A380が「空の旅」を変える 超大型機にこだわるエミレーツ航空の大胆戦略

近未来の航空需要について、エアバスは超大型機による「ハブ・アンド・スポーク」形、ボーイングは中型機による「ダイレクト便」と異なる見解を示しています。はたしてどちらに軍配が上がるのでしょうか。効率や利便性など様々な観点がありますが、エアバスのスタイルはそれとは別に、「エアライン業界」自体の底上げに繋がる可能性があります。

アイディア次第の超大型機A380

 たとえばアメリカやヨーロッパへの1週間程度の旅行で、往復にかかる20時間以上を「単なる移動」と割り切ってしまうのは、もったいありません。1週間のうちの、貴重な1日です。その時間も「旅のひととき」に含まれている、そういう発想に立ってみると、フライトもできる限り楽しく、快適なものであってほしい。ハブ空港へ着いてから目的地へ向かう小型機でのフライトについては単なる移動だとしても、主要都市間を結ぶ10時間以上の長距離フライトでは、従来にはなかったエレガントな空の旅を提供したい──それがエアバスがA380を生み出したコンセプトでした。

 A380は1階と2階を合わせた総床面積が、それまで最大だったジャンボ機(ボーイング747-400)の1.5倍です。ところが設定している標準座席数は747-400の412席に対し、A380は525席──つまり座席数では1.27倍しかありません。その分、A380は座席以外に使用できるスペースが広く、アイデア次第でこれまでの旅客機とはまったく異なったキャビン設計やシートの配置が可能になります。

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大韓航空は1階席後方に免税品のショースペースを設置(2011年6月、秋本俊二撮影)

 実際にA380を導入したエアラインでは、標準座席数525というメーカーの設定に対して500席以下のシート数でキャビンを設計した会社が少なくありません。その余ったスペースを活かすことで、まさに「空飛ぶホテル」との呼び名に相応しい個室型のファーストクラス(シンガポール航空、エミレーツ航空)や機内の免税品展示コーナー(大韓航空)が登場。エミレーツ航空の機内には、世界でも初となるシャワースパ施設も誕生しました。

 エミレーツ航空はA380の導入を世界で最初に決めた1社であり、A380の世界最大のオペレーターとしてこれまで計140機を発注しています。エアバスが世界中のエアラインから受注している機数の半数近くを、1社だけでオーダーしている計算です。昨年7月には記念すべき50機目を受領しました。エミレーツ航空は、なぜそこまで超大型機の運航にこだわるのでしょうか。

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