頑張るためにリフレッシュが必要?——その問いが、僕を止めた日
「しっかりリフレッシュできたので、今日からまた頑張りたいと思います!」
ある朝、社内チャットに流れてきた一言。管理職を担うメンバーの投稿だった。週末にしっかり休んで、英気を養ったんだろう。投稿には「いいね」やスタンプが並び、「よかったですね!」というコメントもいくつかついていた。
でも、僕はスマホを見つめたまま、動かなかった。
「リフレッシュしないと、頑張れないの?」
ふと、そんな疑問が頭に浮かんだ。
いや、わかってる。リフレッシュって大事だ。僕だって温泉に行けば気持ちがほぐれるし、美味しいものを食べれば心が潤う。大切な家族と過ごす時間は、かけがえのないエネルギー源だ。
だけど——それって「頑張るため」なんだろうか?
「リフレッシュがないと、頑張れない」
「仕事がしんどいから、プライベートで回復する」
そうやって、仕事と私生活をまるで“対義語”のように扱っていくことが、本当に健やかな働き方なんだろうか。
僕がこの問いにぶつかったのは、たぶんもう何年も前のことだ。
新卒で入った会社は、いわゆる「ワークライフバランス」を推す企業だった。制度は整っていて、休暇取得率も高い。上司たちは「ちゃんと休めよ」と言ってくれたし、有給を取って旅行に行くと「しっかりリフレッシュしてこいよ!」と笑ってくれた。
最初は、それが“いい会社”の証だと思っていた。
でもある日、ふと気づいたんだ。
——なぜ、僕たちは「休んだらまた頑張る」という言い方をするんだろう?
それって、つまり“仕事=頑張るもの、疲れるもの”って前提があるってことだよな、と。
子育てをしていると、もっとわかりやすくなる。
たとえば娘の朝陽(あさひ)は、今はまだ小学生。毎日、ランドセルを背負って学校に行く。宿題をやったり、友達と遊んだり。大人の目線で見ると「遊んでるだけ」に見えるような時間も、朝陽にとっては“頑張っている時間”だ。
でも、彼女は「休まないと、また頑張れない」なんて言わない。楽しいこともあれば、しんどいこともある。でも、ぜんぶ含めて「自分の一日」として受け止めている。
——あぁ、仕事もそれでいいんじゃないか。
そう思うようになってきた。
リフレッシュしないと頑張れない。
頑張ったらご褒美。
仕事はストレス、私生活は癒し。
そんなふうに、人生を分断してしまうから、逆にバランスが崩れるんじゃないか。
僕が思う理想は、仕事と私生活の“共存”だ。
“頑張るためにリフレッシュする”のではなく、“自然に、日々を循環させる”ようなあり方。
家族との時間が嬉しくて、その笑顔が仕事にも反映される。
職場での学びや経験が、子どもとの会話の質を深めてくれる。
そんなふうに、両方が“支え合っている状態”を目指したい。
でも、これは理想論だとも思ってる。
現実には、仕事がしんどすぎて家庭に持ち込んでしまうこともあるし、家庭のストレスが仕事に出てしまうこともある。
だから、意識的に考えないといけない。
「自分にとって、仕事とは? 私生活とは?」
「頑張るって、何?」
「何のために、どこへ向かって、今ここにいるのか?」
それを問い続けることこそが、自分を健やかに保つ術だと思う。
先日、朝陽にこんなことを言われた。
「パパって、仕事楽しいの?」
僕は少し考えてから、こう答えた。
「うん、楽しいこともあるし、大変なこともあるけど、パパは毎日が楽しいよ」
それは、嘘じゃなかった。
僕は仕事を“義務”ではなく“選択”として捉えている。
リフレッシュも“手段”ではなく“日常の一部”として取り入れている。
そして何より、朝陽のように、毎日を一つの“流れ”として受け止める感覚を、大人になった今でも大事にしていたいと思っている。
だからこそ、社内の「リフレッシュできたから頑張る!」という言葉に、僕は少しだけ違和感を持ってしまう。
ひねくれてるって思うかもしれない。でも、僕はそういう自分も、嫌いじゃない。
仕事と私生活は、切り離すものじゃない。
どちらかを“頑張るための手段”にしないで、両方に“命”を宿すように生きていきたい。
「今日もいい一日だったな」
そう言える日が、増えればいい。
それが、僕にとっての「働く」ということだから。
#働き方
#仕事と私生活
#リフレッシュの意味
#問いから始まる物語
#人生観
#ワークライフインテグレーション
#子育てと仕事
#大人の学び
#価値観の再設計
#日常にある哲学
湯鶴の裏方より
このnoteでは、湯鶴というひとりのパパの日常をもとに、仕事・育児・人生にまつわる物語を綴っています。
無料物語では、子どもとの時間で考えたことや、仕事をする中で考えていることなど、毎日のなかにあるささやかな気づきを描いています。
でも実は——
誰にも言えなかったことや、少し勇気がいるようなことは、有料物語で綴っています。
湯鶴がこれまで向き合ってきた葛藤や選択。
その背景には、言葉にならなかった想いがあります。
僕は、湯鶴の“裏方”として、そのひとつひとつを記録してきました。
有料物語は1本100円。
ですが、マガジン(500円)を購読していただければ、これまでに公開された有料記事も、これから追加される物語もすべてお読みいただけます。
子どもを育てること。
働き続けること。
自分のままで在り続けること。
どれかひとつを選ぶのではなく、どれも大切にしていきたい。うまくできない日があっても、それでも今日を重ねていく。そんな湯鶴のまなざしと向き合いながら、言葉を編んでいます。
もしも、どこかで心に触れる瞬間があったなら、マガジンをのぞいていただけたら嬉しいです。
▼マガジンはこちら
▼前回の無料物語はこちら
スキを押してくださった方へ、湯鶴の言葉をひとつ、おみくじと共にお送りします。
たまたま出会ったようで、どこかで必要としていたかもしれないひとことを、そっと手渡せたらと思っています。
▼おみくじをつくった背景については、こちらにまとめました。
