Unicodeとアブストラクトゲーム(2)
この記事はアブストラクトゲーム Advent Calendar 2025の4日目の記事として書かれました。
はい、どうも。
珍ぬと申します。
6年半近く、noteでボードゲームやパズル関連の記事をかれこれのらくら400本オーバー書いています。
2022年から毎年続けて、4回目のアブストラクトゲーム Advent Calendarを立ち上げました。
3日目はEVOQ STUDIOさんでした。
アブストラクトゲームと論理パズルの両輪から自身の観念をしっかり述べていました。
どうしましょ、珍ぬは不真面目なのでなんか恥ずかしくなってきました。
今回もUnicodeな話です。
Chess Symbols
前回の1日目。
シャトランジの4つの駒が新しくコード化されたのですが、これらはChess Symbols(チェス記号)と名付けられた区画1FA00–1FA6Fに登録されています。
Chess Symbolsは2018年のUnicode11.0.0で新規に用意されました。
その時点でのチャートは下になります。

象棋(しょうぎ・チャンギ・シャンチー)の駒です。

2016年9月12日にAndrew West(アンドリュー・ウエスト)さんが書類L2/16-255「Proposal to encode Xiangqi game symbols(和訳:シャンチーゲームのシンボルをエンコードする提案)」を提出しています。
採用されたわけですが、しかし、なんで思いっきり後番号にエンコードされているのか?
実は、1ヶ月遅れて2016年10月25日にGarth Wallace(ガース・ウォレス)さんがとある書類L2/16-293が提出。
なんやかんやあって、Unicode12.0.0で採用されます。
そのChess Symbolsのチャートはこちら。

うん……うん?
なんちゃらチェスの駒

はいこちらが採用された84個の駒です。
回転したり白黒2色だったりナイトになにか生えていたりします。
Garthさんが提出した書類のタイトルは「Proposal to Encode Heterodox Chess Symbols in the UCS(和訳:UCSに異端のチェス記号をエンコードする提案)」。
……異端のチェスって何?
別名フェアリーチェスです。
通常のチェスの駒の他に動きの異なる駒を考案して、おもにプロブレム(詰めチェス)で使われています。
ところで、この書類で提案された記号は採用されたものと結構異なっている駒があります。

どうも採用されなかったようでして。
しかし、半年後の2019年5月7日に、GarthさんはMichael Everson(マイケル・エバーソン)さんと連名で、書類L2/17-077R(N4793R)「Proposal to add standardized variation sequences for chess notation(和訳:チェスの記法に標準化されたバリエーションシーケンスを追加する提案)」を提出してリベンジ。
1年越しで見事採用されました。
将棋はどうよ?
それはそうと。
将棋はどうなのか?
☖☗⛉⛊
あります。
通常のチェスの駒と同じくMiscellaneous Symbols(その他の記号)に登録されています。
駒ではありません。
先手後手を表す記号になります。
そもそも、加えて漢字や数字も用いることで駒どころか棋譜をあらわすことができるので十分といえば十分だったり。
しかしですね、実は象棋や異端チェスの記号の提案よりもいち早く将棋が提案していたのです。
【訂正:2025/12/05】
ごめんなさい、勘違いです。
とはいえ短期間に提案矢継ぎ早です。
2018年4月29日にEduardo Marin Silva(エドゥアルド・マリン・シルバ)さんとUmihotaru Sasea(ウミホタル・サセア)さんが書類L2/18-170「Proposal to encode a full set of pieces for the game of shogi(和訳:将棋の駒の完全なセットをエンコードする提案)」を出しています。
おい2018年、一体どうしたんだ?
提出したデザインは以下のように各駒の上下です。


で、結局。
採用されませんでした。
ステルス採用
少し話は戻ります。
異端チェスの駒84個がなぜ採用されたのか。
書類には数多くの文献を参照資料として提出しており、引用してみると

引用:https://www.unicode.org/L2/L2016/16293-heterdox-chess.pdf

引用:https://www.unicode.org/L2/L2016/16293-heterdox-chess.pdf
実際に使用しており、それらからコード化する記号を選出して提案しています。
将棋も実際の使用状況を踏まえると、駒の絵文字スタイルよりも「成銀」「成桂」「成香」を1文字に詰めるテキストスタイルをまず優先して提案したほうがよいのではないでしょうか。
仮に、それでも採用されなかった場合ですが、実は裏道があります。
2019年5月5日、Unicode12.0.0に更新されたその2日後、2019年5月7日に12.1.0のマイナーアップデートがありました。
何があったのかというと、U+32FFに

を追加するためです。
Unicodeコンソーシアムのブログでも報告しています。
ブログでは、縦書きバージョンも表示されています。

つまりですね、㋿の次の元号を「成香」その次を「成桂」そのまた次「成銀」とすれば、いつの間にか揃います。

【余談】
ちなみに「虚構新聞」にその記事はありませんでした。
締め
ということで、Chess Symbolsと将棋についてのあれこれでした。
Unicodeに採用されていない資料も閲覧できるので、更に興味深い情報もしれるのがありがたいです。
5日目は空いていますので、飛び込み参加者お待ちしています。
6日目はいつもお世話になりますKanare_Abstractさんです。
では。
