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『道』 白黒だと侮るな。映画史に残る傑作。ザンパノとジェルソミーナは無条件に泣ける。

評価 ☆☆☆☆



あらすじ
イタリアの海辺の町。軽度の知的障害のある女性ジェルソミーナは妹のローザが死んだことを知らされる。ローザは旅芸人の粗野で凶暴なザンパノに買われて彼のアシスタントをしていた。実家は大変貧しく母親はローザの代役としてジェルソミーナを二束三文でザンパノに売る。ジェルソミーナは障害で働いたことがなかったが、ザンパノのオート三輪に乗り込む。



映画検定というものがあるらしい。どうなんでしょう? キネマ旬報が企画しているようだ。昔、キネマ旬報の別冊か何かで映画クイズがあったけれど意外とつまらなかった。出題が古すぎる。



昔の映画を知っているからといって映画通にはならない。古い映画をいっぱい知っているひとだからと単純にリスペクトできるのか? 僕は正直できない。あるFM局で1920年代の音楽ばかりを紹介していた番組を知っている。最初は面白いな、と思って聞いているけれど、何度か聞くとやはりつらい。そういうものだ。



この時代に、グリフィス万歳! とか、リリアン・ギッシュ最高! なんて言われても困る。そういう人のどのくらいの割合でルビッチを全作品見てるのだろうか。プレストン・スタージェスの面白さをどれだけ語れるのだろうかも、疑問。同じ地平で近江俊郎が語れるのか?



かといって、古い=悪いわけではない。良いものも数多くある。というわけで、最近、面白い映画がないので映画検定で観ておくべき映画100本というのがあったから、それに掲載されている作品を観直した。



『道』。いいよね。1954年公開の映画。監督はフェデリコ・フェリー二。出演はアンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ。泣けます。前期フェリーニの中では『カビリアの夜』と『道』が気に入っている。ジュリエッタ・マシーナのジェルソミーナという女性像がよくできている。アンソニー・クインもいい。



ジェルソミーナを無垢な女性像の象徴と捉えている評論も多いけれど、実はそうじゃないんじゃないか、という説もある。結構、計算高い女性なんじゃないか。あのイノセントさそのものが演技なんじゃないの? という見方は面白い。僕もそういう感じがする。



実は、この映画を単なるイノセントな女性と落ちぶれた男とのラブロマンスと捉える見方が多い中、実際は真逆な感じじゃないかな、という見方がある。イノセントなふりをし続けている女性の計算高い愛、冷酷で非常な行為をする男の、最後に残された人間性が巧みに描かれているのではないか。



いや、巧みに描かれているのではない。そういう男女の関係を越えたところにある愛情と呼べる何か、利己的な部分を突き抜けた何かを見せてくれる。監督のフェリーニが示した『道』の感動は、そこが純粋なくらいに描かれている。この映画を観て涙しない人を見たことがないくらい。



いや、泣けるでしょう。これ。無条件に。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-10-16



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