「芳華、国へ帰る」ひとみ編第3話

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第3話

Đói lòng ăn nửa trái sim, uống lưng bát nước đi tìm người thương(お腹が空いたら天人花の実を分け、お椀の水を分け合って飲む、そんな恋人を探しに行こう)

マンの話を聞いて変な空気になったからか、そのパーティーはさらに盛り上がろうとしていた。

フォン「 Ếの人いるー?」

フォンさんはその場にいる女の子の顔を見て回った。


フォン「ねえ、ひとみさんは彼氏いますか?」

ひとみ「いえ、いないですけど…」


わたしの言葉を聞いてみんな歓喜の声をあげた。
わたしはちょっと混乱していた。


フォン「じゃあさ、前のステージに立ってくれる?」

ひとみ「え、えっ、なんでですか?」

フォン「ミニゲームしますから!」


わたしはわけもわからずステージに乗せられた。フォンさんが司会者のような口ぶりで何かいい始めた。


1人、2人と若い男性が手を挙げた。
でも、マンは手を挙げなかった。
近くにいた女性がマンを叩く。
マンは何か嫌そうに話している。
しばらくすると、マンが渋々手を挙げた。
レストラン内は興奮で満ちていた。


ベトナム人男性「マン!ガンバってー!」

ベトナム人男性「悪い人!ドロボー!」

謎の応援まで始まった。
そして、わたしの前には4人の男がいる。
一体何が始まるんだろう……


「はーい!みんな静かにしてくださーい」


フォンさんが歓声を鎮めた


フォン「この4人で誰が、ひとみさんの彼氏になるでしょう?」

ひとみ「えー!?」


想像の遥か斜め上をいく展開だった。
なんでこんな初対面の、しかもベトナム人と付き合わなければならないの!?


ひとみ「あ、あの!このゲーム、やめます!」

フォン「なんでー?もう始まっちゃったよ?」

ひとみ「わたし、彼氏欲しくないし!そんなのいいです!」

フォン「大丈夫!ただのゲームだから!紹介みたいなものだよ?」

ひとみ「それでもいやです!」


早くこの場から逃げたかった。
でも、ステージの前にはみんな集まっていて逃げるに逃げられなかった。
怖い…
誰か助けて……


フォン「じゃあ、自己紹介お願いします!」

ひとみ「……」

フォン「ひとみさん?どうしましたか?」


もう泣きそうだった。
その時


マン「あー!わた、ワタシはVũ Sỹ Mạnhともうしまっ!ベトナムのハティンから参りました!」

ベトナム人男性「ナニ言ってんだオメー!」

ベトナム人男性「あなた、bộ độiデス!」


容赦ないベトナム人からの罵声が響く。
でも、本当に怒っているわけではなく、朗らかな空気が流れている。


マン「ワタシは、ひとみさんが好きでス!日本語ベンキョーしたいでスゥ!どぞよろしくお願いしまっ!」

ひとみ「……」


日本語が下手すぎてマンの意図が読み取れなかったが、でもあの空気から私を守ってくれたってことはわかった。


フォン「マンくん、ありがとーございましたー!次は…」

フォンさんの紹介で次々と男性たちが紹介してくる。
3人はマンよりも日本語が上手でわたしに甘い言葉を投げかけてくる。
でも、全然耳に入らなかった。
生まれて初めて男性にチヤホヤされる感じは悪い気分ではなかった。


フォン「最後にひとみさん、自己紹介お願いします!」

ひとみ「……」


深呼吸をする


ひとみ「市川ひとみです。2週間前に友達とベトナムへ行きました。」


周りがベトナムという単語に反応してどっと盛り上がる。


ひとみ「友達にベトナム人がいます。時々ベトナム料理を食べに行っています。」

フォン「どんな料理が好きですか?」


ちょっと考えたが、この前食べたブンボーしか名前が出てこなかった。


ひとみ「ブンボーです。」


周りがさらに盛り上がる。
まるでライブ会場だ。


フォン「では、この4人の誰かにこの花束を渡してください!」


わたしに花束が渡されて4人の男性が後ろを向いた。


ひとみ「……」


正直、渡す人は決まっている。
でも、本当に付き合わなければいけないのか心配だった。

男性の後ろを歩いている時…


マン「お願いしまっ…お願いしまっ…」


マンが小声で言っていた。
その声にわたしは覚悟を決めた。

わたしはマンの肩を叩く。
マンがビクッとして振り向いた。

両手で花束を渡した。

会場がこれまでにないほど盛り上がった。


ベトナム人男性「マン!おめでとう!」

ベトナム人女性「おめでとう!」


マンとわたしを祝うように歓声が響いた。
そこには一切罵声がなかった。

マンは涙を流して喜んでいた。
でも、どうして初対面なのにここまで本気になれるのか不思議だった。


フォン「2人でFacebookの交換をしてください!」

ひとみ「すみません…Facebookやってないです…」

マン「à…LINEは…?」

ひとみ「やってるよ?」



わたしはマンとLINEを交換した。
マンのLINEはアイコンがデフォルトのままだった。

その後、みんなでカラオケをした。
わたしは歌わなかったがマンは2曲歌っていた。
わたしはうちに帰ることなんてすっかり忘れていた。


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解説


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