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490ページのハードカバー本を受注頒布した話

ゲームマーケット2026春に持っていった新作本の過程まとめです。
初めてのハードカバー本(上製本)制作に、初めての受注頒布…。
これって一体どうすりゃいいんだ!?と自分がつまずいた際に色んな方のnoteが参考になったので、自分の備忘録も兼ねてここに書き記すことにしました。
この記事が誰かの助けになれば幸いです。

あくまで自分の場合は、という記事です!万人に対応できる対処法ではないと思います。なので実際に製本する際はこの記事の内容を鵜呑みせず、さまざまなものを参考にしながら製作をがんばってください。
出来上がった本はきっと素晴らしいものになると思います。応援してます!



⓪本を作ろうのきっかけ

今回作ったのは、TRPG(テーブルロールプレイング)というジャンルの中の一つ、クトゥルフ神話TRPG(通称CoC)第6版のシナリオ集です。
扱う題材が1890年の魔法使いに関するシナリオだったため、魔導書のような児童書のようなハードカバー本を作成しようと思い立ちました。


①印刷所を決める

分厚いハードカバー本にしたかったので、まず上製本を作れる印刷所を調べました。
受注頒布で部数を決めてから製本をしたい…とも思っていたので、少部数から受け付けてもらえるところにしようと目途を立てました。
でもこれが意外と大変…!!!
上製本なら何ページあってもいいだろう、と勝手に思っていたんですが、ページ数を制限してるところが意外と多い!400ページを超えて印刷してくれるところが全然見つからなかったです。
会員登録しないと詳細が見れなかったり、注文できても信じられないほど高かったり(400P越えの上製本だからそりゃそう)、そもそもどこから注文すればいいのかわからない…等々、個人的な力不足もあったりでかなり難航しました…。

色々検討した結果、今回は大阪印刷株式会社(おたクラブ)様(以下敬称略)に頼むことにしました。
数百ページ印刷が可能で、他印刷所より比較的安価というのが決め手でした。初めて使う印刷所だったのでかなり緊張…。

神崎 旭様のnoteを参考にしました。自分にここまでの調べる力はない…!本当にすごいです


②ソフトを使って製本データを作る

おたクラブでは独自のテンプレートを採用しているので、そのテンプレートのサイズに合わせつつ制作していきます。
wordが推奨されていますが、今回作るのはTRPGのシナリオ本なので、一般的な小説よりもゲームブック感を強めるためにInDesignで制作をしました。
あと単純にInDesignってすごい!かゆいところに手が届いて便利です

・製本内訳
マージン・段組
ハードカバー(無線綴じ) A5(146mm×206mm)※印刷所指定サイズ
右綴じ
縦書き1段組み
(ページによっては横書きだったり2段組だったり)
フォントサイズ12Q
行送り21H
(改行のフォントサイズは7Qにしました)

自分はマージン・段組でテキストフレームを配置して色々並べていく作り方をしましたが、小説ならレイアウトグリットで良いと思います。
児童書イメージのため、フォントサイズを気持ち大きめにしています。

ここでめちゃくちゃ重要なことがあります。
制作時現時点で自分は気が付いていなかったのですが、本にはノドというページ数が増えれば増えるほど見えなくなる部位があります。
そのノドを気にかけながら制作をしないといけないのですが…おたクラブのテンプレートにはノドのガイド線がない!自分で意識してノドを作らないと本としての形になりません。
自分はテンプレートを鵜呑みにし、このグレーの線の中だったら大丈夫なんだろうな~!という安易な気持ちで制作を進めてました(幸いなことに入稿前に気が付けたのですが…)(反省点①)。

しかも490ページのハードカバー本ってどのくらいノドを空ければいいの?に対する答えがいくら調べても出てこない!
200ページ以上の本20~25mm空けてれば安心…という内容も見かけたのですが、今回500ページ近い枚数だったため、最終的に30mm空けて以下のようになりました。

偶数ページ
奇数ページ


実物と比べてみると、こんな感じ

偶数ページ
奇数ページ
全体

空けすぎか?と思うくらい空けていいとは聞いてたんですが、実際本当にそんな感じでちょうどよかったです。先人の知恵、ありがたい…なんとか形になってよかった…。
入稿の際にノドが隠れている場合は再入稿を希望するかどうかを選択できるので、もし隠れていたら教えてもらえるとは思うのですが…不備はないのが一番なので…。
次回製本するときは最初からノドをちゃんと意識したいです…。

百合根 結女様のnoteを食い入るように参考にしました。

他にも、nana様のnoteも参考にしました。もっと早く出会いたかった…。


③受注頒布の準備をする

今回、受注頒布にはBOOTH様(以下敬称略)の『倉庫から発送(後から入荷)』を利用することにしました。
方法はささかま様のnoteを参考にしました。先人の知恵、本当にありがたい……。

ネコポスは厚さ的に難しいかな~と思ったので許可しないにし、今回代理購入サービスの掲載許可は許可しないに設定しました。SPLL(後述)の効力がどの範囲までかわからなかったので…。人によって好きな感じで決めていいとは思います。

あとこれは設定してから気が付いたのですが、BOOTHの倉庫サービスには下限があります!(反省点②)
2020年3月から下限が30点からになったようです。受注だから少なくても安心だ!と思っていたのですが最低でも30冊は用意する必要があります。
今回は有難いことに下限は上回ったのですが、これから受注を行おうと思っている方はご注意を…。

▽実際の受注受付ページ


④SPLLを取得する

TRPGには二次創作活動ガイドラインがあります。
全てのTRPGにあるわけではなく、該当する製品にもよるのですが…CoCはこちらに該当しているので、有料頒布するためにスモールパブリッシャーリミテッドライセンス(通称SPLL)を取得します。

2026年現在、従来紙媒体は「製造数×頒布価格」が20万円(税込み)未満になる場合はSPLLを取得しなくてもいいのですが、自分は書籍に購入者限定のデータ素材をつけたかったので取得しています。
(よくある質問のところに『有償で紙のシナリオ冊子を領布し、その冊子に購入者しかアクセスできないようにパスワードをつけてネットでセッション時に使用する素材をダウンロードできるようにするのは可能ですか?』という質問があるのでそこを参照してます。
ただ必須条件として書かれてるわけではないので、強制するものではないのかな?とは思います。気になる人は気にするって感じで…)

注文を受ける段階で金銭のやり取りが発生するので、受注前にSPLLを取ろう!と思ったのですが…
上記で書いた通り、紙媒体は「製造数×頒布価格」が必要になります。
TRPGライツ事務局でどういうやり取りが行われているのかは不明なのですが、受注数が確定しないとSPLLは申し込みができない!ということがわかりました。(反省点③)
今回はSPLLを取得していない状態での受注生産を受付しても構わないと回答をいただいたので、そのようにしました。

また、紙媒体でSPLLを取得する場合、2026年現在は順序が変わって、
SPLL申請覚書の提出→振り込み→許諾ロゴ獲得となっています。
この振り込みを事務所が確認するのは基本的に翌週になります。
なので月曜日に振り込んだら来週の月曜日まで返ってきません。それまではロゴが手元にないため入稿ができないので、入稿日までに余裕のある日程を心がけましょう…。(反省点④)
上記はXの画像で発覚しました。HPにも記載が欲しいよ〜…


⑤注文する!

ハードカバー無線綴じを注文します。こんな感じになりました。

ハードカバー無線綴じ/A5サイズ
納品日:19営業日発送
表面加工に関して:マットPP
箔押しオプション:なし
見返しの用紙:ファーストヴィンテージN 172kg - スカーレット
スピンの有無と色:ボルドー
本文の色数:本文モノクロ
本文の用紙:書籍用紙 - 90kg(小説、漫画向け)
原稿内容について:小説原稿
データの印刷方法:文字優先
遊び紙の種類【巻頭】:遊び紙
遊び紙(巻頭):ファーストヴィンテージ - スカーレット
遊び紙の種類【巻末】:遊び紙
遊び紙(巻末):ファーストヴィンテージ - スカーレット
綴じ方向:右綴じ
本文のページ数(表紙含まず):490
文字が切れる、ノドに隠れる場合:再入稿希望(追加納期の可能性あり)
塗り足しが不足している場合:再入稿希望(追加納期の可能性あり)

表紙はこんな感じ

白印刷がないのでSPLLのところは白抜きして本の地肌で白にしました

製本する際に溝ができると聞いたので表紙裏表紙共に中心からちょっとずらしてあります。
実物はこんな感じ

表紙
裏表紙
背表紙

PDFでの入稿も可能だったので、単ページにしてPDFで入稿を行いました。入稿してから『データチェック完了』と表示されるのですが、これは爆速で確認が行われたわけではないっぽいです。1回目の入稿データチェックが終わるとメールが来ます。
また、注文した段階でご注文後の流れが届くのですが、その通りに製造前や製造中に都度データチェックを行ってくれるので、商品の発送のお知らせが来るまで不備の連絡が来る可能性を考慮した方がいいです。
自分はこの段階で大きなやらかしをしたのですが、○○Pのとこは仕様ですか?と聞いてくれて助かりました…本当にありがたい…(不備を連絡していただけるのは当たり前ではないので、本当にありがたかったです)

ここまで来ると一旦一安心!お疲れさまでした。


⑥ブックカバーを作る

製本が終わってから、やっぱブックカバーが欲しいな……の考えがよぎるようになりました。今?
本来であれば、冊子と同一カートでの注文でカバー巻きもしてくれます(その分納期は延びます)。余裕がある方は試してみると良いかも。

ただ…今回製本した本は、背幅が34mm!おたクラブで想定されているカバーは30mmまでです。
それに伴い他の印刷所も見たのですが、やっぱりどこも34mmはなく…カバーは難しいかな~……と考えていたのですが、おたクラブのブックカバーの折り用の筋押し加工は表1側のみ。ごり押しで34mm背幅作れるじゃん……とあとから気が付き、作ろうと思い立ちました。

ということでブックカバーはこんな感じで注文しました。

ブックカバー印刷/A5サイズブックカバー
納品日:16営業日発送
印刷の種類:フルカラー印刷
用紙の種類:ミランダ 白印刷あり - しんく
白版指定:白版を指定する
白版の縮小について:白版の縮小をせずに製造を希望
箔押しオプション:なし
背幅の厚み:背幅30mm
カバー巻き作業について:巻き作業を希望しない

本当は箔押しオプションを付けたかったんですが、納期が厳しかったのでミランダを使用することでキラキラ感を出しました。
ハードカバー本と違って白印刷もできる(!)のでかなりよかったです。

規格外を想定しているため、ガイド線からずらして作成しました。
初入稿の際にわざとずらしていると一報を入れたのですが、不備の再確認の時にずれていると連絡をいただいたので、入稿の度にガイド線からずらしてる旨は常にお伝えした方がいいと思います。
データ作成中もガイド線からずれているとすごく不安になる!!そのため、表紙のデータと照らし合わせて作成しました。

実際の入稿時の白版は黒塗り、背景はイメージです

実物はこんな感じ

折ってない状態

巻くとこう

表紙
裏表紙
背表紙


ブックカバーがあると背割れしても隠せるので、背割れがやっぱり気になる…を防ぐのに良いなと感じました。
と、ブックカバーを注文した時は思っていたのですが、おたクラブの上製本は背表紙からカパッと割れて見開きで見れるタイプの本ではありませんでした。なので背割れは心配しなくていいと思います。

⑦BOOTHに商品を送る

無事商品が届いて安心!では終わらないです。受注頒布なので、受注分を配送する作業をします。
前述のささかま様のnoteを参考にしながら準備を進めました。

今回はほとんどが受注頒布だったため商品に不良があっても手元に在庫がなく交換ができません。そのため不良品も良品として扱うとしたのですが、受注開始時にアナウンスをしておけばよかったな~…と思いました。(反省点⑤)
おたクラブは安価な分角が凹んでる品が1点あった(自分用にしました)ので、全品完璧に仕上げてほしい!という場合は他の印刷所を検討した方がいいと思います。
ですが気になる商品はその1点くらいしかなかったため、ゲムマで頒布する分も含め今回は特に問題はありませんでした。この安さで作れるのは本当にすごい!安価な分チャレンジもしやすい!
製本をしてくださったおたクラブは自分にとっては本当にありがたかったです。

話は戻りまして、BOOTHへの配送の話。
自宅に届いた商品の梱包にラベルを貼ればオッケーなんですが、今回はカバー巻き+透明カバー付け+買ってくれてありがとうのカード入れを行ったので、届いた梱包材を剥がして一通り作業してから配送のためにまた付ける…という流れを行いました。
これが結構大変だった(自分が不器用だからというのもあるのですが…)ので、BOOTHの倉庫サービスを利用する場合は、カバー掛けや付属品など付けずに行うのが楽でいいと思います。
でもせっかくなら手に取ってくれてありがとうを伝えたいですよね。自分はまたやると思います。たぶん…。

梱包途中の図。そんなに量はないはずなのに厚みのせいで多く見える

倉庫に商品が届くと、BOOTHから連絡をいただけます。
届けば一安心!よかった~と思ったのですが…倉庫サービスの作業状況が早くなってる!!
申し込み時は11~13日間だった稼働状況が、3日後には5~7日間になっており、もし最短だったら発行日前のお届けになってしまうことがわかり…一体いつ届く…!?と一人で大慌てになってました。こんなに短期間で稼働状況が変わるとは思ってなかったです。
最終的には、倉庫に到着してから納品完了まで土日を含め7日、そこから発送に至るまでが土日を含め6日かかりました。
その間稼働状況が2~4日間になってたりしたので、ほんとに一体何日くらいになるんだろう…と思っていましたが、7日だったので商品が到着してからの稼働状況の日数で見て良さそうでした。
終わった今振り返ると、慌てるのは納品が完了してからでも遅くないのかも!と思います。自分は納品完了前から慌ててたので先走り、お知らせのメールを送りました…(反省点⑥)

その後商品が届いたお話を聞いたり実物の写真を見せてもらったりしたのですが、こちらが指定していたOPP袋(透明な袋)にいくつかの緩衝材の紙で囲われて届いたようでした。しっかり梱包してもらえてよかった!

⑧まとめ

以上が今回の作成の備忘録です。振り返ってみると色々反省点はありましたが、達成感はめちゃくちゃあります!!何より届いた本が本当に自分が欲しかった本そのものだったのでめちゃくちゃ嬉しかったです。
売上と比べると印刷費の他にも依頼素材や配送費など色々を含め支出は多く、収支だけ見るとめちゃくちゃマイナスです。振り返るともう少し値段上げてもよかったかな…?と思ったりしますが、PDFと冊子をなるべく同じ値段で出したい(シナリオを手に入れる人がどの媒体買っても損しない形にしたい)気持ちがあったので、作りたいものを作ったし同人誌としてはこれでいいか!と思いました。

とにかくこういう本は作ろうと思えば作れるというのがわかったのが一番の成果でした。やればなんとか出来上がる!本を作るって楽しいです!
こういう本、作ってみたいな~の理想は形にできます!よければ是非自分のために、自分のための本を作ってみてください。きっと誰かに響くはず!

ここまで読んでいただきありがとうございました!
noteでお知らせや月報を書いたり、これから創作も書けたらいいな~と思っているので、よければ他の記事も読んでいただけると嬉しいです。
ではまた次回👋

イベントに出るのも楽しいよ~!

2026.05.29 なつもと


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