難攻不落の要塞=契約書の攻略法とは?:業界コラム5
※今回のコラムは、海外権利元との交渉と契約を俯瞰した内容です。これから映画業界に入って買い付けを行うプロになりたい人にとって、かなり実践的で有益な情報を集めました(裏技もあり)。
「買い付け王に、俺はなる!」という本気の方には、ぜひ読んでいただきたいです。
権利元が「バーゲン・セール」に入るとき
「映画の権利にバーゲン・セールなんてあるの?」と驚かれる方も多いかもしれませんが、実は、あるんです。
もちろん、家電量販店のように「○○%オフ!」と派手に値下げが告知されるわけではありませんが、確実に“買い時”とも言えるタイミングが存在します。
結論から言ってしまえば、「権利元の決算期の直前」です。とりわけ、毎年12月に会計年度末を迎える権利元の場合、11月中旬から12月初旬にかけてが、その“セール時期”に該当します。
では、なぜこの時期に値引き交渉がしやすくなるのか?理由はシンプルで、「決算前に売上を積み上げたい」からですね。
映画の権利元、特に海外に権利許諾を行う会社の多くは、映画やテレビ番組のライブラリ作品(旧作映画群)を保有しており、年間を通してそれらの権利を世界中に売ることで利益を得ています。そして、セールスの担当者には、四半期ごとの決算、特に年末の本決算に向けて、売上高をできるだけ積み上げるプレッシャーがかかります。
業界では10月開催の「MIPCOM(仏・カンヌ)」、11月開催の「AFM(アメリカン・フィルム・マーケット/米・ラスベガス)」といった国際フィルムマーケットが、毎年秋に集中しています。表向きには新作や話題作の売買が主目的ですが、「決算期に合わせてライブラリ作品(旧作映画)をまとめて売りたい」という権利元側の意図も潜んでいます。
権利元にとって、ライブラリ作品は売上を手っ取り早く作るための手段として有効です。原価(映画の製作費)の償却は終わっていますし、マスター素材なども過去に制作されていて、売った際にコストはほとんどかかりません。つまり、ライブラリ作品は利益率が非常に高い商材です。
原価がかからないということは、多少値引きをしても逆ザヤ(原価が利益を上回る)はありません。
一方、新作は売値も高く、安くて数万ドル、高いものは数百万ドル以上です。決算前に売れれば御の字ですが、売れなければライブラリ作品で足らない分を補填する、という経済事情も出てきます。ですので決算期の前には、多少値引きしてでもライブラリ作品を多数売り、数字を確保する方針に舵を切る会社も多いのです。
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