『マンガローグ:火の鳥』が想像以上に“ヤバかった”件
「マンガを浴びる」って何やねん。
最初に聞いた時、正直こう思いましたよ。
体験型コンテンツ?
ようわからん謎すぎるイベントなんで
申し訳ないけどスルーでもいいかな…
なんて思っていましたよ。
大変失礼いたしました。
そんな自分をぶん殴ってやりたい。
はい、行って参りました。
もうたまらんです。
最高でしたわ…。
感動に打ち震えている自分がいました。

これ、ただの朗読劇でもない。
ただの映像演出でもない。
「マンガそのものに飲み込まれる60分」でした。
まず会場入った瞬間から空気がおかしい
会場は、MoN Takanawa: The Museum of Narratives。
名前からしてもう
「Narratives(物語)」とか言うてますからね。
しかも普通の劇場と違って、
入場から徐々に地下深くに進んでいく構造になっていて
「これから物語の中に沈めます」みたいな圧を感じる。
もうこの時点で、
「あ、今日は軽い気持ちで帰れんな」
的な空気が漂い散らかしていました。
そして劇場に至る通路には
『火の鳥 未来編』の名セリフやビジュアル。
否応なしに『火の鳥 』の世界観に誘われてる感覚がハンパない。
ファンなら立ち止まってガン見したいところ
しかし
順番に案内されるので
列をはみ出してそこで立ち止まる勇気がなく断念…。
(結局上演後にゆっくり見れるけどね)


いざ会場。
舞台上には巨大スクリーン。
そして謎のロボットアーム。
なにやら怪しげな仕掛けが目につき
これから巻き起こる異様な世界観に期待が膨らむ。
この『MANGALOGUE:火の鳥』、
説明むずいんですけど、めちゃくちゃ乱暴に言うと、
“劇場全体で一冊のマンガを読む”体験
といった感じ。
何だか良く分かんないかと思いますが、
マンガの大きな特徴として
自分のペースで自分の間で読む。
この特権をフル無視して皆で読んだら「それはもう映画やないかい!」
と突っ込みを入れたくなりますよね。
でも…、
「マンガをみんなで読む」って事が、こんなに凄いとは…
「マンガを浴びる」ってこういう事かぁ…。
これは体験した人にしか分からない感覚だと思います。
語彙力を失う感動がそこにはあるんですよ。

例えば
実際に紙のページをめくる人がいるんですけど
この方がめっちゃ大事って言っても分かんないですよね。
いい味出してるって言っても
「何が…?」ってなもんですよね。
そりゃそうです。
ボクも実際に体験するまではそう思っていましたし。
いくら言語化しても
こんな伝えずらい感覚も初めてかも知れません(笑)
そりゃあそうですよ。
なんせマンガローグなんて初めての体験なんですから。
演劇、映画、マンガ
これらが融合した総合エンタメといえるものでしたが
最先端技術で表現されたものかと思いきや
オールデジタルではないアナログさがやけに興奮します。
わざわざページをめくったり
絶妙なタイミングでの言葉のやりとりなど
「これどうやってんの?」
って技術が高度すぎて内容に集中できないレベルにマジでビビる。
気になって、気になってしょうがない。
だから「朗読付きのマンガ」だと思ったら大間違い。
ただのデカイスクリーンで見るアニメとも違う。
近未来のマンガの読み方を具現化したもの
と言ってもいいのかも知れない。
読者の想像そのものを映像化したような…
はたまた、手塚治虫が紙の上でやろうとしていた
脳内宇宙を再現したとでもいうべきか。
これをデジタルとアナログのハイブリッドで攻めてくる。
いや~参った。
当然ながら最新技術で映像化してくる演出もエグいのよ。
特に『未来編』の中核とも言える宇宙規模の哲学シーン。
「コスモゾーン」の演出なんか、
あれだけ死ぬほど読み散らかしたのに完全に飲み込まれた。
これ、初見で『火の鳥 』観た人はホラー映画なんじゃね?
って勘違いさせるくらいゾッとする怖い迫力にビビる。
油断してる子どもなら号泣するレベルの絶望感を味わえます。
でもそれが、
めちゃくちゃ『火の鳥』っぽい。
恐るべし手塚治虫と言うべきか
この演出を制作したクリエイターさんガチで
『火の鳥』読み込んでる強者ですわ。
色んな意味で革命的なライブでした。
スト-リーも
この現代に取り上げるテーマになっているのが良く分かる。
AIに思考を委ねた人類の末路を現代版に上手く演出してて
全く古臭く感じないどころか初見の方でも十分に楽しめる構成は見事。
もち手塚先生の原作の凄まじさは言わずもがなですけど
原作を変えずにこれだけ現実的に感じるのは
制作者のガチの手塚愛を感じます。
アレンジとも違う演出の妙味だと感じましたね。
演出で言えば「間」
この公演、60分かけて一冊読むんですが、
これが絶妙。
普段マンガ読む時って、おそらく多くの人が
作者の意図より早く読み進めていると思います。
でもこの演出では、
コマとコマの「間」を味わわされる。
沈黙。
呼吸。
余韻。
「考える時間」が与えられる。
故に、『火の鳥』の哲学がジワる。
これ、
普通に一人で読む読書体験では届かない感覚だと思います。
コマ割り、映画的演出、時間感覚、読者の心理誘導。
これらが現代テクノロジーと融合して
最強のエンタメに昇華されたイメージ。
いや~素晴らしい。
今回の『MANGALOGUE:火の鳥』、
マンガの新しい表現の「未来性」を感じさせる素晴らしいライブでした。
他のマンガや小説などでもやるのかな?
是非一般的なイベントとして継続して欲しい。
(なんせ今回は上演期間が短すぎてスケジューリングがさぁ)
そして改めて『火の鳥』が凄まじいマンガだと再認識。
50年以上前経っても全然古くないし
むしろ時代が追いつくたびに、より洗練されていく切れ味すらある。
怖っ!
