叫び声がアワアワという音に変わっただけで、地下2階も単調に進んでいく。
同じように広間にいた大ケルベロスが、同じように一瞬で肉片と血の海になって終了した。
『あ~あ。つまんねぇなぁ』

ウタリは両手を頭の後ろで組み、口をすぼめて不満そうだ。
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