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【第2回 その情報、AIへ入れて大丈夫ですか】情報漏洩が怖い初心者のための、生成AI安全利用Q&A

第2回 その情報、AIへ入れて大丈夫ですか

情報漏洩が怖い初心者のための、生成AI安全利用Q&A


こんにちは、ぜっとです。

前回は、

「AIを使うのは、手抜きやズルなのか」

という、生成AIを使うことへの心理的な抵抗について書きました。

生成AIは無理に使わなくてもよい。

いきなり重要な判断を任せる必要もない。

まずは、人間が簡単に確認できる小さな仕事から試せばよい。

そんな内容でした。

ただ、実際に仕事で使ってみようとすると、次の不安が出てきます。

この情報を入力して、本当に大丈夫なのだろうか。

お客様の名前。

電話番号。

売上や原価。

従業員の情報。

取引先との会話。

社内会議の内容。

AIは便利そうだけれど、情報が外へ漏れるのが怖い。

この心配は、決して考えすぎではありません。

むしろ、仕事で生成AIを使うなら、最初に持っておくべき感覚です。

大切なのは、怖がって一切使わないことでも、便利だからと何でも入力することでもありません。

入力してよい情報と、入力してはいけない情報を先に分けること。

今回は、生成AI初心者が特につまずきやすい情報漏洩への不安を、Q&A形式で整理します。




Q1.そもそも、AIでいう「情報漏洩」とは何ですか?

情報漏洩と聞くと、

「入力した内容が、そのままインターネット上に公開される」

という場面を想像するかもしれません。

もちろん、それも情報漏洩の一つです。

ただ、仕事で気をつけたいのは、それだけではありません。

たとえば、

  • 入力する必要がなかった個人情報を送信する

  • 会社の機密情報を、許可されていないサービスへ入力する

  • AIの回答を共有し、その中に内部情報が残っている

  • 会話の共有リンクを、誤った相手へ送る

  • AIが作った資料に、元の入力情報が残っている

  • 従業員がそれぞれ別のルールでAIを使う

こうしたことも、情報管理上の問題になります。

つまり、情報漏洩とは、

AIが勝手に情報を漏らすことだけではなく、
人間が入力・保存・共有する過程で、情報を適切に扱えなくなること

まで含めて考える必要があります。

生成AIを使う前に、

「この情報は、そもそも外部サービスへ入力してよいものか」

と立ち止まる。

まずは、ここが出発点です。




Q2.お客様の名前や電話番号を入力してもよいですか?

原則として、そのまま入力しない方が安全です。

たとえば、次のような情報です。

  • 氏名

  • 住所

  • 電話番号

  • メールアドレス

  • 生年月日

  • 顔写真

  • 会員番号

  • 注文履歴

  • 配送先

  • クレームの詳しい内容

  • 家族構成や健康状態

  • 個人を特定できる会話記録

文章を作るために、これらをそのまま入力する必要は、ほとんどありません。

たとえば、クレームへの返信文を考えたい場合でも、

〇〇県〇〇市の佐藤花子さんから、7月30日に購入した商品のことで電話がありました。

と入力する必要はありません。

次のように置き換えられます。

お客様から、購入した商品の品質について連絡がありました。
事実確認をしたうえで、丁寧に返信する文章を考えてください。

名前、住所、電話番号、購入日時などを外しても、文章の下書きは作れます。

必要なのは、相手を特定できる情報ではありません。

何が起きたのか、何を伝えたいのか、どのような対応を目指すのか。

その構造です。




Q3.名前を伏せ字にすれば大丈夫ですか?

伏せ字にしただけでは、十分とは限りません。

たとえば、

〇〇市〇〇 △丁目に住む、80代の男性のお客様
毎週火曜日の午前中に来店する
先月、特定の商品についてクレームを申し出た

と書けば、名前がなくても、関係者には誰か分かる可能性があります。

個人を特定する材料は、名前だけではありません。

年齢。

地域。

勤務先。

役職。

来店日時。

購入商品。

家族関係。

出来事の時期。

複数の情報が組み合わさることで、本人が分かってしまうことがあります。

匿名化するときは、単に名前を消すのではなく、

その仕事に必要のない具体情報を減らす

ことが大切です。

置き換えの例

「佐藤さん」
→「お客様」

「〇〇店の惣菜担当者」
→「担当スタッフ」

「7月28日午後6時10分」
→「夕方」

「売上が87万4,320円」
→「通常より約1割低い」

「A社の田中部長」
→「取引先の担当者」

細部を削っても、目的を達成できるなら、その方が安全です。




Q4.売上や原価は入力してもよいですか?

売上や原価は、個人情報ではありません。

しかし、会社にとっては重要な内部情報です。

そのため、

個人情報ではないから、自由に入力してよい

とは限りません。

たとえば、

  • 店舗別の売上

  • 商品別の原価

  • 粗利益率

  • 仕入れ価格

  • 取引条件

  • 借入金額

  • 預金残高

  • 資金繰り

  • 給与

  • 見積金額

  • 未公開の販売計画

こうした情報は、競合や取引先に知られれば、経営へ影響する可能性があります。

まず確認すべきなのは、

その生成AIを、会社が業務利用してよいと認めているか

です。

個人で使っている無料アカウントへ、会社の数字をそのまま入力する。

スタッフが自分の判断で、売上資料や決算書をアップロードする。

このような使い方は避けた方がよいでしょう。

どうしても分析の練習をしたい場合は、実際の数字を使わず、次のように変換できます。

実数を使わない方法

  • 売上金額を前年比へ置き換える

  • 金額を100とした指数で表す

  • 正確な原価率を、おおよその範囲にする

  • 店名や商品名をA店・B商品へ置き換える

  • 数字の一部を架空のものにする

  • 分析方法だけを質問する

たとえば、

惣菜部門の売上が前年同期比92%でした。
廃棄率は改善していますが、夕方の欠品が増えています。
確認すべき項目を整理してください。

この程度でも、確認項目の整理はできます。

正確な売上金額や原価を渡さなくても、AIの支援を受けられる仕事は多くあります。




Q5.社内会議の内容を入力してもよいですか?

会議内容も、扱い方に注意が必要です。

会議には、さまざまな情報が混ざっています。

  • 売上や利益

  • 新規事業

  • 取引先との交渉

  • 人事異動

  • 従業員の評価

  • 健康上の事情

  • 家庭の事情

  • 採用や退職

  • 苦情やトラブル

  • 将来の出店・閉店計画

特に気をつけたいのが、人に関する情報です。

たとえば、

惣菜担当の○○さんは仕事が遅く、家庭の事情で欠勤も多い。配置転換すべきでしょうか。

という内容を、そのまま入力するのは避けた方がよいでしょう。

AIへ相談するなら、

ある部門で作業の遅れと欠勤が重なっています。
個人を責めずに、業務量、配置、教育、手順、勤務体制の観点から確認事項を整理してください。

という形に変えられます。

個人への評価をAIに委ねるのではありません。

問題を構造へ分けるところだけ、手伝ってもらいます。

人事、採用、処遇、懲戒などは、人の生活へ大きく影響します。

AIの回答だけで決めず、会社の責任者や必要な専門家が確認することが前提です。




Q6.どんな情報なら、比較的入力しやすいですか?

初心者は、公開されている情報や、自分で作った一般的なメモから始めると安全です。

たとえば、

  • 公開済みの商品名

  • 店頭で表示している販売価格

  • 営業時間

  • 公開済みのチラシ

  • 一般的な商品特徴

  • 季節の食卓提案

  • 個人を特定できない売場メモ

  • 自分の考えをまとめた文章

  • 社内機密を含まない作業手順

  • 架空の事例

  • 公開を前提にしたSNS文章

などです。

生成AIを使い始めたばかりの段階では、

間違って入力しても、大きな問題になりにくい情報

から試します。

最初から顧客名簿、決算書、人事資料、契約書を使う必要はありません。

まずは、

「今日の売場で気づいたこと」

「公開中の商品をどう紹介するか」

「スタッフへ伝える一般的な連絡文」

といった小さな仕事で十分です。




Q7.ChatGPTへ入力した内容は、AIの学習に使われるのですか?

利用しているプランや設定によって扱いが異なります。

2026年7月時点で、個人向けChatGPTでは、「データコントロール」から、会話をモデル改善へ使用するかどうかを選択できます。「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、新しい会話はモデル改善のための学習には使用されません。(OpenAI Help Center)

ただし、

設定をオフにしたから、何でも入力してよい

という意味ではありません。

会社が入力を禁止している情報。

法令や契約上、外部へ出してはいけない情報。

お客様から預かっている個人情報。

パスワードや認証情報。

こうしたものは、設定にかかわらず入力しないことが基本です。

データ設定は、安全に使うための一つの機能です。

しかし、最も重要なのは、

入力する人が、必要以上の情報を渡さないこと

です。




Q8.一時チャットを使えば安心ですか?

一時チャットは、通常の履歴へ残したくない会話を行うための機能です。

OpenAIの公式説明では、一時チャットは履歴に表示されず、メモリを作らず、モデルのトレーニングにも使われません。また、安全上の目的から一定期間保持された後、30日以内に削除されると説明されています。(OpenAI Help Center)

便利な機能ですが、一時チャットも秘密金庫ではありません。

一時チャットだから、

  • 顧客名簿を入れてよい

  • パスワードを入れてよい

  • 未公開の契約書を入れてよい

  • 従業員の健康情報を入れてよい

ということにはなりません。

一時チャットは、

通常の履歴やメモリに残さず使うための機能

として理解した方が安全です。

入力してよい情報かどうかの判断は、別に必要です。




Q9.会社で使うなら、有料の法人向けプランの方が安全ですか?

ChatGPT BusinessやEnterpriseなどの法人向けサービスでは、組織のデータはデフォルトでモデルの学習に使用されないと、OpenAIは説明しています。また、Businessのデータは通信時と保存時に暗号化されるとされています。(OpenAI)

仕事で継続的に利用する場合、個人アカウントを各自が勝手に使うよりも、

  • 会社として契約する

  • 利用者を管理する

  • 使用ルールを統一する

  • 退職者のアクセスを管理する

  • 会社用と私用を分ける

といった運用がしやすくなります。

ただし、法人向けプランであっても、何でも入力してよいわけではありません。

会社の規程。

顧客との契約。

秘密保持義務。

個人情報の管理方法。

業界固有のルール。

これらを確認する必要があります。

安全性は、サービスの機能だけで決まりません。

契約、設定、社内ルール、人の運用がそろって初めて高まります。




AIへ入力する情報を、三つに分ける

迷ったときは、情報を三つの箱へ分けてください。

1.そのまま使いやすい情報

公開済みであり、漏れても大きな問題になりにくい情報です。

  • 公開中の商品情報

  • 店舗の営業時間

  • 公開価格

  • 公開済みのSNS文章

  • 一般的な業務手順

  • 自分で作った個人的なメモ

  • 架空の事例

2.加工して使う情報

目的には必要ですが、そのまま入力する必要はない情報です。

  • 売上金額

  • 原価率

  • 店舗名

  • 取引先名

  • 従業員の事例

  • お客様からの相談

  • 会議内容

名前を役割へ変える。

実数を比率や指数へ変える。

詳しい日時を「夕方」「先週」へ変える。

固有の商品名を「A商品」へ変える。

必要な構造だけ残します。

3.原則として入力しない情報

漏れた場合の影響が大きい情報です。

  • パスワード

  • 暗証番号

  • クレジットカード情報

  • 銀行口座の認証情報

  • APIキー

  • 顧客名簿

  • 個人番号

  • 従業員の健康情報

  • 未公開の人事情報

  • 秘密保持契約の対象情報

  • 未発表の経営計画

  • 許可なく入手した第三者の情報

迷うものは、無理に入力しません。

責任者へ確認する。

一般化して質問する。

架空の情報へ置き換える。

この三つのどれかを選びます。




「入力しないと相談できない」は思い込みかもしれない

生成AIへ相談するとき、

詳しく説明しなければ、よい回答が出ない。

そう思うかもしれません。

確かに、材料が少なければ、回答も一般的になります。

しかし、詳しく伝えることと、個人情報や機密情報を渡すことは同じではありません。

たとえば、

○○さんが、○月○日に、○○という商品を購入して苦情を言った。

という詳細がなくても、

購入商品への苦情を受けました。
事実確認前に謝罪しすぎず、相手の不快感には配慮する返信文を作ってください。

と依頼できます。

AIが必要なのは、名前ではありません。

目的です。

住所ではありません。

状況です。

電話番号ではありません。

伝えたい内容です。

ここを分けると、生成AIはずっと使いやすくなります。




小さな会社でも、最低限のルールは決めておく

会社で生成AIを使い始める場合、最初から分厚い規程を作る必要はありません。

まずは、次の五つだけでも決めておくとよいでしょう。

生成AI利用の簡易ルール例

1.個人情報を入力しない

お客様、従業員、取引先を特定できる情報を、そのまま入力しない。

2.機密情報を勝手に入力しない

売上、原価、契約、人事、未公開計画などは、責任者へ確認する。

3.公開前に人が確認する

SNS、POP、メール、資料は、AIが作っても必ず人が確認する。

4.使用するサービスを決める

各自が知らないサービスへ登録するのではなく、会社が認めたものを使う。

5.迷ったら入力せず相談する

入力後に悩むのではなく、入力前に確認する。

この五つだけでも、無秩序な利用はかなり減らせます。

重要なのは、

「AIを使ってはいけない」

と禁止することではありません。

何を守りながら、何に使うのか

を会社として決めることです。




AIへ入力する前の5秒確認

送信ボタンを押す前に、次の五つを確認してください。

  • 誰かの名前や連絡先が入っていないか

  • 会社の秘密や未公開情報が入っていないか

  • 正確な数字を渡す必要が本当にあるか

  • 一般化や匿名化ができないか

  • この内容を責任者に見られても説明できるか

一つでも不安があれば、送信を止めます。

削る。

置き換える。

責任者に聞く。

別の方法を使う。

生成AIは、入力を急かしません。

急いで送信しているのは、たいてい人間の方です。




今日の15分実践

過去に作った社内連絡文やSNS文章を、一つ選んでください。

その文章をAIへ入れる前に、次の三つへ分けます。

そのまま使える部分

公開情報や一般的な説明。

置き換える部分

名前、店舗名、金額、日付、取引先名。

削除する部分

個人情報、秘密情報、認証情報、入力目的に不要な詳細。

加工した後、AIへ次のように頼みます。

以下の文章を、相手に伝わりやすい社内連絡文へ整えてください。
書かれていない事実を補わず、内容を変えないでください。
個人や会社を特定する情報が残っている場合は、文章を作る前に指摘してください。

AIに文章を作らせるだけでなく、

危険な情報が残っていないかを確認させる

使い方もできます。

ただし、最終確認は人間が行います。




情報を守ることと、AIを使うことは両立できる

情報漏洩が怖い。

そう感じるのは、仕事を雑に扱いたくないからだと思います。

お客様から預かった情報を守りたい。

会社の信用を失いたくない。

従業員を傷つけたくない。

取引先との約束を守りたい。

その感覚は、AI活用の邪魔ではありません。

むしろ、安全に使うための土台です。

生成AIを仕事で使うときに必要なのは、

何でも入力する勇気ではありません。

入力しない判断力です。

名前を消す。

数字を置き換える。

具体情報を一般化する。

重要な資料は入力しない。

迷ったら責任者に確認する。

ここを守れば、生成AIへ渡せる仕事は十分にあります。

AIは、詳しい秘密を渡さなくても使えます。

まずは公開情報と、自分で作った短いメモから。

小さく、安全に始めてみてください。




次回予告

次回は、

ChatGPTは、検索サイトと何が違うのですか?

という疑問を扱います。

AIは正しい答えを教えてくれるのか。

なぜ、自信満々に間違うことがあるのか。

最新情報を知っているのか。

どこまで信用し、どこから人間が確認するのか。

生成AIが得意なことと、苦手なことを、初心者向けに整理します。

※本記事は、一般的な生成AI利用の考え方を整理したものです。実際の業務利用では、利用中のサービスの最新規約、会社の情報管理規程、契約上の秘密保持義務などを確認してください。



AIに任せやすい仕事から始めよう!


AIを使うまえに。自分の脳みそのポテンシャルを使い切る方法


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