日本がマンガ大国になり得たワケ。京都国際マンガミュージアムに行って来た
古都・京都、その中心地。
四条河原町よりほどよく離れた市街地に、
ひときわ静かに佇む建物があります。
それこそ、京都国際マンガミュージアム

館内に入る前の
入り口横に併設されているカフェの壁面に描かれているイラストの数々
有名漫画家さんたちの圧巻の直筆イラスト
世界一贅沢すぎる壁に飯なんか喰っているヒマなんぞありません。
(喰ったけど…)

そしていよいよ本館へ
ここはかつて小学校だった校舎を改装してできたミュージアムなので
まんま学校の廊下です。
その学び舎の廊下
壁一面を埋めつくすマンガの数々、その数、なんと約5万冊。
廊下を歩く、ただそれだけの行為が
マンガの歴史を辿るかのような気持ちにさせてくれるまさに漫画の回廊。
漫画の壁に埋もれたいド変態さんにとっては聖地のようなところです。
しかもただ漫画が並んでいるってだけでなく
古びた学校というシチュエーション、バックボーンが
妙な気持ちにさせてくれます。

…というのも
古臭い考えかも知れませんが「学校」と「マンガ」なんて
最も遠い位置にあるものですよね。
相容れないといいますか…
現代では全くそういう概念がないのかも知れないけど
ボクが小さい頃には、学校にマンガなんてあり得ないわけで
マンガを持ってこようものなら先生にシバかれていましたし
なんなら没収ですよね。
返ってきませんし捨てられていましたよ。
(今ならPTAが怒鳴り散らすんだろうなぁ…)
そのくらい学校とマンガは対極にあるもので
学校でマンガを読む行為自体が背徳行為だった訳です。
その背徳の地で、過去の学び舎でマンガを読む。
ここを訪れた人は意識せずともその意識下に吸い寄せられる気分に
なるんじゃないかなって勝手に想いを馳せたわけです。
そんな奇妙な融合がこのミュージアムにはあって
昭和レトロな建築物とマンガという組み合わせが
思いのほかマッチしているんです。
昭和レトロというより明治時代の建物(らしい)のようなので
モダニズム建築の際たるものといった方が適切かも…。
それらとマンガとの調和が
非常に素晴らしい空間として成立しているのがビビリます。
学校跡地という側面が
建物にダンジョン的要素を感じさせるのもポイントで
学校という同じような景色が連なって重なり合う様が
迷子になりそうでならない雰囲気をめちゃくちゃ醸し出していて
宝さがし的な高揚感とワクワク感をめちゃくちゃ助長させています
これは決して誇張とか思い出補正なんかじゃなく
建物自体が持っている構造、
学校という誰しもが一度は触れている経験からくる感覚。
それらが抜群の調和で成り立っているんですよね。
懐かしさと新鮮さがエゲツないくらい心地良かったです。
あと外国人の方が多かったのも印象的でしたね。
京都という日本屈指の観光地だからなのか
はたまた海外のマンガファンの方たちが「マンガの聖地」としてこの地を
巡礼しているのか定かではありませんが
京都という伝統と静寂の地において
神社を訪れる事と同様の観光地としてその存在価値があるように思います。

そもそもマンガミュージアムって耳にした時に
おそらく多くの方が
「なんで京都なん?」って思ったんじゃないでしょうか。
正直ボクの第一印象もそうでした。
ただね、
京都という文化的価値とマンガとの相性が抜群に良いんですよね。
正確には後付けで良かった。…となるんですが
多くの外国人が訪れるこの地において
日本のポップカルチャーのミュージアムが存在する意義は
予想以上に大きいと感じました。
…でなんで京都なの?
ってところが気になったんで調べました。
これを突き詰めると、とある大学に行きついたんです。
それが京都精華大学

京都精華大学って、
日本で初めてのマンガ学部を設置した大学らしいんです。
今では「マンガを専門に学ぶ学部」は他の大学にもあるようですけど
最初にマンガ専門を開校した意義は非常に大きい。
しかもなんと
竹宮惠子さんが2000年からこの大学の教授として指導していたそうで
竹宮さんって少女マンガの歴史を築いた巨匠ですよ。
その後、学長も務めていたそうですから、
にわかのマンガ大学じゃなくガチのマンガ大学です。
HP見ると卒業生に現在活躍している漫画家さんが多数おられるので
興味がある方は是非見られてください。
そんなマンガガチの京都精華大学と京都市との共同事業として設立されたのが「京都国際マンガミュージアム」というわけ。
これは興味深いですよ。
単なる私立の文化施設でもなく、商業施設でもない
大学と言うアカデミックな機関が運営に深くかかわっている。
これが他の多くのマンガ関連施設との大きな違いでしょう。
学問としてマンガを捉え、教えようとしている
その思想がこのミュージアムの根幹にあるということに他なりません
京都精華大学にはこんな一文があるんです。
「マンガは日本のポップカルチャーを担う重要な文化であり
歴史と学問で学ぶ必要性がある」
マンガを学問として研究して
文化として保存して、
未来へ継承していくという理念
いや~こういう背景を知ると
昭和世代の凝り固まった常識が吹き飛びますよ。ほんとに
教育機関でマンガを学ぶなんて
手塚先生ですら想像していなかった未来ではないでしょうか。
結論
めっちゃ素晴らしい場所でしたよ。
マンガ好きの方ならもちろん満足できますし
年配の方にも是非足を運んでみて欲しい。
むしろ若者より年配の方の方が楽しめるのではないかとすら思う。
単にマンガが沢山置いてある建物ではありません。
ここを訪れると、
マンガが学問の対象になりえるほど成熟した時間の流れを感じますし
建築、歴史、芸術、文化、これらを多層的に体感できる魅力があります
元小学校という神聖な建物が
マンガの文化遺産の発信地として蘇り
京都と言う都市がポップカルチャーに歴史的権威を与え
大学と言う学術的な土台が知的に支えているという
非常に奇抜でハイブリッドなミュージアムでありました。
マンガを読む時ってその世界に没入する醍醐味があるわけですが
このミュージアムにもその没入感があります。
是非ご自身で足を運んで頂きその空気感を感じて頂ければと思います。
それでは
