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20001016 近視の手術

 近視$${^{*1}}$$は不便で仕方がない。0.1以下の極度の近視だと眼鏡やコンタクトレンズがないと殆どのものがはっきり見えない。風呂に入るにも特に旅館などの大浴場では転んだりすると危ないので眼鏡を掛けたまま入る。

 近視は眼球が大きいこと$${^{*2}}$$と角膜で光を屈折させる能力が高いこと$${^{*3}}$$とが原因であるようだ。通常、眼球の大きさは2.5cmぐらいらしいが、目の悪い人は3cm程度の場合もあるという。近視の人の目が魅力的に見える場合があるのは、普通の人よりも実際に目が大きいからと言えるようだ。この原因よって網膜の手前ででピントが合ってしまい像がぼけてしまう。その代わり屈折させる能力が高いのでごく近くのものにはピントが合いやすい。紙幣のマイクロ文字$${^{*4}}$$などは虫眼鏡がなくても十分読みとることが出来る。

 近視を治療する方法はこの原因を取り除けばよい。眼球が大きくなっているのはどうしようもないようだが、屈折の能力の方は何とかなりそうである。

 目のピントの調整は水晶体で行っている$${^{*5}}$$が、目の光学系は角膜と水晶体で構成されている。つまり角膜もレンズの役目をしている。光の屈折の具合を変えるためにはこの角膜の形状を何らかの方法で変えてやるのである。近視治療$${^{*6}}$$の場合は角膜を平らに近づけ、遠視の場合は逆に丸みを付ける。乱視の場合は歪みにあわせて削ることになる。

 この角膜を削るのにレーザを使う。レーザで削るときにまず角膜の薄皮をかんなで削って角膜の蓋のようなものを作り、その蓋をめくってレーザを照射して角膜を平らにしたり丸みを付けるように削ったりしてから、最初に作った蓋をする。

 この手術*7に使うレーザはエキシマレーザと呼ばれる紫外線のレーザ$${^{*8}}$$である。SFに登場する破壊光線や工場の溶接機$${^{*9}}$$などで使われるレーザは赤外線レーザで、照射された部分が熱せられるのが特徴である。紫外線レーザの場合は熱ではなく、直接的に物質を構成する分子や原子の結合を切り離す作用$${^{*10}}$$を及ぼす。分子や原子の結合を切り離してしまうので、紫外線レーザの場合も破壊光線に使えそうだが、紫外線は空気で吸収され易いので遠距離まで到達させようとすると大出力が必要となり巨大な装置になってしまい武器として成り立たなくなってしまうからであろう。宇宙空間ならば使える。

 角膜を削る手術にはこの紫外線レーザーの特徴が活かされている。角膜を構成する分子が紫外線レーザによって角膜自体に熱が発生することなく、しかも非接触で削れていくのである。熱が出ないので溶接のような融ける部分が一切出ない。刃物で切ったような加工$${^{*11}}$$が可能である。

 私は強度な近眼なので眼鏡なしの生活に憧れる。治療の原理など解ったつもりになれるのだが、何となく目玉の手術は恐い。手術している間はその光景が見えるのだろうか。考えただけでもぞっとする。

*1 第92回:視力とは何か
*2 強度近視外来
*3 第52回:近視は治るか
*4 20000730 二千円札
*5 □眼の焦点(ピント)合わせは「毛様体筋」で行われている!
*6 第32回:近視の手術
*7 LASIKについて
*8 INDEX848K-b.jpg
*9 レーザ加工|技術紹介|東成イービー東北
*10 20000310 机上の空論
*11 Q-11-01-16 エキシマレーザによるアブレーションとはどのような現象ですか。適用事例には何がありますか。

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