「芳華、国へ帰る」ひとみ編第2話
前回のお話
第2話
Thật thà là cha quỷ quái, quỷ quái phải rái thật thà(「正直」は悪鬼の父親だ、だから悪鬼は正直にならなければ…)
ひとみ「ただいま」
??「おかえり、千春なら奥で寝てるよ」
ひとみ「……」
??「ひとみちゃんだっけ?彼氏いないの?こんなに可愛いのに…」
わたしは黙って家を飛び出した。
あぁ、今日はあの彼氏の日だ
もう嫌だ。こんな家いたくない……
わたしはいつも行くスーパーとは逆の方向へ逃げた。
1人暮らししたい、でも経済的にどうやって…?
そういうことは理屈じゃない。
とにかくこんなイカれたところにいたくなかった。
わたしも同じようになっちゃうかもしれないから……
駅を越え、ひたすら歩く。
そこで妙に落ち着く匂いがした。
ひとみ(この匂いって……)
芳華の家の匂いだった…
いやこの匂いは……
ひとみ「なんだ、ベトナムレストランか……」
そのレストランは優子や芳華といったことがないところだった。
というより、こんなところにベトナムレストランがあるとは今まで知らなかった…
ひとみ(ここで、何か飲んであの彼氏が帰るのを待ってよ…)
わたしはレストランの中に入った。
ドンドンドンドン!
ズンチャズンチャズンチャズンチャ!
爆音で音楽と歌が鳴り響く
すぐに出ようと思った。
店員「ナンメーサマデッカー?」
ひとみ「あ、一人です…」
店員「スキなセキどうぞー」
わたしは入口の近くの席に座った。
芳華や優子行ったレストランとは全然違う、クラブのような店だった。
ベトナム人の客「 モッハイバー!ゾォ!ハイバーゾォ!ハイバーウォッ!」
ベトナム人の客「Ta là con của Hồ Chí Minh♪」
ベトナム人の客が上機嫌でビール飲んで歌っている。
なんか妙にムズムズする気分だ…
わたしはグァバジュースを頼み、ゆっくり飲んでいた。
ベトナム人の客「あなた、người nước nào ?
?」
ひとみ「え?」
話しかけたベトナム人の客が連れの客に叱られてる…
ベトナム人の客「あ、すみません。おくにはどちらでっか?」
ひとみ「日本人ですが…」
ここは日本だ、わたしが日本人なのもわかるはず。芳華はいい人だけど、ベトナム人ってやっぱり危ない人たちかも…
わたしはすぐに店を出ようと思った。
??「 Mày !」
男たちの後ろから大きな声が聞こえた
わたしに話しかけてきたベトナム人の男たちが黙った。
ベトナム人の女性客「すみません…この人たち、あなたが1人でいたから心配になったみたい。それに酔っ払ってるし、不快にさせたらごめんなさいね?」
ひとみ「いえ…日本語お上手ですね?」
フォン「日本に5年も住んでいるからですね。私のお名前はフォンです。よかったら私たちと一緒に食べませんか?」
ひとみ「え、あ…」
フォン「お名前は?」
ひとみ「ひとみです…」
抗う間もなく一気に心に踏み込まれる気分がした。
でも、この人は妙に安心できるような気がする。
ひとみ「でも、私お金が…」
フォン「大丈夫!大丈夫!さあ、座って座って!遠慮しないで食べてくださーい!」
後でこの食事を請求されるのだろうか?
騙されてるかもしれないという恐怖もあってあんまり食べられなかった。
フォン「どうしたんですか?食べて!食べて!」
ひとみ「……どうして私を誘ったんですか?」
フォン「え?なんでですか?」
ひとみ「後で、お金請求したりとか…」
フォン「えー!?なんでー!?そんなことしないよ?」
ひとみ「……」
芳華がベトナムで言ってたことを思い出す。
芳華は好きだけど、正直ベトナム人を信用しているわけではない。
フォン「ちょっとまってね?」
フォンさんが大声で何か言い始める。
すると周りのベトナム人は財布からお金を出し始めた。
そのお金を店員に渡すとレシートをもらった。
フォン「ほらみて、もうお金は大丈夫だよ。これなら食べられますか?」
ひとみ「……」
意味がわからなかった。
どうしてここまでするんだろう…
フォン「ベトナム人は悪い人もいっぱいいるけど、いい人もいるのよ?」
ひとみ「それはわかりますが…」
出された料理を一口食べる
とってもおいしかった。
二口、三口と食べ始める
ひとみ「おいしいですね、これ。」
フォン「そうおいしいよ!ビールは飲む?」
ひとみ「まだ未成年なので…」
フォン「そうか、ごめんなさいね。」
しばらく食べてると隣にさっき話しかけた人が立っていた
ベトナム人の客「うぅ…すみません…」
フォン「ちょっと!」
フォンさんが間髪入れず怒った。
その後フォンさんとその人がその場で話してる。
フォン「ひとみさん、マンくんが謝りたいんだって。さっき怖がらせちゃったから。」
マン「うぅ…すみませんでった…」
グレーの髪に染めたその怖そうな見た目からは思えない弱々しい日本語だった。
フォン「マンくんはとっても優しいだから、一緒に話してあげてくださいね。」
マン「à…おニャまえは…?」
ひとみ「ひとみです。」
マン「ワタシは、マンさんでっ。どぞよろしくお願いしまっ。」
とっても変な日本語だった。ベトナム人にとって日本語は難しいのかもしれない。
ひとみ「やっぱり日本語は難しいですか?」
マン「はい!難しいですが面白いです!」
急にネイティブのような日本語になった。
周りがどっと笑う。
フォン「マンくんはbộ độiなんだよ。」
フォンさんが耳打ちした。
ひとみ「ボドイ?」
フォン「VISAがないの、だからとっても悪い人…」
心臓がドキドキした。
フォンさんの『悪い人』という言葉もあるけどわたしはこのマンという人に人生を変えられてしまうかもしれない……
根拠はないけどそんな感じがした……
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